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「楽しいこと」だけが幸せではない


「楽しいこと」だけが幸せではない

 今日の社会は、人類史上一番幸せにさせてくれる手段が多い時代です。生きているうちに消費できないほどのコンテンツが世の中には存在し、お金を掛けずとも、遊べるアプリやゲームで溢れています。ところが、これだけ幸せにさせてくれる手段があるというのに、「幸せですか?」と尋ねると、「はい!」と即答できる人は多くはありません。
 この原因は、現代の幸せが受け身のものばかりになってしまったことによります。幸せにさせられることに慣れてしまった私たちは、幸せのために努力する
思考が薄れています。

 子供たちは、落ちている枝でさえ工夫して遊び道具に変えて自ら楽しみます。一方、大人になるとお金によって、他人が考えた幸せをいかに効率よく受け取るかを考え始めます。そして日々、受け身の幸せをレビューし「楽しい事がない」と幸せを作るのではなく、受け取る方法を検索します。

 真に人生を楽しんでいる人は、自らで幸せを見出している人です。仕事が充実した時の幸せが、わかりやすい例でしょう。仕事は、それ単体では幸せを感じられません。仕事の喜びは、ビジョンや目標に対して、工夫や努力を重ね理想に近づくことで、感られます。そのためお金で得たような即席の喜びとは異なり、深く重みがあるのです。

 対して、受け身の幸せは、お砂糖たっぷりの生クリームの「甘さ」のようなものです。すぐに甘みという喜びは感じられますが、そこに深さはありません。そのため、すぐに飽きて次から次へと他の受け身の幸せを探しにいくのです。テーマパークや、ゲームなどの受け身の楽しさを全否定しようというのではありません。ジャンクフードやインスタント食品が栄養は少なくとも、おいしさを感じるように受け身の幸せにも、役割があり価値があります。

 しかし、それは用法容量を守るからであり、幸せの主食には成りえません。私たちが、今幸せを感じにくいのは、このバランスを崩してしまっているからなのです。

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