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中国伝統的な服装『漢服』、数千年の時を超えて再度人気になる~SNSとECが生み出す新しいアパレル産業~
日本に着物があるように、中国でも漢民族の伝統的な衣装として「漢服」が存在しています。日本では着物はシニア世代に馴染みがある印象がある一方、中国では近年若い世代で漢服がブームになりつつあります。
(漢服は中国で17世紀まで漢民族の伝統的な衣装として着られていた)
下記掲載グラフからも分かるように、市場規模は年々増加し、2018年にわずか10.8億元(約164億円)だった市場が45.2億(約687億円)になっています。アリババ傘下のT-MALLの調査によると、2019年に漢服を買った人は全国で2000万人程います。この中国独特な産業は一体どのような仕組みなのか、シンプルに紹介します。
(漢服の中国市場規模)
一、「漢服」の仕組み
伝統的な漢服の仕組みは画像の通り、様々パーツから成り立っています。幅50cmの布から制作されており、丈の長さは裾の長さに合わせて三種類程あり、レイヤーも通常三つあります(実はここはあまり詳しくないのですが、ググってみたらそうらしいですww)
(古代の漢服、それぞれのパーツの名称)
古代では色々複雑な設計があった漢服ですが、現在は着やすいよう改良されています。実際タオバオ店舗で検索すると、殆どの場合は、以下に三つのパーツに分けて販売されています。例えばこのスタイルだと、上下のパーツと上に被せるパーツの三つになっています。その他にも扇子や装飾品、コートなどを販売していることも多いですが、基本この三つを揃えればスタンダードなワンセットになります。
(タオバオでワンセット300元くらい、日本円5000円くらいで買えます)
二、どんな人が買ってるの?:5割以上が1990年以降生まれ
まず、年齢層から分析すると、5割以上が1990年以降生まれの人になります。その中でも1995年以降生まれの層が年々増加しており、最も利用者が多い年齢層になっています。また、男女比率に関しては男性は2割、女性は8割と、以外と男性のユーザー層も存在しています。
(漢服のユーザー層の年齢に関する調査)
三、年間消費額は3000~15000円、2~3着買う
下記グラフではターゲットユーザー層の年間の漢服の出費を示しています。殆どの人が200~1000元(3000~15000円)の層にあり、年間2~3着買う人が約15%占めています。学生でおこずかいが少なくとも、単価が低いことから年間2~3着買うことができるのです。
四、三つの使用用途
①まずはもちろん、インスタ映え。
旅行先や普段の外出に漢服を着て撮影をし、weibo(ブログ媒体)やwechat朋友圈(ラインみたいなSNS)に投稿することで、たくさんのいいねを貰うことができます。これは高校生や大学生を魅了する大きなポイントになっています。
(日本のインスタ映えは、中国でweibo映えと言うべきでしょうか。。)
②友人とお出かけの際+旅行先での記念撮影
学生の間で出かける際に、「一緒に漢服着てXXに遊びに行こう」というのがよくある話です。学生だけでなく、社会人でも旅行先で記念撮影用に漢服を着用する人も少なくありません。
③結婚式や卒業式の撮影に
伝統的な服装から正式に卒業式や結婚式で着用することも頻繁に見られます。漢服はウェディングドレスより中国の文化に適しており、『中国式結婚式』を挙げる場合の利用者が年々増加しています。
五、なぜ近年流行ったのか
①T-MALL、タオバオ、SNS、動画サイト等通販サイトが作り上げたトレンド
ECサイトが中国風コスメや衣装をテーマに様々な商品をプロモーションしてきた中、漢服もその中の一つになったのです。それに加えweibo等ブログのサイトでも#中国風#等といった話題を付け加え、人々に投稿を促すようなイベントを開催しました。
(タオバオのオフラインイベント『造物节』、新たなテーマとして『中国風』が加わる)
また、中国版Tiktok抖音の普及により、漢服を着て旅行先で撮影されることがより多くの人に知られることになり、動画プラットフォームは様々な人が漢服を着て出かける真似する切っ掛けになりました。
(抖音で漢服を着て動画撮影をする女性)
②ドラマやアニメの版権と連動し、さらにユーザー層を拡大
漫画『一人之下』ゲーム『笑傲江湖』などが漢服販売会社と連動し、人気版権の衣装を実物で再現することでファンにグッズを販売するようなプロモーションを行いました。
③古代劇に出演するタレントの影響
日本の大河ドラマのように中国でも古代を背景としたドラマがあります。その中で、タレントと同じ服装を着てみたいと思う人が通販で見つけて買うようになっています。もちろん、正式に授権された商品はごくわずかで殆どはパイロット版ですが、同じ服装を買ってドラマの主人公気分を味会う人も少なくありません。
(ドラマの主人公気分を味わってみたい女性に人気)
六、最後に:SNSやECの普及により、再び思い出される伝統文化
このようにSNSやECの普及により、伝統的なモノや文化が改良を経て再び人気になることがあります。2000万人という数は、中国の人口に比べればさほど高い比率ではありませんが、過去の増加率からみると、今後も大きな伸びしろがあると思わています。
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