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創業4年で販売量コカ・コーラ超え、時価総額20億ドル:人気飲料ブランド成長の秘訣

一、 驚異の販売量:コカ・コーラを超える販売数


先日飲料ブランド「元気森」(中国語名:元气森林)が時価総額20億ドルで新たな融資を受けたことが発表された。この飲料ブランド、どれほどすごいかと言うと:
◆ 2019年数日間に及ぶT-MALL618イベントで元気森が販売した数は226万本、飲料類のセールスランキングナンバーワンになる
◆ 2019年タオバオダブルイレブンイベントで1日の売上は1345万元(約2億円)、販売数560万本、コカ・コーラやペプシ―を超える程の人気ぶりを見せた
◆ 2019年売上規模は10億元(約150億円)を突破
◆ 2020年創業わずか4年、現在の時価総額は20億ドル(約2139億円)

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二、 成功要因:トレンドに便乗、SNSを利用し効率よくターゲットユーザーにリーチ


創業わずか4年の飲料メーカーがなぜこれほど成長することができたのか、主な要因を3つにまとめる。

①市場トレンドに便乗:全国コンビニ急速展開+原材料へのこだわり
現在元気森の商品はオフラインで53個のコンビニブランドに取り扱われており、オンラインではT-mall旗艦店、REDのオフィシャルストアを持っている。

2018年、中国チェンストア経営協会が発表したコンビニは全てのチェン展開をする店舗の中で最も早く成長していることを公表した。コンビニ産業の売上規模成長率は21.1%に達し、店舗数の増加率は18%、年間で新しく増加した店舗数は11944店で、2018年に新設したチェンストア総数の62.5%をも占めている。

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また、コンビニのユーザー層は20歳から40歳のユーザーが88%を占めており、メインな職業は会社員である。既存商品としてあるのは、5~6元の炭酸飲料やお茶飲料、7~8元の機能性ドリンク、10元前後のミルクティーなど、元気森も各分類に合わせてラインアップを揃えた。しかし、元気森の製品は同じ分類の商品でも他社より50~100%程価格が高く、原料によりこだわりがある。例えばミルクティーでは化学合成のミルクパウダーを利用するよりも天然のミルクパウダーを利用している。

②美意識の高い女性が集まるSNSアプリRED(中国名:小红书)を活用
スマホは若いユーザーにとってテレビやPCよりも使用時間が長く、隙間時間は各アプリ間を移動して情報を取り入れている。
特にRED(中国語名:小红书)は女性をターゲットとしたファッションや美容等を題材としたソーシャルアプリであり、2019年にはユーザー数は2.5億人を超えている。このアプリは「美意識」が非常に高い人たちの集まりでもある。
該当アプリの「砂糖控えめ」や「糖分摂取0」等に関する記事は10万部を超えており、「カロリー」単独でも10万記事を超えている。
元気森はコンセプト「糖分0、脂肪0、カロリー0」という概念を利用し、REDで集中的に関連ユーザー層にアピールを行い、短期間で多大な人気を集めることができた。

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③パッケージで訴える:ヘルシーコンセプト
『Ipsos:2019中国商品飲料業界パッケージトレンド洞察レポート』によると、24歳以上で北京や上海など大都市に住む若者は健康志向が強く、76%以上の消費者は健康や栄養成分に関する情報に注目し、73%以上の消費者は糖分や添加物をチェックする習慣がある。

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そこでパッケージは和風の「気(実際中国語での書き方は”气")」を利用し、日本ブランドにある「安心感」や「信頼」さをアピールする一方で、「糖分0、脂肪0、カロリー0」を強調したことによりより消費者が「ヘルシーな飲料」と受け止め、多くの女性がコアなユーザーとなった。
もちろん和風のデザインを利用したことにより、一部ユーザーから「偽日本ブランド」等の批判もあったが、年々増加する販売数はこのような批判にも影響されない強いブランドを市場に見せかけた。

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三、 最後に:IT+伝統産業で生まれる新たなブランド構築方法


創業者の唐彬、実はリテール事業に携わった経験などない。彼のバックグランドはゲームの開発・運営であり、リテール事業を立ち上げたのはこれが初めてなのだ。しかし、従来の産業をIT思考で考え直し、如何にオンラインを「販売チャネル」としてではなく、オンライン+オフラインで一つのブランドを作り上げるのかを考えた末、「元気森」というブランドが誕生した。

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彼はうまくREDにあるユーザーの特性を理解し、効率よく特定のユーザーにアピール、その上コンビニが急成長する大きなトレンドに乗っかりこのブランドを築き上げた。この成功例から、他の伝統的な産業でもITを生かして他のやり方があるのではないかと色々考えさせられるのではないだろうか。



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