朝鮮王の妻(正室)を何と呼ぶ? 韓国語の呼称とその字幕 3
こんにちは。韓日映像翻訳者のコアラです。
最近、韓国の時代劇「トンイ」と「チャングムの誓い」を見ています。
いや~、最高に面白いですね!!
って世の中の流行りから10年とか15年遅れてこのコメント。
今さら感が半端ない…
字幕を仕事にしているくせに、今までじっくり見たことがなかったんです。
こんなわたしなので、「確かチャングムは料理を作る人から医者になったような…」と言っても、家族には「どうせガセネタだろう」と疑われていました…。
さて、話を戻し、この2作品には王様の妻(正室)が出てきます。
「チャングム」では 第11代国王 中宗の妻
文定王后 尹氏(ムンジョンワンフ ユン氏)
「トンイ」では 第19代国王 粛宗の妻
仁顕王后 閔氏(イニョンワンフ ミン氏)
韓国語では
王の妻のことを 중전(中殿:チュンジョン)といいます。
なので、臣下や女官などは
중전마마(中殿媽媽:チュンジョンママ)
と呼ぶんです。
では日本語字幕では?
BS日テレの「チャングム」では お后(きさき)様
Amazon primeの「トンイ」では 中殿(チュンジョン)様
BSテレ東の「トンイ」では 王妃様
でした。
ぜんぶ違う!!
えー、なにこれ!どれが正しいの?
と思いますよね。
でもあえて質問に答えるとすれば、
どれでもいい
ということになるんです。
字幕業界では、
王様の妻(正室)の呼称字幕は特に統一されていません。
なので、間違っておらず、視聴者が分かればいい、ということになります。
ただ、それぞれ語感というかニュアンスが違うし、言葉の持つイメージも違います。また問題がないわけでもありません。
お后様 で出した場合
あくまでも個人的な感覚ですが、なんとなく天皇の妻、という感じがする。
「白雪姫」などに出てくる「お后様」のようなイメージ?
中殿様 で出した場合
途中から見始めた視聴者が、「中殿=王の妻」だと、パッと分からない。
ずっとルビが振られていないと何と読むかも分からない。
王妃様 で出した場合
ヨーロッパなどの王の妻というイメージが強い気がする。
どれが一番いいかは正直分かりません。
でも翻訳者たちは日々、頭を悩ませながら呼称を決めています。
また放送局の意向もあるので、クライアントと相談しながら決めることが多いかな。
ちなみにわたしは「王妃様」と字幕を付けることが多いですね。
時代劇を見る機会があれば、王様の妻(正室)がどう訳されているかチェックしてみてくださいね!(ただし李氏朝鮮時代)
それでは、また!