大宮アルディージャのJ3降格によせて
大宮アルディージャのJ3降格が(ほぼ)決定しました。
J3の順位次第ではまだ残留する可能性もあるのですが、ごくわずかなのでないものと思った方がよさそうです。
あとひとつでも負けたら終わり、というところから急に4連勝する展開がなんとも大宮らしくて好きだったのですが、ラスト1試合を残して力尽きました。
近年の低迷ぶりや今シーズンの戦いぶりを見れば、こういった結果になったのは少しも不思議なことではありません。
ただ、J3に降格するということを本当にイメージできていたかというと、できていなかった気もします。
J1とJ2の狭間で過ごした25年
振り返りも兼ねて、今シーズンまでの大宮の所属カテゴリーと在籍年数を確認しました。
1999〜2004年 J2(6年)
2005〜2014年 J1(10年)
2015年 J2(1年)
2016〜2017年 J1(2年)
2018〜2023年 J2(6年)
J2に再降格してからもう6年も経ったんですね。
あと一歩のところで自動昇格を逃したのもつい最近のことだと思っていたのですが。
ここ数年はあまりに得るものがなかったので、その間の記憶がショートカットされているのかもしれません。
今振り返ると、J1に連続で10年いたのもよくやったなと思います。
常にギリギリでしたが、あの頃の大宮にはFWを中心とした優良外国人選手をどこからか連れてくる不思議なスカウティング能力がありました。
しかしその能力も、J2に再降格したあたりから陰りを見せます。
2018〜2019年はシモビッチやフアンマなどすでにJで実績のある選手たちを呼び寄せたものの、チームとしては結果を残せず。
2020年からはムルジャルート(?)で東欧の選手が増えるも、皆目立った成績を残せず退団。
2022年に至っては外国人選手ゼロ。
やはりそれでは厳しいということで2023年は外国人選手を連れてきますが、それもJ1でくすぶっていたアンジェロッティをどうにか借りられたというものでした。
外国人選手の獲得が難しくなっていることは大宮に限ったことではないかもしれませんが、戦力強化について旧来のやり方が通用しなくなった、そしてそれに代わる方法を見出だせなかったのが低迷の理由であるように思います。
外国人選手だけでなく日本人選手も同様で、昨シーズンの主力だった矢島慎也は、昇格を狙えるクラブではなく残留争いのライバルとなった山口に移籍してしまいました。
大宮はもはや選ばれるクラブではなくなってしまったのです。
何をしたいのか、どこを目指すのか
近年の大宮で気になるのは野心のなさです。
「昇格」という言葉は使い続けているものの、果たして本当にそれを実現しようと思っているのか?
強化部長やコーチといった大切なポジションに未経験者を登用したり、シーズンが開幕した途端に特定のポジションの選手が足りなくなったりと、とても準備ができているようには見えません。
一方で「育成型クラブを目指す」とも言うようになりましたが、ではそのために何をしているのか、どんな姿を目指しているのか、といった具体的な話も聞こえてきません。
育成型クラブとして認知されるようになった水戸は、選手育成の方針を掲げ、その実現のためにさまざまな取り組みを行っています。
大宮はそういったものがなく、「お金がないので自前の選手でどうにか頑張ります」ぐらいの意気込みとしか感じられないのです。
昨シーズンの横浜FCや今シーズンの町田には「何が何でも昇格する」という強い意思が表れていましたし、秋田・藤枝・いわき・熊本といったクラブは特徴的なサッカースタイルやクラブの理念を打ち出しながら存在意義を高めようとしています。
大宮も、カネがないならないなりに、「それでも俺たちはこういうクラブを目指すんだ!」という強い意気込みを示してほしいのですが。
次の25年に向けて
行ったり来たりはありますが、通算ではJ1が12年、J2が13年なので、だいたい半分ずつでした。
言い換えればJ1とJ2の狭間にいるようなクラブだったわけですが、25年経って、今度はひとつ下の狭間に足がかかり始めているわけです。
J3で迎える新シーズンは、当然、「1年での昇格」を目標に掲げるでしょう。
ただ、降格翌年に即昇格できたのは、過去1例しかありません。
それどころか、J3でも中位や下位に低迷することがよくあります。
たとえ即昇格できなかったとしても、2年目や3年目でしっかり結果を残せるよう、そしてその後も継続的にステップアップを目指せるようクラブ力を高めることが重要だと思いますが、そのあたりをどう考えているのか。
これからの数年をどう過ごすかが、次の25年、50周年を迎えた時の大宮アルディージャというクラブの行く末を大きく左右しそうな気がします。
おわりに
私は終盤の、アウェイ徳島戦とアウェイ大分戦に参戦しました。
徳島戦はボロ負けしたホーム熊本戦の直後だったので、サポーターの雰囲気はどうなんだろう、どんよりしてそうだなと思って現地に行ったのですが、そんなこともなくいつもと変わらぬ力強い応援がありました。
大宮サポーターにとって、今シーズンは本当に苦しかったと思います。
それでも、決して切らすことなく、最後の最後まで応援を続ける姿に自分も奮い立たせられました。
本当に頼もしかったです。
今シーズン残り1試合、そして来シーズンも、よろしく頼みます。
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