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ポリコレと芸術について 序論

本当はこれにコメントで補足的に書けば良いかなくらいに思ってたけど、書いているうちに500字の文字制限を超えてしまったので、新しく記事にしてしまう。

最近話題のポリコレの問題も、これの2つめの話なのかなあ、とか思った。
(芸術における保守と革新のバランス)

別にマーメイド役が黒人だろうとアジア人だろうと宇宙人だろうと、その良さを受け入れてその中で良し悪しを語ればいいのに、まずもって新しいものを受け入れられない。
自分の中にあるマーメイド像が基準になって、その中での上下を見たかったのに、黒人で来られたらその基準が役に立たない。
伝統ある私たちのマーメイドを汚された!

・・・というのは典型的な保守だよなあ。
この記事書く前は自分も、ポリコレなんて意図見え見え、作品の文脈を無理に損なわせるだけでアホらし、、とか思ってたが、別にポリコレがどうこうじゃなくて新しい表現の形として単純に受け入れたらいいのかもしれない。
その点ポリコレは表現方法を広げる良いチャンスなのだろう。

あと、どうしても公式が、公式が、とかってオリジナルの創造元を中心に考えてしまうのも表現方法を保守的にさせる原因だろう。
二次創作は二次創作として分けて考えられるのに、公式が二次創作みたいなことをしたら許さないってのは、まあ理屈が通っていない。
他にも、
日本のミュージカルでマーメイドを日本人がやってるのはいいけど、ディズニーがそれと同じようなことをしたら許せない、という声もあり、
まあ、「公式が世界観を守るべき」というのも分かる気もするが、言い換えれば
「公式は常に作品に対して保守的であるべき」となってしまい、作品の創造性、
より良い発展のための試みをも一挙に拒絶してしまっている。

これも前々から考えている一個のテーマだがやはり「同じものが続く」のと「新しいものが始まる」の違いは我々にとって相当大きいのだなと思う。
(新しいドラマ、新しい漫画、新しい何かが始まるというのは一見、
 ワクワクすることだと思うかもしれないが、我々がワクワクしているのは
 あくまで続くことだという話。
 すなわち、「既知の、自分が好きな俳優」とか、
 「既知の、自分が好きな作品をたくさん作っている監督」とか、
 あくまで自分が知っている何かの要素が「続く」ことに人間はワクワクする。
 またどこかでこのことだけに限定して一記事書きたいと思っているが。)

全く新しいものに対して我々は評価することができない。だから魅力的だと思うこともないし、むしろ邪魔な要素でしかない。
最初に「受け入れる」という過程を経なければ、それを理解することもできず、評価することすらできない。
(「こんなのは思っていたものじゃない!」というのは横からの文句なので、
 上下の評価ではない。
 エレンの声優が野太い声だとして、それがどのくらい迫力があるかというのを
 判断するというのが評価だ。同じ価値観にまず入らなければならない。)

。。。とここまで来た上で、
新しいものなんか求めてない!
私は私の好きな世界で、同じようなキャラクターが同じような見た目で、声で、振る舞いで、それらを崩さないくらいの(保守的な)新作の物語を見たいだけなんだ!
というサザエさん方式至上主義の人が出てくるだろう。
・・・ちょっと疲れてきたのでこれについてはまた別で論じたい。

とにもかくにも、これは保守と革新(個人的には革新ではなく寛容なのだが)に由来する話で底が深い。
しかも、(個人的には革新ではなく寛容なのだが)というところも底が深淵。

またしばらく沈黙・・・



ちなみに単純にポリコレについて言うならやはりアホらしい。
人魚については別に白人じゃなきゃいけない理由はないと思うけど、だからといって黒人にする意味もない。何人でもいい。
新しい可能性を広げるという点での芸術的意義はあれど、かといって白人でスリムで美形だらけの俳優が出ているドラマを批判する理由にはならない。
自然とここの役柄は黒人だよね、と社会通念的になって黒人にする、というのがメディアのあるべき姿であって、メディアを利用して視聴者に押しつけるのでは全く意味がない。
メディアはそのときそのときの社会の鏡であるべきであって、啓蒙に使い始めてはいけない。いや、啓蒙に使うならちゃんと真っ向から主張するべきなのだ。
私の意見はこうで、このように考えを改めてくれませんか?と正々堂々言えばいいのであって、そういう意図を隠して視聴者を洗脳するために使うというのはとても危険だ。ナチスもそのような使い方をしたが、権力者が大衆に選択肢を与えず一方的に押しつける構図はその中身が何であれ問題だ。

ということで、あくまでポリコレ支持派ではないが、またやってるよと傍目で見ながら、それによって作られる作品にも可能性を感じる(感じなくてはならない)という立場。


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