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【ブランド紹介】 DIESEL 〜第1弾〜

こんにちは、自己満です。
以前の「Y/PROJECT」の記事でも取り上げた通り、近年新クリエイティブ・ディレクターが就任した「DIESEL」。
今回は、そんな「DIESEL」に関して。

DIESEL(ディーゼル)って?

DIESEL OFFICIAL WEBSITE

ブランド名の由来

DIESEL」のブランド名は、世界中で同じように発音されて覚えやすく、
創業当時新たなエネルギーとして注目されていたディーゼル燃料のように《世間を活気づけたい》という思いからつけられたそうです。

「DIESEL」の歴史・年表

DIESEL」は1978年、イタリアの実業家であるレンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)とアドリアーノ・ゴールドシュミット(Adriano Goldschmied)の二人により創立されたイタリアのブランド。ラグジュアリー感がありながらカジュアルに着こなすができるようにと「プレミアム・カジュアルウェア」と位置付けています。

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1978年 「DIESEL」創立
1979年 メンズのフルコレクションを展開
1981年 国外に向けて、自社の商品の輸出を始める
1984年 初めてのキッズライン「DIESELITO」をスタート
1985年 レンツォ・ロッソがブランドを完全買収
彼は当時12種類のブランドを掌握していましたが「DIESEL」のみに注力することを決断しました。
1989年 「レディースライン」がスタート
2年後には大々的な広告キャンペーンを展開して、世界にディーゼルが知られる足がかりを作ります。
1994年 「55DSL」がスタート
2003年 ディーゼルジャパン設立
    「ジュエリーライン」のスタート
2007年 「DIESEL BLACK GOLD」がスタート
2010年 新アーティスティック・ディレクターにブルーノコリンが就任
2013年 新グローバルCEOにアレッサンドロ・ポリオーロ就任
     新アーティスティックディレクターにニコラ・フォルミケッティが就任
2014年 「55DSL」を休止、「DIESEL」に統合
2017年 ニコラ・フォルミケッティが退任
     新CEOにマルコ・アニョリンを指名
2020年 新クリエイティブディレクターにグレン・マーティンスが就任

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※「クリエイティブディレクターやらアーティステックディレクターやら区別がつかない!」という方へ。本題ではないため早速結論からお伝えすると、どちらも同じ「デザインをする」役割を果たしています。役職は同じであり、どちらの名称を語るかはデザイナーの意思次第。どちらを語るかでイメージや望む立ち位置などの意思表明となるようです。

伝説的なデニムデザイナー「アドリアーノ・ゴールドシュミット」

出典:TASCLAP

レンツォ氏と共に「DIESEL」を創設したアドリアーノ氏。
1985年、レンツォ氏が「DIESEL」を完全買収した後、アドリアーノ氏は2000年に「AG」を設立。デニム好きなら一度は聞いたことがあるこのブランド名は、アドリアーノ氏のイニシャルに由来し、プレミアムデニムブームを索引した存在として名を高めました。
2019年に「AG」は日本から撤退しましたが、今後日本での再スタートを望んでいるそうです。

「DIESEL」の創始者 レンツォ・ロッソ

レンツォ・ロッソ 出典:GQ

世界的に「ジーンズ(デニム)の天才」などと称されている彼。
また、世界で最も優秀なアパレル経営者の1人と評価されている人物でもあります。

レンツォ氏は、しばらく「DIESEL」に尽力したのち、2000年にスタッフ インターナショナルを買収し、02年にはホールディングカンパニー「オンリー・ザ・ブレイブ(現OTB)」を設立。「メゾン マルジェラ(Maison Margiela)」「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR & ROLF)」や「マルニ(MARNI)」などを傘下に擁しました。また、2021年には「ジル サンダー(JIL SANDER)」をオンワードホールディングスから買収しました。

DIESELの魅力

デニムへの強いこだわり

ここまででお気づきの方も多いとは思いますが、「DIESEL」を創設したお二方の共通点は「デニム」です。ブランドの魅力にも通ずるわけですね。

そんな「DIESEL」のデニムは全てイタリア製
加工技術に長けたイタリアの職人が手作業で仕上げています。
ヴィンテージ加工と仕立てのクオリティは手に取ればすぐにわかるでしょう。
大量生産の商品では絶対に得られない幸福感です。

定番のジョグジーンズ

Krooley Joggjeans® 068cr Tapered

ジョグジーンズは2011年に発売されてからヒットし続けている商品で、デニムとしての見た目を持ちながら、履き心地はスウェットのよう。これはデニムの織りとスウェットの編みの工程を併せることで実現しています。

加工技術の光るダメージデニム

2010 D-Macs 007q7 Straight Jeans

ストリート&ヒップホップカルチャーからインスピレーションを受けたこちらのデニム。ウォッシュやピールオフの加工で、ヴィンテージ感が漂います。加工技術の高さも伺えますね。

このように加工されたデニムを楽しむのも、加工控えめなデニムを自分で育てるのもそれぞれ違った良さがあります。

現在は休止したスピンオフブランド「55DSL」

上記の年表にもあった通り、1994年に「DIESEL」からスピンオフして誕生した「55DSL」。もともと1つのラインが起源ではありましたが、若年層にも手の届きやすい低価格でアイテムを展開するなど、クリエイティブな方向性や流通なども含めて独立していました。

2012SSコレクション 出典:fashionpress

アーバンカルチャーからのインスピレーションをファッションに取り込んだコレクションが特徴のライフスタイルブランドです。ストリートウェアが主なラインで、ストリートブランド特有のグラフィックを取り入れたアイテムが多く展開されていました。

代表的なプロジェクト「10.55」

2010年8月のプロジェクト 出典:fashionsnap

あらゆる国際的アーティストやフォトグラファーたちとコラボレーションした限定プロジェクト《10.55(テンフィフティーファイブ)》のTシャツは「55DSL」の代表的なプロジェクト。このコラボTシャツは、全世界にて1055ピースのみの限定販売でした。

もともとグラフィックアイテムの提案が多いことで人気だった「55DSL」も
2014年には休止し、「DIESEL」に統合。
(2020年に限定コレクション「DIESEL UPCYCLING FOR 55DSL」として一時的に復活)

DIESELの高級ライン「DIESEL BLACK GOLD」

2007年、イタリアで誕生したDIESELの高級ライン「DIESEL BLACK GOLD
洗練されたスタイルの中に、斬新さと個性を併せ持つコンテンポラリーコレクション。4大コレクションに参加していなかった「DIESEL」と比べ、メンズ・ウィメンズ共にショーに参加しています。

2018SSコレクション 出典:Hypebeast

「DIESEL」のアイテムの中でも象徴的なデニムは、「DIESEL BLACK GOLD」のコレクションでも展開されており、本家のシルエットや縫製技術を踏襲しつつも、加工は最小限に抑え生地の質をより際立たせた1本を展開していました。
デニムだけではなく、ジャケットやシャツ、パンツやシューズ、アクセサリーなどの小物も幅広く生み出しており、価格帯は「DIESEL」と比べ少しお高め。
コレクションを詳しく見たい方は出展の下線部よりチェックしてみてくださいね。

2020年に「DIESEL BLACK GOLD」は休止し、メインライン「DIESEL」を高級路線に進めています。

2010年 ブルーノ・コリンが新アーティスティック・ディレクターに就任

ブルーノ・コリン 出典:fashionpress

彼はフランスのファッション&カルチャーマガジン「WAD」の創立者兼発行人であり、フランス版「Sportswear International」の元編集長。書籍のキュレーターや数々のファッション誌に携わってきた人物です。

経歴を見ると、この人選に疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。
彼はなぜ選ばれたのか。その答えは、当時レンツォ氏が語った言葉の中に隠されています。

彼の仕事ぶり、アイデア、ノウハウそしてテイストは、ディーゼルのイメージにぴったりだった。ブランドも影響力のある雑誌のように、強い個性や存在感が必要で、プロジェクトごとに常に新しいアイデアを取り入れて運営されるべきだと思う。

livedoor NEWS

服はライフスタイルであり、何にでも通ずるのだと、彼の考えを通して実感できますね。

2013年 ニコラ・フォルミケッティが新アーティスティック・ディレクターに就任

ニコラ・フォルミケッティ 出典:PR TIMES

ブルーノ氏が退任した後、「DIESEL」の親会社が「OTB」と社名を変えた2013年には、日本とイタリアのハーフで、レディ・ガガのスタイリストとして活躍してきたニコラ・フォルミケッティが新アーティスティック・ディレクターに。

左:レディー・ガガ 右:ニコラ・フォルミケッティ 出典:ニコラ氏の公式インスタグラム

彼は、大学時代建築専攻でしたが、ブティックを経営していた母親の影響もあり
アパレルの世界へ進むことに。ちびまる子ちゃんやスライムのタトゥーが入っているほどに、漫画やアニメなどの日本文化を愛しています。また、ユニクロのファッションディレクターの経験もあったり、ニコラ氏と日本はとても縁が深いと言えます。そのため彼の就任は、日本でも大きなニュースになりました。

「DIESEL REBOOT」ビジュアル 出典:Wonderland magazine

彼の就任後、第一弾のプロジェクトは、「DIESEL」の世界をもっと強大なものに再構築する「ディーゼルリブート(DIESELREBOOT)」。
メインラインをはじめ、プロダクト、インテリアデザイン、コミュニケーションなどあらゆるクリエイティブな分野において、世界中の若いアーティストとコラボレーション。
DIESELが築き上げてきた35年の歴史に対するオマージュを、コレクションに集約させ、大きな反響を呼びました。

またプロジェクトに即して、さらに面白い取り組みも行われています。

一般投稿型のブログサービス、『Tumblr (タンブラー)』によってキャスティングを行った今回のビジュアルでは、同ブランドの DNA である自由でオリジナリティに溢れた、勇敢なアティテュードを備えたモデル18名を起用。日本人のモデル/女優の水原紀子をはじめとするモデル達の姿は、フォトグラファーデュオ Inez&Vinoodh (イネス&ヴィノード) の手によって各々の個性が存分に引き出されたポートレートスタイルで収められている。

引用:fashionpost

ん?Tumblrって何?となった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
現代ではあまり馴染みのないツールですよね。

Tumblr(タンブラー)の利用

キャンペーンビジュアルのキャスティングにも利用されたり、「DIESEL」の新たなデジタルコミュニティの場として選ばれたのが「Tumblr(タンブラー)
Tumblr」とは、アメリカ発の「メディアミックスウェブログサービス」で、面白いと思った画像や動画、役に立つ文章を引用し、シェアできるオンラインのスクラップブックです。簡単にいうと、ブログ型のSNS
この「Tumblr」を利用して彼の新プロジェクトに参加し、新たなチャンスを獲得するため、ハッシュタグ「 #DIESELREBOOT 」を用いた数々の投稿が寄せられました。

そんな新プロジェクトに関して、当時ニコラ氏はこのように語っています。

「ソーシャルメディアが生まれる前、世の中の注目を集めたり、夢を叶えることはとても難しかった。でもいまはちがう。自分自身がヒーローとなってメッセージを発信すればいいんだ。自らの勇気を示す時代だ。主導権は自分自身の手にある。さあどうする?」

引用:OPENERS

そのチャンスを逃すまいと、行動したうちの9名のアートワークが、なんとニューヨークタイムズの新聞広告として掲載。こういった事例を振り返ると、行動あるのみだと再確認できますね。

ニューヨークタイムズの新聞広告 出典:OPENERS

今でこそ「Instagram」や「Tiktok」を用いたプロジェクトやプロモーションが主流になっていますが、このようにかなり早い段階でSNSを活用していたことや、1995年にウェブサイトを開設していた点を見ると、「DIESEL」の公式ホームページにもある通り、いち早くインターネットに着目していたことが伺えます。

新クリエイティブ・ディレクターにグレン・マーティンスが就任

グレン氏が就任してから、明らかにブランドが再熱していることが伺えますが、
さて、そんな影響を与えた彼はどんな人物なのでしょうか?

グレン・マーティンス 出典:SPUR

1983年、ベルギーのブルージュに生まれ建築を勉強したのち、母国にあるアントワープ王立芸術アカデミーを主席で卒業。卒業間際に発表した作品がジャン・ポール・ゴルチエ氏に高く評価され、卒業後「Jean Paul Gaultier」のスタッフとしてしばらく働きました。2012年に自身の名を冠したブランド「Glenn Martens」を立ち上げましたが、2013年に「Y/PROJECT」のデザイナーに就任したため、就任直前に自ブランドを終了しました。
現在は「Y/PROJECT」と「DIESEL」のデザイナーを兼任しています。

2018年にレッドタグプロジェクトの第二弾でコラボしていたグレン氏。
ここから2年で本格的にデザインに携わることとなりました。
(※レッドタグプロジェクトに関しての解説は近日アップ予定です。)
「DIESEL」にとってこの選択は大成功であり、彼の描く「DIESEL」は、Y2Kが再熱していた現代の人々のハートを掴むには十分でした。

そんな彼のデザインを見ていきましょう。

22SS RUNWAY SHOW

グレン氏により「DIESEL」初となるランウェイコレクションが発表。

ルック12

トップスとベルトが一体化したようなカッティングのデザインに目が行きがちですが、存在感抜群の新しいロゴと既存の"Diesel Industory"のデザインが共存している点や洋服の生地感とバッグのダメージ具合が素晴らしい。

ルック51

パンツとブーツが一体化したこちらも印象的ですね。重ねばきしたようなスタイリングやキュートなカラーリングに心が揺さぶられます。
ロゴアイテムもジュエリーのような輝きを放っていてときめきが止まりません。

他にもイマドキなショート丈のもの、面白いプリント加工のされたボディコンシャスなアイテムなど、注目のディティールがたくさん。

22SSコレクションのショーフィルムは以下よりご覧いただけます。

元々面白い取り組みをされており注目していましたが、
グレン氏と描かれる今後の「DIESEL」には期待に胸が膨らみますね。

ここまでお読みいただきありがとうございました。
以上で【ブランド紹介】DIESEL 〜第2弾〜は終了です。
〜第2弾〜 はこちらからご覧いただけます。是非!


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