「新世代の仕事とカルチャーの関係性」竹田ダニエル#WORKandFES2021
新世代の仕事とカルチャーの関係性
新型コロナウイルスが蔓延したことで「普通の日常」が失われ、好きでもない仕事をする意味を疑う若者たちがアメリカで増えました。「自分にとって大切なものは何か」について向き合うなかで、そもそも労働を理想化したり、美化したりすることは空虚であるという認識も広まりつつあります。過剰な資本主義によって引き起こされた格差の現実を知ったZ世代は、従来の「働く意味」や「仕事への価値観」に大きな違和感を感じているのです。
これまで「ノーマル」とされていたライフスタイルを受け入れないスタンスは、多様化するポップカルチャーにも反映されています。TikTokを開けば、「今日は仕事をはじめて1日目。いくら働いても老後の貯金なんてできないし、私は年老いて死ぬまでずっとやりたくないことを続けなきゃいけないの?」と車の中で涙ぐむ人や、「そもそも“怠け者”という概念は、ブルジョワジーによってつくられた、労働者に労働を続けさせるための架空の概念なのでは?」と問題提起する人の姿が。「働くこと」への疑問や焦燥感をSNSで共有し合う文化が生まれているのです。大人からしたら「地に足がついていない」と見える若者も、実際は自分の幸せを維持するためにどんな選択をすべきなのか毎日考えているのではないでしょうか。
そうしたなかで若者たちがつくる音楽にも変化が起きています。ビリー・アイリッシュやリル・ナズ・Xなど、Z世代を代表する著名人たちが口を揃えて「セルフラブ・セルフケア」という言葉をキーフレーズとしているように、メンタルヘルスが中心的なテーマとして扱われ、不安定な世の中で精神を安定させるためのツールとして用いられているのです。
もちろん、これはほんの一例。もっとも年上のZ世代でも、まだ仕事をはじめたばかり。彼らが求める次世代の職場環境や企業倫理観は、時代に伴うカルチャーとともに流動的に変化し続けていくはず。
加速する資本主義によって社会が崩壊していく様子を直視し続けているZ世代は、豊かな経済を享受した大人たちの後始末として、終わりの見えない疫病や環境破壊などの被害を被り続ける、“未来を奪われた”若者です。彼らは働き方においても、有毒なマスキュリニティややりがい搾取などで成り立ってきた労働文化などに愛想を尽かし、より「愛」と「本質的な意味」を見出していくでしょう。
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