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留学1週間前に学校が倒産して海外でニートになった話

新型コロナウィルスが世界的に大流行し、様々な出来事が起こった2020年に留学をした一学生の記録です。留学をするにあたり、身の回りに起こったことをつらつら書いてみたいと思います。

3月前半

4月からの専門留学を目的にカナダへ渡航しました。当時は、感染者が少なかったこともあり、目立った緊張感はなく、空港では検疫もなくすんなり入国できました。自分の住む都市では、スーパーでの買い占めもなく、どのお店も営業しており、特に外出の制限もしていませんでした。無事に住居も決まり、半月後の学生生活へ向けて着々と準備を進めていました。

3月中旬

渡加から一週間が経った頃、首相であるジャスティン・トルドーの妻が新型コロナウィルス陽性とのニュースが流れました。感染者数は大幅には増えていなかったものの、この辺りから街の雰囲気が変わり、外出自粛ムードが始まったように思えます。マスクをしている人が増え、日本と同じ様に、石鹸やトイレットペーパーがどこに行っても買えなくなったのもこの頃です。

そして、数日後には国境封鎖・渡航制限が始まり、学校からもこの状況に関してメールが届きました。文面は、「無事渡航できているか?できなかった場合は次の学期から入学、または入学を取りやめることも可能。」という内容でした。

自分は、早めに渡航していたおかげで入国はできていたので、授業がどういう形態になろうとも、残って頑張ろうと考えていました。オンライン授業になるかもしれないというのは残念ですが、それでも海外に住んで勉強ができるという期待の方が大きかったです。

3月後半

いよいよ学校が始まる一週間前となっても、入学に関しての連絡が無いことに焦り始めました。とはいえ、事務的な連絡が日本と同じ様にスムーズではないだろうと、特に深くは考えていませんでした。

さすがに、学校の現状が気になっていたので、Twitterで何か情報がないかと探してみることにしました。そこで見つけたのは、「学校を経営するCEOから、学校が無くなるという連絡が今日突然あった。」という在校生のツイートでした。半信半疑でさらに調べていくと、「今日突然解雇された。」という学校教員のツイートもあり、自分がどんどん青ざめていくのが分かりました。

すぐに学校事務に連絡を取るものの、宛先不明でメールが戻ってきた時は、
もうこれで終わりなのか?学費はどうなる?ビザは…と頭がいっぱいになったのを今も覚えています。

落ち着いて留学エージェントに連絡を取りましたが、「こちらも学校から何の情報もなく、真相が掴めていない。分かるまでお待ちください。」との返事でした。

この時点で初めて帰国が頭をよぎりました。1年前から計画し、勉強を続け、待ちに待った留学でしたが、諦める方が良いのでは?と葛藤しつつこの日を過ごしました。

数日以内に学校のCEOからメールが届き、内容は「経営不振による倒産のため学校を閉鎖する。返金は可能。別の学校への転校先も紹介できる。」というものでした。驚いたのは、外国人が多い学校だったので、この状況で国外から生徒が集まらず経営不振なのかと思っていましたが、投資の失敗が原因のひとつと書かれていたことです。入学の直前でそれを知らされ、学校に通うこともなく残念な印象で終わってしまいましたが、幸いなのは、学校が州政府の教育機関と提携していたことです。学校の経営不振で破産になったとしても、この機関から学費の返金の手続きを行えるとのことでした。

また、自分の学校だけでなく他学校も閉鎖が相次ぎ、残った学校が生徒への救済プログラムと銘打ち、転校生を受け入れ始めました。自分の場合は学生ビザで来ているため、帰国をしないのであれば、どこかの学校へ再度属さなければならないという状況でした。

学校倒産と聞いたときは諦めかけていた自分でしたが、カナダに残ることに決め、手続きを進めることにしました。

4月

教育機関に返金の手続きを終えた後、別の学校への転校手続きを進めました。早くて4月からの入学が可能でしたが、授業はもちろん対面ではなくリモートです。1年と短い留学期間の中で、いつ終わるかわからないリモートクラスを数ヶ月続けることに不安があったため、遅らせて8月に入学することを決めました。入学までの時間や生活費が無駄になるのでは?と悩みましたが、長期的な目で見て考え、このように決断しました。

そして、4ヶ月間の海外ニート生活(※1)が始まりました。

せっかく海外に住んでいるのに、もちろんどこにも観光へ行けません。外出自粛の厳しいルールはなかったものの、レストランやカフェは閉鎖し、開いているのはスーパーや薬局などのエッセンシャルな場所のみで、引きこもりになりました。食料の買出し、健康のための散歩以外は、ほとんど外出することがありませんでした。

現在

そして今月、長い様で短かった海外ニート生活が終わり、いよいよ学校へ通い始めます。自分の住む都市では、まだ完全に封じ込めとはいかないものの、感染者が大幅に増加するということもなく、限られた人数での対面授業が開始されることになりました。(希望する学生はリモートでの授業も可能。)少しづつ感染者数が落ち着き、レストランや美容院も営業を再開するなど、徐々に元に戻りつつあります。

まとめ

ここでは、どのように4ヶ月のニート期間を過ごしたのかを、一留学生の現状と記録として残しておきたいと思います。

外出が自粛され、学校へも行けない中どのように過ごしたのか

4ヶ月間はほぼ毎日勉強をしていました。逆に、学校が始まってからでは自分のペースで進めることは難しいので、今が良いチャンスと捉え、自分のしたい勉強をしていました。授業がなくとも、インターネットにリソースはいっぱいあるので、飽きることはありませんでした。その他、健康を維持するための外出などはOKだったので、気分転換に散歩をよくしていました。(トップの画像は散歩風景より。)


初の海外生活でこの様な状況になり、不安になることはなかったのか

自分の性格が理由だとは思いますが、あまり不安に感じることはありませんでした。学校が倒産した時は絶望感に陥りましたが、この状況下において自分より大変な人もたくさんいるので、それを原因にひどく落ち込むことはなかったです。また、シェアハウスに住んでいたこともあり、孤独を感じることもなかったです。もし一人暮らしをしていたらまた違ったかもしれませんが、孤独耐性が強い人間なので(※2)、精神的に参ることはなかったです。

学費は戻ってきたのか

4ヶ月が経った現時点で、未だ返金の音沙汰がありません。
状況が状況なので、返金には時間がかかると聞いていましたが、まさかここまでとは思いませんでした。幸いなことに、転校先の学費は、機関より返金を受けた後で構わないと言われているので、こちらに残ることができました。社会人として4年働いてからの留学でしたが、貯金が全くなく、限られた資金で生活をしているため、このような対応はありがたかったです。

おわりに

日本では、4月が新しい始まりの季節とされるように、自分と同じタイミングで海外留学を予定していた方がたくさんいると思います。自分の場合は、大学(院)留学ではなく専門学校への私費留学なので、状況が大分違う所もあるかとは思いますが、誰かの参考になれば幸いです。

(※1)ニートは15〜34歳までの非労働力人口のうち通学・家事を行っていない者を指す(Wikipedia)とのことですが、自分の身分としては(学校がまだ始まっていない)学生です。学生ビザで滞在しているので念のため。

(※2)今年の冬に突然LINEの全データが消え、なんとかコンタクトを取り戻すも、現状友達9人(母親含む)でも生きていけるくらいには孤独耐性があります。


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