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今日のレコードは「南沙織の17歳」です。

写真家の篠山紀信さんの訃報を知らせるテレビ画面を見ていたら、50年以上も前のことを思い出して、古いレコードをようやく探してかけてみた。

当時、独身寮に入っていたが、部屋にはテレビが無かったし、休みの日は山にばかり行ってたし、夜には先輩が夜の街に誘ってくれるので、テレビを見るのは朝飯の時ぐらいだった。
高校は男子校で、職場も男だらけ、寮は賄のおばさんを除いて男だけ。
聴く歌は、民謡と軍歌と村田英雄、みたいな世界だった。
ある日、先輩が部屋に飲みに来いというのでいった。
飲みながら、先輩が、おまえこの歌を知っているかといって、レコードをかけてくれた。
六畳間の、たばこの煙がもやもや、部屋干しのパンツがぶら下がる部屋で聴いたレコード、それが、南沙織との衝撃的でもなんでもない出会いだった。
酔っぱらって聴いていたが、なんて可愛い声なんだ、ジャケットの写真はなんて可愛い笑顔なんだ、白い歯と健康的に日焼けした肌。
いままでの生活にはなかった世界が、一気に花開いた気分だった。
そうか「シンシア」というのか。意味は分からないが、良い響きだ。
1曲目「17歳」って、おれは「20歳」だ。
後日、吉田拓郎の「シンシア」に、嫉妬したほどだから、だいぶいかれていたが、鼻歌はほとんど「シンシア」だった。
レコードは先輩から借りたまま、結局は拉致してしまった。御免。
そんなシンシアが突然引退して、篠山紀信と結婚してしまった。
おいらもおかあちゃんと結婚して、新婚旅行は沖縄に行った。
花の1970年代、南沙織の歌とともに、オイルショックから高度経済成長の終焉を駆け抜けた。いや、ドタバタと転げ回った50年前を思い出した。

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