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シニア割引でアカデミー賞席巻“エブエブ”を観よう

アカデミー賞で作品賞他7部門で受賞した話題の映画『ブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(以下略して、エブエブ)。女優ミシェール・ヨーがアジア系として初めて主演女優賞を受賞して話題でもあるエブエブを観てきました。もちろんシニア割引!シニア割引最高!実は還暦過ぎて一番ありがたやと思ったのがシニア割引!

さてこの映画、何の予習もしないで映画館に行ったので、ニュースを見てる限りではドタバタコメディだとばかり思っていた。ところがどっこい、コメディだけでアカデミー賞取れるわけないっすよね。それだけの内容を伴ってて当然。

以下ネタバレしてないと思うけど、ネタバレ注意

マルチバースとは?

まずこの映画を理解する上で、ある程度“マルチバース(並行宇宙)”に関する知識があった方がいいでしょう。
マルチバースは簡単に言えば、起こり得る事象によって宇宙が次々に枝分かれしていくという世界観。
あなたに「手を挙げて」と問いかけた後、あなたは右手を挙げるかもしれないし、左手を挙げるかもしれない。ここで二つの世界に分かれるということだね。もし右手を挙げた瞬間に、右肩の腱を損傷するようなことがあり、左手を挙げた方は何も問題が起きなければ枝分かれした世界は明らかに違ったものになるわけです。“バタフライ効果”のように些細な出来事がその後の歴史を変えてしまう可能性もある。

主人公のエヴリンは経営の難しいコインランドリーを切り盛りしてるけど、他の世界ではハリウッドスターだったり、鉄板焼きのコックだったり、ピザ屋の案内係だったりする。夫と結婚せずハリウッドスターになったエヴリンもいたわけです。
エブエブではつまり、

どんな可能性もあり得る!

というのが最初のメッセージ。

エヴリンが他の世界のエブリンから能力を得ようとする時、あり得ない、恥ずかしいような行動をする必要がある。
お漏らししたり、ハエを鼻から吸い込んだり、ペニスのような形状のトロフィーを肛門に刺したり・・・。
自分としては決してやらないことを仕方なくやるわけだけど、これって許容するという結果である。
エヴリンの娘は同性愛者で、娘の彼女を父親に正直に紹介できない。LGBTを認めてないわけです。
一方、エブリンも敵役も第3の目を額につける。ふたつの目だけだとそれまでの認識のままであり、3つになることによって新たな視点をもたらすという意味を感じた。
エブエブではつまり、

多様性に対する寛容さが大切!

というのが2つ目のメッセージ。
日本でもまさに多様性に関していくつも社会問題が顕在化している。LGBT、夫婦別姓、マスクするしない
宗教、政治思想などなど、SNSよって意見が偏りあるいは過激になる場合もある。

自分なりにこのふたつのメッセージをこの映画から感じ取った。
エブリンは、困難に対峙し乗り越えることで悟ることができた。
こういう今の世界で、社会問題に対してメッセージを発信した映画だから高評価されたのであろう。
そしてそのメッセージは個人の尊重というところに結びつくのではないだろうか。
閉塞感あり、貧富の差が拡大している現代。でも、

人間ひとりひとりには無限の可能性があるんだから諦めず、寛容さを持って生活していきましょうよ

ということを意識させてくれる映画でした。

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