ノルドストリームという天然ガスのパイプライン破壊の真相

ロシアの天然ガスを直接ドイツへ結ぶ

ロシアの国営企業ガスプロム社が運営する天然ガスパイプライン。
ノルドストリーム1はロシアからドイツへバルト海経由で繋いだパイプラインです。
2011/11月頃から開通して運用されてきました。

ノルドストリーム2は2021/9月に完成しましたが、ドイツは認証を終わらせる前にロシアがドネツクとルガンスクを共和国として承認すると発表してからは認証が停止されていた。

この時点でノルドストリーム1しか稼働していないことになります。

パイプラインは陸地から伸ばしてきたウクライナ経由やベラルーシ経由もあるが、いろいろ理由はありますが、西欧とロシアの思惑が一致してバルト海経由が作られたのです。

ロシアウクライナ戦争が始まってからは完全に供給停止となっていた。


アメリカ、欧州の思考

ノルドストリームは欧州におけるロシアの影響力を強める。
中東欧の既存パイプラインの使用量が上がる。
などの理由からアメリカや周辺国から猛烈な反対を受けてきた。

2018/7/11 トランプ大統領は金銭的な面で批難。
ドイツのメルケル首相はトランプ大統領に反論。

2019年以降、アメリカ国会、国防省はノルドストリーム2の事業体に制裁の警告。
しかし、2021/5/19、国務省は制裁がアメリカの国益に反するとして制裁解除。
ドイツとロシアは喜んだ。

2021/4/28 欧州議会はロシアへの依存を招きかねないとして工事の停止を求める決議案を可決。


ノルドストリームの破壊

ロシアのウクライナ侵攻によりロシア制裁が始まるとロシアはノルドストリーム1を停止。(2022/9)
ノルドストリーム2は稼働していないため、ノルドストリームは全て停止した。

2022/9/26 バルト海のパイプラインでガス漏れが発生。
ノルドストリーム1,2で4本あるうち3本が損壊した。
地震学者によって爆発が観測されており破壊工作であると疑われている。


ノルドストリームの復旧と今後

ノルドストリームの復旧と今後
ノルドストリームが戦争きっかけで停止されたとはいえ、いつか再開されることは予想出来る話です。それは政治的な解決で可能な話だからです。

しかし、パイプラインが破壊されたとなれば海水の浸食が進むことから復旧には時間もお金もかかる話になる。
関係者からすると利益は何もないし大きな損失が膨らむだけです。
事実上回復は不可能と考えられるでしょう。


ノルドストリームの破壊は故意である暴露話

調査報道家のシーモア・ハーシュ氏。
ノルドストリームに関する記事(2023/2/15)

全文はこちら


ノルウェーのイェンス・ストルテンベルグ氏

ノルウェーの政治家。
首相経験者。
NATOの第13代事務総長(2023/9まで任期)

ノルウェーはNATO原加盟国であり、国際連合設立メンバーでもあります。



2022/6月のNATO軍事演習

ノルドストリーム破壊の3ヶ月前のNATOのバルト海での演習では、機雷の除去の訓練も含まれています。


個人的感想

アメリカの工作であったとする場合、バレないようにする必要があります。
NATO事務総長と演習を隠れ蓑にするならば、時限爆弾を使った破壊工作は可能であると考えられます。

アメリカは以前からノルドストリームは危険であると主張し、爆破前からのバイデン大統領の発言等からしても破壊工作は本物か?と思わせるものです。

アメリカという国は、何かを実行する前にすでに何らかの発言で匂わすことが多い。

天然ガス先物価格は2021年末に調整が終わってから底入れし、2022/6月にかけて再上昇。(NATOの演習時期が6月。)
調整が入ってから8月に再びピークとなります。

ノルドストリームが破壊された2022/9/26のチャートはほとんど反応していません。
この破壊工作がウォール街ではサプライズではなかったという証なのです。

株価などチャートというのはサプライズで大きく反応するのが常。
思惑で上がり、事実で売られるという傾向からしても、天然ガス相場はノルドストリーム破壊工作までが旬で、その後は事実売りの下落という流れがまさにそれ。

恐ろしい話です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?