プーチン体制の崩壊は嘘? その1

先日のワグネルのプレゴジン氏の反乱?の収束とプーチン体制の崩壊、ウクライナ軍の反攻に関して、及川幸久氏が動画投稿されていましたので、その解説を切り出していきます。


世界のメディアの論調

今、世界のメディアは様々な論説を発信しています。

一番大きな声は「プーチン体制の崩壊に向かっているんだ。絶対的な独裁体制がいよいよ終わりのカウントダウンなんだ。」と。
これは、BBCあたりがしている論調。
アメリカメディア、ヨーロッパメディアはこんな感じです。
おそらく、日本のメディアはそのまま日本語にして流しているのではないか。

このまま終わっていくのではないか。
確かにそう見える。
自分が子飼いにしていた傭兵であるプレゴジン氏のワグネル軍がクーデターを起こしてきた。それを許してしまったということですので、影響力が下がったという話になる。

気をつけないといけないのは、これら主要メディアや専門家たちは、前提としてプーチン嫌いなんです。
プーチンは悪であり、ロシアは間違っているという立場にあって、ポジショントークに見えるわけなんです。

それはあまりにもプーチンが悪、憎むという感情が前提にあるので、冷静に現実が見えていないのかもしれない。

この現状を分析している優れたジャーナリスト2名の発信を皆さんと共有したいと思います。


シーモア・ハーシュの分析

伝説のジャーナリストで様々なスクープをやり続けている人です。

情報源は政府の中

なぜスクープを生み出すことが出来るのか。
それは、この方の情報源が政府の中にあるからです。

バイデン政権の高官、アメリカ政府のCIAをはじめとした情報機関に情報源がある。
それが絶対に分からないようになっている。

ウクライナ軍の反攻失敗

シーモア・ハーシュさんは、ウクライナの反攻が失敗していることと、プレゴジンの反乱が関係しているという発信でした。

ウクライナ軍の反攻
取り返した領土:44平方㎞
その多くはただの荒れ地。

ロシア軍が支配する領土:4万平方マイル

この2週間ぐらいに行われていたウクライナの反攻の結果です。
どこかの都市を取り返したわけでもない。
ロシア軍との差はずいぶん桁違いです。

この反転攻勢は、ずっと劣勢だったウクライナ軍がロシア軍の前線の防衛線を突破して少しでも取り返すという目的があった。

こういった数字はメディアに出ていない。
バイデン政権の高官が情報源になって、シーモア・ハーシュに話しているんです。
だから、ハーシュさんは自分でこういった発信が出来るわけです。

リークしている高官の発言

こういう情報をリークしているバイデン政権の高官は、
「このペースでは、ウクライナ軍がウクライナをロシアから解放するのに117年かかる。」と戯けて言ったという。

その中で起きたのがロシアでのクーデターです。

プリゴジンの反乱はバイデンにとって幸運

「プリゴジンの反乱は、バイデンにとって輝かしい数日になった。
ウクライナの反攻作戦の失敗をメディアの見出しから外せたからだ」と。
「これがなかったら、失敗が見出しだった。」

反乱があったおかげで、代わりにアメリカメディアは一斉に「プーチンは権力を失う可能性がある」と発信してくれたわけです。

それに乗じて、バイデン政権の高官たちはメディアに出ていろいろ言っています。

ブリンケン国務長官

CBSのフェイス・ザ・ネーションという政治討論番組で、「16ヶ月前、ウクライナ侵攻が始まったとき、ロシア軍はウクライナを独立国として地図から消そうとしていた。今は、プーチンの傭兵から自分たちの首都モスクワを守らなければならなくなっている。」と。
自慢げに話しています。

しかし、シーモア・ハーシュさん曰く、「バイデン政権の当事者たちはもはや現実を見ることが出来ない」と言っています。

1500億ドル注ぎ込んだバイデン

バイデン政権は、このウクライナの戦争に1500億ドル以上を注ぎ込んでいます。
その現状の結果というのは、まだメディアには十分出ていない。
これはだんだんと分かってくるはず。

そうなると、バイデン政権やバイデン自身は大変なことになるだろうと。

それぞれの大統領選

というのは、バイデンにしてもゼレンスキーにしても、来年は大統領選挙を控えているわけです。

ゼレンスキーは来年4月にウクライナの大統領選挙がある。
今のところ戒厳令を引いているので、大統領選挙はできないと言っているらしいのですが、2024年に予定されている大統領選挙に、このとんでもない現状は深刻な影響を与えるだろうと。

これがシーモア・ハーシュの冷静な分析です。


ペペ・エスコバルの分析

同じ視点、ウクライナ反攻作戦失敗と同じタイミングでプリゴジンの反乱が起きた。
これに目をつけているジャーナリストがペペ・エスコバル。

ブラジル出身の国際ジャーナリストで地政学アナリスト。
非常に優れたジャーナリストです。

ロシアで起こっている大どんでん返しの連続を世界中の人々は見せられて、次は何が起きるのか知りたいと思っている。

彼は、その2つの予想を立てています。

西側スパイ機関の関与


プリゴジンの反乱への関与が表に出てくるという予想。

というのは、いろんな当事者がそれをもう口走っています

ラブロフ外務大臣


覇権国の手口というのは、利益がありそうなら他国のクーデターを支援する。」

この場合の覇権国はアメリカです。
覇権国は何でも出来るので、利益がありそうなら他国のクーデターを支援するというのは、アメリカのネオコンの常套手段であります。

ラブロフは、これを疑ってハッキリと言っています。

プーチン大統領

「西側とウクライナは、ロシア兵同士が殺し合い、兵士や市民が死に、最終的にロシアが敗北し、我々の社会がバラバラになり、血なまぐさい内紛で窒息することを望んでいた。彼らは、反攻作戦の失敗の復讐を狙っていたが、誤算だった。

ここに、ウクライナの反攻作戦の失敗とクーデターとの関係をプーチンが示唆しています。

CIAのリーク


関与を疑われているアメリカの情報機関、CIAが自らリークしています。

(記事紹介)
6/24 記事
「アメリカのスパイは6月中旬、プリゴジンの武力行動の計画を知っていた。」

プリゴジンが動いたのが6/23です。
その前にはアメリカの情報機関CIAは知っていたんだということを自ら、ワシントンポストを通じてリークしています。

何でリークしているかと言えるのかは、ワシントンポストという新聞はそういう新聞なわけです。
あくまでもワシントンにいる政府の情報機関がこういう情報をリークしたいときに正式に表明するのではなく、ワシントンポストを通して世に出すわけです。

だから、CIAが知っていたということを言いたいんだなということが分かるわけです。

(ワシントンポストの記事を拾っていた毎日新聞の記事を抜粋しておきます。
ヤフーでは、記事が削除されていた。)
ワグネルの反乱「十分な兆候あった」 米情報機関は事前に把握

「米紙ワシントン・ポストは24日、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者のプリゴジン氏による「反乱」の動きを米情報機関が6月中旬に把握していたと報じた。複数の米政府関係者の話として伝えた。情報機関はホワイトハウスや他の米政府機関に警戒を促していたという。

 同紙によると、米情報機関は、ワグネルがロシア南部ロストフ州の州都ロストフナドヌーの南部軍管区司令部などを制圧する直前まで、正確な計画の中身や行動のタイミングは分かっていなかった。

 ただし、同紙に語った米政府高官によると「何かが起きている十分な兆候はあった」という。このため、米政府は過去2週間ほど、プリゴジン氏の「反乱」がプーチン露大統領の権力の行方やロシアの核兵器管理にどのような影響を与えるか「懸念」を抱いていたとしている。

 また同紙は、プリゴジン氏が反乱を起こした動機を6月10日のロシア国防省の命令だと指摘した。全ての義勇兵はロシア政府と契約を結ばなければならないとするもので、ロシア政府によるワグネルの傭兵(ようへい)部隊の事実上の吸収とみられていた。ウクライナ側も10日以降のプリゴジン氏の動きを注視していたという。【ワシントン鈴木一生】」


ブリンケン国務長官

CIAは知っていたぞと言っていますが、それに対してブリンケン国務長官はちょっと引いています。
(記事紹介)
「CIAは反乱について知っていたことをワシントンポストを通じてリークしたが、ブリンケン国務長官は必至にそのことから距離を置こうとしている。」と言っています。
認めるわけにはいかないのですね。

FSB(ロシア連邦保安庁)


「CIAやNATOの関与を示す決定的証拠はないが、いくつかの手がかりをつかんでいる。」と言っています。

これを、先ほどのエスコパルさんが指摘しています。

おそらく、CIAやNATOがこのクーデターに裏で関与していたかもしれない真相が出てくるという話が一つ。

ワグネル軍のベラルーシ傘下入り(2つ目の予測)


ワグネル軍がベラルーシの管轄下に移される可能性

そのことを既に感じ取っているNATOは恐怖に震えているという指摘です。

プリゴジンはルカシェンコ大統領によって既に移っているわけです。
あくまでも一時的な滞在という言い方です。
というのは、滞在費はベラルーシが出すわけではない。
ルカシェンコ大統領は「その費用は自分持ちで」と言っています。

8000人の収容所建設


ワグネル兵士の収容所がベラルーシに既に建設されているという事実です。

ベラルーシ首都ミンスクの東側の町に、ワグネル軍兵士の宿舎が建設中だという話です。

ベラルーシの周りのNATO側の国々は恐怖に陥れられています

(記事紹介)
実際に、6/29のキエフの新聞キエフポストの記事ですが、ポーランドの大統領が「ベラルーシに駐留するワグネル軍は地域にとって脅威だ。ワグネル軍の真意は一体何なんだ。」と言っています。怯えています。

というのは、ベラルーシだけだったらそんなに強くないので、ポーランド軍としてはいつでも攻め込める。
そこに強力なワグネルがやって来るというのは脅威なんです。

ワグネル軍がベラルーシに来る意味


(記事紹介)
3/24 アルジャジーラの記事です。
「ロシア軍はウクライナのキエフかリヴィウに行くかもしれない」とメドベージェフ前大統領が言っていました。

ロシア軍の本当の目的は、ウクライナ東部、南部のロシア系住民を守るため、この領土を支配して昨年にロシア連邦に組み込んだわけです。

しかし、ウクライナ軍が戦争を止めない、和平にも応じないので、だったらキエフやリヴィウに行くしかないという新たな戦線を開く議論があるのではという話です。

それにはベラルーシは絶好の場所なわけです。

論理的に考えて、極めて理に適っているというふうにエスコバルが言っています。

ベラルーシ軍は決して強くない。
ワグネルはロシアの西部戦線を確保する。
NATOは地獄を見ることになるだろうと。
さらにNATOの予算が問題に。
とエスコバルは言っています。

今まで東部戦線だけで、西部は何もなかった。
ワグネル軍が来ると、ここを防衛しなくてはいけなくなる。
NATOからすると大問題になるだろうということです。

ちょうど、7/11-12にNATOのサミットがあるんです。
リトアニアの首都ビルニアスというところであるのですが、おそらく議論になるのはウクライナ軍の反攻失敗、プリゴジンの反乱にNATOが関与しているとすれば関与の失敗だろうとエスコバルが言っています。


西側の記事

プリゴジン氏の武装反乱 背景には何が?

ロシアで武装反乱 プリゴジン氏滞在のベラルーシとは?

“ワグネル反乱”裏側で何が?ロシア緊迫・24時間の深層

ウクライナ反転攻勢 最新状況は?ロシア軍ウォッチャーが分析(2023年6月20日)


個人的感想

西側の論調を日本のメディアを通して見ていると、ロシアの内乱とも言えそうなこの騒動に対して、「どうなっているのか分からない。おそらくプーチン政権は弱体化するだろう。」というような、状況の把握がいまいち出来ていないといった感じです。

しかも、「たぶん、そうだろう。」「~だと思うからこうだろう。」といった完全に憶測なのです。
そして、西側メディアの記事を鵜呑みにしています。
ロシアから発信の記事は、西側に不都合な場合を「プロパガンダ」と言います。
反対に都合が良い場合は「やっぱりそうだ」と肯定します。
俯瞰して見れない者たちは、スタート段階での事実からして偏った見方をしています。

例えば、MBSラジオで誰かが解説していると、「プリゴジンが、『プーチンは騙されている。ウクライナ侵攻は人道目的ではなかった』というようなことを言っちゃった。これは事実なんだが、バラしてしまったようだ。」と解説。
プリゴジン氏のその発言すら、予めプーチン大統領とネタ合わせした芝居で垂れ流されたものだという可能性すら思っていないのです。
西側を騙すにはこれくらいの裏切り発言がちょうど良いと思えば、プリゴジン氏は言うかもしれないのです。そもそも真実ではないですが。

西側からしか見ていない人たちは、真実をすっ飛ばして語っています。
もしくは知らないで語っています。

以前に投稿した話でもリンクしていますが、改めてここに貼っておきます。
そして、下記サイトの中に貼ってあるTwitterなどもくまなく観るべきです。
マイダン革命がなぜ起こったのか。なぜ8年間もドンバスのロシア人が惨殺され続けたのか。
OSCE(欧州安保協力機構)データによれば、「7年間で5000人の一般市民、内90人の子供が死亡。8000人が負傷、1600人が身障者になった」という話です。

プーチン大統領がウクライナへ侵攻した理由が分かることでしょう。

東部におけるウクライナ軍の反攻作戦がうまく行っていないことは、西側の映像を見ていれば何となく伝わります。
荒野の瓦礫の建物にウクライナの旗を立て「町を奪回した」と言われると、そう思わざるを得ません。

そして、現在において東部での反転攻勢の話が報道されていないと思いますがどうでしょうか。
おそらくはウクライナ軍の主力は壊滅したのでしょう。
ロシアのショイグ国防相がそう語っています。

(Spiderman886さんの投稿です)

ワシントンポストの記事にあるように、CIAがプリゴジン氏の反乱を知っていたという事実は、動かしようがありません。
これに対してCIA長官は、ロシアに「米国は関与していない」と弁明しています。

(Spiderman886さんの投稿です)

つまり、CIAは反乱が成功すると思っていたが失敗したので弁明したとも取れます。

プリゴジン氏の行動がかなり早い展開だったのも不自然に感じます。

例えば、ロシア南部ロストフ州からモスクワまで何キロあると思っているのでしょうか?
直線距離でも1000キロ以上あります。
一日もかかっていないのです。

8000人もの部隊がどうやって移動できたのか。
大阪から東京まで車で走っても7時間はかかる。時速100キロでもです。
距離はその倍となると15時間は下らない。
自動車ではないのでもっとかかりますかね。
休憩などありません。

不思議でならなかった。
茶番の可能性は十分ありました。

時間の経過と共に、戦況が分かるごとに、この反乱がフェイクかどうか判明してくるはずですね。

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