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桜の季節18

前回の桜の季節はこちら。


──次の日4月20日、庄之助宅。

  桜の木はすっかり枯れてしまっている。中庭にものすごい勢いで走ってくる青年、どうやら本当に若返った庄之助のようだ。

「ウォー!すごく体が軽い!こんなにも早く動けるものなのか!」

  スレイブが追いかけて中庭にやってくる。

「ちょっと!もう少し静かに!」

  庄之助は立ち止まり。

「ん?なんでじゃい?」

「一人暮らしの老人の家で見知らぬ若者が暴れてたらおかしいでしょう!」

「あー、なるほどのう一理ある。」

「でしょう?とりあえず落ち着きましょう。」

「そうじゃのう。それに言葉遣いもこのままではおかしいしのう。よし!」

  庄之助は早口言葉を言い始めた。

  「なまむぎなまごめなまたまご」「あかまきがみあおまきがみきまきがみ」「東京特許許可局」「バスガス爆発」

  呆れてため息をつくスレイブ。

「はぁ……。人間って若返るとこんなにも変わるものなのかな?」

「よーし!治ったな!」

  庄之助は早口言葉で口調が変わってしまった。

「そんな事で治るものなんですか?自分のさじ加減では?」

「お前、さっきから五月蝿いな。」

「すいません……。で?これからどうするですか?」

「んー…。そうだな、せっかく若返ったんだまずは…。」

「まずは…?」

  庄之助はスレイブの顔を見てニコリと笑った。

「遊んで来るぜ!」

「え?!」

  ものすごい速さで走り去る庄之助。

「ええ!!ちょっと!一雄君はどうするんですか!」

  しかし、スレイブの声は庄之助には届かなかった。スレイブはため息をつき枯れてしまった桜の木を見上げた。

「これが貴方の望んだ結果ですか?」

  スレイブの脳裏に桜の精の言葉が蘇る。

『庄ちゃんの夢を叶えてあげたいんです。』

  俯くスレイブ。

「あー!もう!しょうがないな!」

  そう言いながらスレイブは庄之助の後を追いかけた。

つづく

次回更新までお時間あるかも。こちらの作品もぜひ!




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