自分の意見が正しい!

確証バイアスの話

自分の意見に合うデータは積極的に活用
自分の意見に合わないデータは切り捨てる
計算能力や分析能力の高い人は積極的に情報を自分の都合の良いように解釈する

「確証バイアス」という言葉を聞いたことはありますか?

確証バイアスとは自分の意見に合致する情報だけを求めることです。

例えば、都会に住むのが良いと考えている人は、都会に住むことのメリットばかりを考え、都会に住むデメリットを考えようとしないようなことです。

ネット検索などで、自分の都合の良い情報だけを集めることも確証バイアスといえます。

このような確証バイアスに陥るのは知的な人でしょうか?それとも、知的でない人でしょうか?

普通に考えてみると、知的でない人の方が自分に都合の良い情報ばかりを集め、他人の意見に耳を傾けそうもありません。

しかし、近年の研究は驚きの事実を示しています。

ある研究によると、計算能力や分析能力の高い人は積極的に情報を自分の都合の良いように解釈することがわかっています。

この研究では、スキンクリームに関するデータと銃規制に関するデータの両方で全く同じデータが用いられましたが、数学の得意な人はスキンクリームに関するデータの分析は適切に行えていたのに、銃規制に関するデータと分かった途端に分析結果を歪めて解釈し始めました。

では、なぜ確証バイアスに陥るのでしょうか?

ヒトが進化してきた環境を考えると、現代のようにコンピュータでシミュレーションを行うことなどできなければ、数学的に結論を出すこともできない。つまり自分の経験から判断するしかなかったのでしょう。

そのような状況では、他個体の言うことをそのまま受け入れるわけにはいきません。

なぜなら、その個体は悪意ある嘘をついているかもしれないからです。

「祖先の環境で生き延びてきたヒト」と「数学などを用いて真実を見つけ出す人」は相性がよくないのかもしれません。

参考文献:

Kahan, Dan M. and Peters, Ellen and Dawson, Erica and Slovic, Paul, Motivated Numeracy and Enlightened Self-Government (September 3, 2013). Behavioural Public Policy, 1, 54-86; Yale Law School, Public Law Working Paper No. 307. Available at SSRN:https://ssrn.com/abstract=2319992orhttp://dx.doi.org/10.2139/ssrn.2319992

Mercier, Hugo and Sperber, Dan, Why Do Humans Reason? Arguments for an Argumentative Theory (June 26, 2010). Behavioral and Brain Sciences, Vol. 34, No. 2, pp. 57-74, 2011. Available at SSRN:https://ssrn.com/abstract=1698090