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【落語家パワハラ裁判】原告勝訴!!

※この記事はプロモーションを含みます。

どーも。家刑ジゴロです。

 先日2024年1月26日、東京地裁で、三遊亭圓歌師匠の元弟子の吉原馬雀さんが師匠に入門時代受けた一連のパワハラ行為に対し、300万円の損害賠償請求を求めた裁判で、被告の圓歌師匠に80万円の支払いを命じるという判決が下されました。

 落語家の三遊亭円歌さん(64)にパワハラを受けたなどとして、弟子だった落語家の吉原馬雀さん(41)が損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は26日、頭をたたくなどした行為をパワハラと認め「社会的に許容される範囲を逸脱した」として、円歌さんに80万円の支払いを命じた。  
 判決後、東京都内で記者会見した馬雀さんは、落語協会内には悪質なハラスメントが残っているとし「弟子にも人権がある。一社会人としての自覚が師匠にも求められる」と訴えた。
 杜下弘記裁判長は、落語界の師弟関係は師匠の優越的立場を背景とする歴然たる上下関係で、パワハラが生じる可能性があったと指摘した。

共同通信の報道より

 この日、オイラは所用で行けなかったので、絵師心得の桃李奏さんに行ってもらいました。
 な、なんと、
「記者会見まで参加してきたよ(^^)v」とのことだったので、ここからは、桃李さんのレポを転載しようと思います。

 
 初めまして!
 制作集団・意図可笑(いとおかし)主宰の桃李奏です!
 ジゴロさんの代わりに判決を傍聴してきたので代理でこのエントリを書かせていただきます!!

 入廷する前、ドアに「満席になったらごめんなさい(意訳)」たる張り紙が貼ってあって、実はこれ、前回傍聴した尋問期日も同じ貼り紙があったので、「まぁ、判決だし、当事者が有名な方の事件だから仕方ないよね」とは思ったんですが、傍聴席のドアには

「開廷前に報道カメラが撮影で入ります。映りたくない人はその時は退室してもいいよ(意訳)」

なんて書いてあったもんだからマジビックリしました!!
ちょっと映ったらヤバみなので、ご一緒してくださった山口三尊さんの助言もあり、比較的安全な席で傍聴することになりました。

 訴状では「被告は原告に対し、300万円支払いを求める」という請求に対して、判決が「被告が原告に対して80万支払え」とのことなので、「安すぎね?負けに近いのかな?」と思ったんですが、山口さんも、原告の馬雀さんの代理人弁護士の先生にお尋ねしても「大勝利ですね」とのこと。
 帰宅後に判決文を読みましたが、結論から言うと、「一部認容」という判決かなと思います。

 裁判で認定された違法行為は、

①一門行きつけの居酒屋での席で、弟弟子の服装がだらしない(と言ってもシャツアウトしてただけ)からと激昂してその場にいた弟子全員が「連帯責任」の名のもとに、座敷席に座るために靴を脱ぐところに長丁場正座させ、お客様が止めようとしてもやめなかったこと

②某寿司店に原告とその弟弟子を呼び出し、路上で罵声を浴びせた上に暴行を振るい、通行人(外国人の方まで止めに入った)に警察に通報され、警官が来る事態にまで及んだこと。

③被告の高座が終わった後、着物をいつも通り、おかみさんに洗濯をお願いしにお届けしたものの、その後おかみさんがうっかり洗濯に出すのを忘れてしまい、結果的に玄関に置きっぱなしになった着物を見て激昂。翌日お詫びに来た原告に玄関前(これも公衆の面前)で罵声を浴びせ、殴り、「破門だ、帰れ」とさらに罵声を浴びせた挙句、以後、興行で同席するなどしても「視界に入るな」と半ば恫喝し、トドメに大みそかに「俺の視界に入るな。〇〇市(原告と被告の居住地)から引っ越せ」などと言うショートメールを発信したこと。

④原告が破門を受け入れた日、元々正月に体調が悪かったので感染拡大防止のために寄席に顔を出さなかったことや、当時、コロナ禍でまんえん防止措置発令中で、落語協会から「弟子は師匠ので街をせずに出番が終わった羅速やかに帰宅せよ」との通達があったうえ、おかみさんにも「師匠に確認しました。協会の指示に従ってください(意訳)」と返答があったので、寄席が始まっても、指示に従い被告の出待ちをしなかったら、それを不満に思った被告が原告と弟弟子に罵声を浴びせ、暴力を振るった挙句、「破門だ」といったこと。

判決文より

上記の4項目のようであります。

判決文と、裁判て提出された書面・証拠に関しては、原告の吉原馬雀さんがご自身のnoteで公開していますのでこちらをご覧ください。
尚、有料記事となります。あらかじめご了承ください。

実は、判決は普通にいつも通り、主文を言い渡して終わりでしたが、メディアの取材があったこと(入廷したら報道席が確保されてたんですよ!!)から、裁判長がメディア向けに説明もしてくれました。

判決文の概要ですが、朴下裁判長は
「落語家の師弟関係というのは、職業上の親子関係と言えるような濃密な関係であり、同時に、『師匠』は弟子に対して『優越的』な立場を背景とする歴然たる上下関係にあることから、弟子に対して『指導』と称して行った行為が結果的に『パワハラ行為』となってしまうリスクは高い」ということを前提に、訴状で挙げられた一連の行為の一部4項目が『可罰的違法性』(平たく言うと「不法行為」)にとして認定されること、
反面、「多少は」被告が一連の行為を行ったことについてある程度の事情を汲まなければならないということ、
そして、原告が問題解決に奔走していた間、ネットメディアに取材を受け、それが記事になったことなどで、多少の精神的慰謝がなされているんじゃないのかなど諸々を踏まえ、4項目の違法行為に対する慰謝料として80万の支払いを命じるということだそうです。

一方、被告からの反訴は「一連のことをマスコミに売ったことで自分のみならず、先代の師匠の名誉まで傷つけたから3000万払え」という趣旨でしたが、「記事を出した責任は客観的な証拠を提示しながら取材を受けた原告じゃなくて、それをもとに記事にする判断を出したメディアでしょ?取材をうけた原告に責任を求めるって何?(意訳)」などと言うことで請求棄却です。当然かなと思いますけどね。

個人的な感想ですが、

判決の後、司法記者クラブで記者会見が行われたので、参加してきました。
そのときのフル動画はこちらです。
※一部音声を編集しております。

驚いたことに、馬雀さんに言わせると、

他にも、自分より凄惨なパワハラ行為を弟子に与える真打がいて、しかもその人は落語協会の理事を務めている。
さらにその話は業界にいる人間はみんな知っている。

このこと自体も驚きましたし、会見後どんな話なのかしれっと聞いてしまいましたが、「これは本当にその方の人間性を激しく疑わざるを得ない、いや、同じ人間とは思えないワ・・・」と純粋に思ってしまいました。
その場でマジ背筋凍りましたって…。
それほど信じがたい話であることは確かです。

翌日に日本橋で行われた馬雀さんと三遊亭はらしょうさんの「週刊らくごTIMES」の公開収録があり、ちょっとこれは私は仕事で行けなかったのですが(お二方、ゴメンナサイ!!)、先ほど(2024.1.30配信)アップされたので拝聴しましたが、その動画、そして、判決文を読み返してみると、確かに、ちょっと配慮に欠ける部分があったの「かもしれない」のですが、にしても、一連の行為は、理不尽のオンパレードにしかすぎないわけで、違法行為と認定できるものもまだまだあったのではないか?と思うんです。

本当は全部認定していいんじゃないの?と思うのですが、裁判長のおっしゃる通り、「暴行を受けた際の医師の診断書(医師の診断書は証拠としてメッチャ破壊力あると思います)など、ちょっと客観的証拠がもう少しあればよかったのかも」とは思いますし、それにしても11項目の不法行為と主張したもののうち認定されたのが4項目・・・。大勝利と納得できますかね?

確かに、「三遊亭圓歌」という高座名は大名跡ですよ。
先代の通称「山のあな」とも言われた三代目圓歌師匠が特に大きくされたと言っても過言ではないほど(もちろんその前の二代目圓歌師匠、初代の方もすごいんしょうけど)。
でも、裁判長も判決は公平にしたおつもりでしょうが、
「ちょっと、いや、かなり『大物落語家である被告』に忖度しすぎた判決なのではないのか?」と思うのは私だけかな?と思いました。
自分が代理人弁護士ならタイミングで控訴しちゃうかもしれません。

正直、判決を言い渡された時、「は?」とその時はその場で言語化できない変な違和感を感じたんですが、日数が経っていって、当事者や、わかる人の話で、やっとその時のモヤッとした違和感が言語化してお伝えできている状態で、言葉足らずですが、これにてレポを終わらせたいと思います。

最後にですが、私もいろいろ他にも発表したい作品の案がありまして、出来上がり次第、なんかしらアップしていくので、Xアカウント(@moge2club)フォローよろしくお願いします!!

以上、桃李さんからのレポでした。

まだ、馬雀さんから「判決確定しました」の一報が来ていないので、被告が控訴するかもしれないし、馬雀さんもそれに合わせて控訴するのかもしれません。
まだ判決確定してないしね。

とはいえ、一審は「一部認容の勝訴」となりました!!
馬雀さん、おめでとうございます!!

馬雀さんのおっしゃる通り、今回の判決は「落語界のパワハラ撲滅推進運動」の道程の中では第1通過点かもしれません。
判決も一部認容ですので、納得いってないと思われます。

でも。
勝訴は勝訴。
評価すべき点は、「落語界における一部の師匠の行為が法廷でパワーハラスメントと認定された」という画期的な判決を下してもらえたことは当たり前でもどデカいことだと思います。

馬雀さんにとっては、この活動そのものが、噺家としてのライフワークになってしまうかもしれません。

でも、「された側」が声を上げないと、本当に誰も動いてくれないし、経験のない自分がこうやって言っても、正直説得力がそれほどないということは事実なんです。
これに関しては、自分自身も経験があるのですごく分かります。
彼の活動に関しては、あくまで私や桃李さんなんかは賛同者のひとりにすぎません。
同時に、どこまで見届けられるかだってわからないです。

でも、私自身は、この件を通じて知り合った「御縁」を大切にしていきたいと思います。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました!!

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