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【雑感】所得30億円以上の人の課税を強化すると、みんな海外に逃げ出してしまう?

政府は、所得30億円以上の人の課税強化を検討しているようです。12月14日付けの読売新聞でも、

政府・与党は13日、合計所得が30億円を超えるような超富裕層への課税強化に向け、所得税の最低負担率を導入する方針を固めた。年間所得が1億円を超えると所得税の負担率が下がる「1億円の壁」の是正に向け、2023年度与党税制改正大綱に盛り込む。
合計所得金額から特別控除額の3・3億円を差し引いて税率22・5%をかけた金額を基準とする。これが通常の所得税額を上回る場合、差額を納税してもらう。所得が30億円を超える200~300人が対象となる見込みで、所得50億円程度の人は、負担が2~3%増える想定だ。2025年分の所得から適用される。

読売新聞2022年12月14日
所得30億円超に課税強化、200~300人対象見通し…「1億円の壁」是正へから一部抜粋

とあります。

1億円の壁と言われていましたが、どうやら最初は30億円で検討されているようです。なぜ30億円なのかは分かりませんが、これがきちんとした累進課税の鏑矢となり、徐々に公平性が高まるようになればいいなと思います。

富裕層が海外に逃げ出す?

こういう話が出ると必ず、「富裕層の税金を増やすと、彼らが日本から逃げ出してしまう」といった議論が起こります。これは危機感を持って語られることが多いですが、果たして本当にそうでしょうか?
そもそも日本で所得を得ている富裕層は、海外に出たところで日本に納税する義務があります。それに親、兄弟、子ども、孫、友人がいる母国を捨ててまで、海外に住みたい富裕層というのは実際どれほどいるでしょうか?

お金持ちというのは、その人の努力だけでそうなったわけではありません。もちろん並外れた努力をしたに違いないでしょうが、成功に至るまでに、生まれ育った環境や、周囲の人間関係、運やタイミングの良さなどさまざまな理由があったと思います。

年収200万円未満の人が18.5%、年収300万円未満の人まで合わせると実に総人口の32.1%も占める日本で、30億円以上も稼いでおきながら、そういったことに思いを至らせず、その恵まれた才能で社会を変える努力もせず、ただただ海外に逃げたいと言うなら、そういう人物は日本にいてもプラスにはならないため海外に移住してもらったほうが良いのではないかと思ってしまいます。

そのときは、ハワイやブラジル、ペルーといった国で現地に根付き、その社会の尊敬を勝ち得たかつての日系人たちのように、少なくとも移住先の国に根付き、現地社会に貢献するような人物になって欲しいと願わずにいられません。

『明治拾八年に於ける布哇砂糖耕地の情景』
Joseph Dwight Strong、1885年
鉄道でブラジル各地へ向かう日本人移民
日本人移民が運営するジャガイモ畑


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