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自分なりの着地点を探す_「悪は存在しない」鑑賞後感

  ※ネタバレなしです

数日前、「悪は存在しない」を観に行ってきました。
横浜・黄金町のJACK & BETTYにて。

もう「JACK & BETTYで映画を観る」ということだけで、ワクワク度が高いです。
濱マイクの聖地・黄金町。
昨夏は映画三部作の4Kデジタルリマスター版もJACK&BETTYで公開されました。

そして、「悪は存在しない」。

こちら、濱口竜介監督の最新作。

こういったミニシアターのみでしかかからないんです。アカデミー賞国際長編映画賞を受賞したというのに。
濱口監督のこだわりなんだと思います。
そして、「偶然と想像」がそうであるように、配信にもなかなか来ないのではと思われます。

作品の概要:

『悪は存在しない』

長野県、水挽町。自然豊かで東京からのアクセスもよく、移住者はごくゆるやかに増えている。
そこで生まれ育った巧とその娘、花は川から水を汲み、薪を割るような慎ましやかな暮らしを営んでいた。
ある日、近所にグランピング場を作るプロジェクトが持ち上がるが、実態はコロナ禍の不況にあえぐ東京の芸能事務所が、政府からの補助金目当てで企画したもの。環境を汚しかねないずさんな計画に、町民は動揺を隠せない。
その影響は巧たちの生活にも静かに、だが着実に及んでいく。

監督・脚本_濱口竜介
音楽_石橋英子
出演_大美賀均、西川玲、小坂竜士、渋谷采郁、菊池葉月、三浦博之、鳥井雄人、山村崇子、長尾卓磨、宮田佳典、田村泰二郎

配給_Incline
2023年/106分/日本/カラー/1.66:1/5.1ch

106分。
濱口監督にしては「あれ、短い?」って感じではありますよね。

圧倒的に映像と音楽の強さがありました。

ネタバレはしませんが、最後、放り出されるような感覚になりました。
「ええと……。え? って、終わり???」というような。
エンドロールもすごく短い。余韻とかなく、あっけないほど。
あっさりと劇場の外へ、日常へと帰還。

でもですね。
そこから数日経った今でも、まだずっと映画の体験の中にいる気分です。
ぐるぐるぐるぐる考え続けています。
タイトルが意味することは何か、最後をどう解釈すると「これだ!」って納得できそうか。

こういった「考えさせれらる」状態を、濱口監督は「極上のエンターティメント」と定義しているのだろうと思います。
「映画を見てとまどう状態を体験してほしい」とインタビューの中でも語っていますし。

また、ある映画宣伝プロデューサーの方が
「素晴らしい映画というのは情報量は多いが説明は少ない。数多く投げかけられる情報を、観客がいかに見とって、いかに自分の中で作り上げるか。それが素晴らしい映画の最大のポイントだ」
と語っていて、なるほどと思いました。
確かに、わかりやすい起承転結で構成された物語映画は、観賞後やたらすっきりとはしますが、消化がよすぎる感じはあります。
あっという間に自分を過ぎていく感じ。

「悪は存在しない」は、見終わった後もずっと自分に留まり続けています。
何かもっと触れていたい、情報がほしい、自分なりに納得いくかたちで着地させたい気持ちと、このぐるぐる感を楽しみたい気持ちの両方を味わっています。
そうして、濱口監督のインタビューを読み漁ったり、レビューや考察を読んで、「へぇ、そんな捉え方もあるんだ」と思ったり。
こういう時間が楽しいです。

以下、私が読み漁ったインタビューのリンクを貼っておきます。
みんなでぐるぐるしましょう😊



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