見出し画像

ニューヨークに突如現れた、奇妙な「冷蔵庫」

世界一の感染者数及び死者数を記録してしまったニューヨークでは、コロナウイルス拡散防止を目的とした市全体のロックダウンも徐々に緩和され、少しずつ元の活気を取り戻しつつあります。仕事に復帰し勤しむ毎日に戻った人々や、一方では未だに仕事ができずに失業保険にて日々の暮らしを立てている人々もいます。

そんな中、先日私たちはブルックリン区ブッシュウィックで、奇妙な冷蔵庫を発見しました。

画像1

写真に写る女性は勿論、後から来る人々も無造作に冷蔵庫の中身をあさり、取ったものを持ち帰っているようです。恐る恐る中を見てみると、そこにはタッパーやジップロックに詰められた沢山の食糧がありました。

画像2

これはすぐ隣のお店が販売しているのか?という疑問をそばにいた男性に聞いてみると「この冷蔵庫に入っているものは全てタダだよ。人種や年齢、職業や収入に関わらず、誰でも好きなものを取っていいんだよ」との答えが返ってきました。

冷蔵庫の隣には、2020年5月25日に白人警官によって絞殺され、一連のBlack Lives Matter運動のきっかけとなったGeorge Floyd氏の遺影が飾られていました。

画像4

誰が、何のためにこの冷蔵庫を設置したのか?調べてみると、Community Solidarity(直訳は「コミュニティの結束」)というNGO団体が、今回は主にコロナウイルス蔓延によって職を失ってしまい生活を維持するのが難しくなってしまった人々やホームレスの人々の為に、せっかくの食糧が無駄にならないように、この冷蔵庫をニューヨーク市全体で7つのロケーションに設置したとのこと。私たちが住むブッシュウィックという地域の他に、ブロンクス、ハーレム、ベッドスタイ、クラウンハイツ、ブラウンズヴィル、プロスペクト・レファーツガーデンという地域でも同じような冷蔵庫が設置されています。

ニューヨークに在住でお手伝いをしてみたい、もしくはニューヨーク在住ではないがドネーションをしたいという方は、下記のリンクより行うことができます。(英文表記です)

どのような食糧が配られているか気になり、私たちも一ついただいてみることにしました。サーモンが入ったタッパーを選んだところ、野菜もしっかり入っており、お米もあるのでかなり栄養バランスが考えられています。ニューヨークで同じようなものを普通にスーパーやレストランで買うと最低でも$10はするので、困っている人々にとってはかなり有難いサービスとなりそうです。

画像4

ニューヨークという街は、普段は皆仕事で忙しくぶっきらぼうで冷たく思える時もある一方、いざという時になれば皆が団結一致しお互いを助け合える温かさを持っています。プロテストも然り、共通の一つの目的のために行動をした時のニューヨーカーの団結力は目を見張るものがあります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?