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静けさが具現化した音を感じる朝。

重たい瞼を開くと、そこには画鋲を挿した跡がまるで覗き穴のようにこちらを見つめている。

実家で迎える朝の恒例行事である。

布団の下の畳はすっかり色を変え、麦畑のような雰囲気さえ醸し出し、ところどころにある飛び出したイグサが背筋をピンと伸ばしてこれまた良い顔をしている。

みんなと同じ横並びに綺麗に整っているイグサ。たまにいる個性を爆発させたイグサ。

どちらも愛せる人間でありたい。とあくまで理想の自分を思い描きながら畳を撫でるのであった。

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