これは決して自分の親を否定しているわけではなく、むしろ関係性は良好なのでその前提に読んで欲しい。 「他人から好かれる人になりなさい」 「他人に迷惑をかけない人になりなさい」 「男なら泣くな」 「あんたを信用できない」 ここだけ切り取ってしまうと毒親に思われてしまうかもしれないが、これは会話の流れがあっての事なのと、親も子育て初心者で必死がゆえに出た言葉達である。(これを読んだ方は子どもに言わないで欲しい言葉ではあるが) 母は完璧主義。私は母が大好きだったし期待に応えたか
実家では9月まで犬を飼っていた。 家族同然のその子が母の膝の上でソッと息を引き取ってから早4ヶ月になろうとしている。 その子が姿を消してから家の中の様子もすっかり変わり、本当に居たのかさえ狐に包まれたような感覚になっていた。 その実家で靴下を履いている際に、ふと一本の毛がついているのに気付く。 記憶が一気に蘇り、瞼の上がぼわぁっと熱くなるのを感じた。 確かにいたあの子の匂いや温もり。黒い服を着ると全身毛だらけになるからコロコロが手放せなくなった事。フローリングをチャカ
静けさが具現化した音を感じる朝。 重たい瞼を開くと、そこには画鋲を挿した跡がまるで覗き穴のようにこちらを見つめている。 実家で迎える朝の恒例行事である。 布団の下の畳はすっかり色を変え、麦畑のような雰囲気さえ醸し出し、ところどころにある飛び出したイグサが背筋をピンと伸ばしてこれまた良い顔をしている。 みんなと同じ横並びに綺麗に整っているイグサ。たまにいる個性を爆発させたイグサ。 どちらも愛せる人間でありたい。とあくまで理想の自分を思い描きながら畳を撫でるのであった。