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「人材要件」をたった15分のミーティングで整理するフレームワークを共有します

こんにちは、こがねんです。メガベンチャー人事で「組織開発」をしています。

今日は組織開発とは切っても切れない「人材開発」の出発点「人材要件」についてのお話です。

「人材要件」は人材開発の出発点

「人材要件って何ですか」という方もいらっしゃると思うので簡単にご説明すると「組織内にどんな人を増やしたいか」についての要件定義のことで世の中的には採用の文脈で語られることが多いです。

こちらの記事にもあるように経営計画・事業計画からMUST要件・WANT要件、必要スキル・マインド、人物像へと落とし込んで設計していくものです。

入社後の人材管理の文脈でも「人材要件」があります。代表的なものは「等級」「役職」になりますが、「等級」は能力・職務・責任のレベルを定義したもので、「役職」は課長・部長・本部長といった組織運営における役割を定義したものです。

今日のnoteでお話したいのはこの採用文脈・人材管理文脈ではなく、いわばそこに乗っかる形になる「ビジネス現場での人材開発」における「各部門ごとの人材要件」についてとなります。

筆を取ったきっかけは先日のこのツイートです。

事業サイドから「部門独自の人材要件の定義」についてご相談を受けることが増えてきたよ。15分のミーティングで提案できちゃうフレームができたので誰か褒めてくださいよ。ということで大変厚かましいこのツイートに200以上のいいねをいただきましたので、ちゃんと説明責任を果たさなければという半ば使命感でこのnoteを書いています。笑

本来であれば、人事制度の中で決まっている全社共通の「等級」「役職」の定義で事足りるはずなのですが、組織の規模が大きくなってくるとそれだけでは「現場の人材開発」に不十分な場面が増えてきて、その手のご相談が増えてきているという状況です。

人材開発における人材要件はとても重要です。なぜなら「その人にどう変化・成長してもらいたいのか?」という「ゴール設定」が人材要件であり、これがないと人材開発を始められない、いわばファーストステップ、出発点となる仕事だからです。

そしてそんな重要な「人材要件の定義」を15分のミーティングでサクッと決めちゃいましたというお話になります。

「人材要件」を整理するたった7つの質問

自分がやったことはめちゃくちゃシンプルで以下の「7つの質問」をして現場マネージャーの話を整理しただけです。

【Q1】組織の「ゴール」は何ですか?(ミッション・ビジョン・組織戦略)
【Q2】組織にはどんな「役割」の人たちがいますか?(等級・役職・職種)
【Q3】それぞれの「役割」に求める「成果」は何ですか?
【Q4】「成果」に必要な「専門スキル」は何ですか?
【Q5】「成果」に必要な「共通スキル」は何ですか?
【Q6】「成果」に必要な「共通マインド」は何ですか?
【Q7】この組織を卒業するときには「どんな人」になっていてもらいたいですか?

この「7つの質問」を順番にしていって手元でとったメモをお渡ししただけのたった15分間のミーティングでしたが、相談者である現場マネージャーにとても感謝されました。

この質問をしながら頭に思い描いていたフレームはこんな一枚絵で表すことができます。

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まず初めに「組織開発」のフレームワーク「GRPI」をイメージしました。

「GRPI」は「ゴール>役割>計画>関係性」の順に合意形成していくことで組織が健全にワークするという考え方、今回の「人材要件」はこの中の「Role(役割)」にあたります。

そのためQ1・Q2は「ゴール」と「役割」について確認したというわけです。

次に思い浮かべたのは「人材要件」の三角形でした。どんな組織のどんな職種の人でも求められる「マインド」「スキル」「行動」がそろって初めて「成果」が生まれるという構造を三角形で表したものです。

Q3~Q6はこの要素について1つ1つ確認していったということです。

最後Q7の質問は図にはないですが「組織のリソース」としてではなく「一人の才能と情熱をもったビジネスパーソン」としてどんな成長を期待しているかを考えてほしくて訊いた質問です。

質問した内容はシンプルでしたが、裏側にはこんな構造があって訊いていたよーという解説までに質問リストと合わせて、考え方のフレームワークとしてご紹介しました。

ちなみに今回の依頼元はあるアプリ開発部門だったのですが以下のようなヒアリング結果になりました。

【Q1】組織の「ゴール」は何ですか?(ミッション・ビジョン・組織戦略)
 →越境(関連部門との連携)によるアプリ開発
【Q2】組織にはどんな「役割」の人たちがいますか?(等級・役職・職種)
 →アプリ開発エンジニア
【Q3】それぞれの「役割」に求める「成果」は何ですか?
 →越境による新規アプリ開発
【Q4】「成果」に必要な「専門スキル」は何ですか?
 →Andoroid、iOS、http基礎知識
【Q5】「成果」に必要な「共通スキル」は何ですか?
 →既存の仕組みの課題発見・解決スキル
【Q6】「成果」に必要な「共通マインド」は何ですか?
  →新しいことへの挑戦心、変化への意欲
【Q7】この組織を卒業するときには「どんな人」になっていてもらいたいですか?
  →会社のやるべきと自身の好きを掛け合わせられる人

内容はもともとご相談者の頭の中にあった情報であり、ご本人が話したことをメモしただけですが、相手の中にある答えを引き出す、いわゆるコーチング的なアプローチで「人材要件」を定義できるという実例になったかと思います。

これからは「変わり続ける」を定義する時代

いかがでしたでしょうか。冒頭のツイートの説明責任は果たせましたでしょうか。笑

「なーんだそんなことか」と思われた方も多いかもしれませんが、今回ご相談者から感謝したもらえたようにビジネス現場のマネージャーが求めているものはこれくらい簡単なフレームワークだということなのかも知れません。

また、今回のことで個人的に気づいたことは、これからは「人材要件」や「組織要件」を決めたら終わり、ではなく、変わり続ける事業環境に合わせて「人材要件」「組織要件」も変え続けていく時代に入ったのではということです。

いわば「変わり続ける」ものを「定義し続ける」くらいのスタンスで取り組まなければ実効性に富んだ要件にはならないですし、これを実現するためには人事やコンサルが定義したものではなくビジネス現場のマネージャー自身が人材開発・組織開発をリードするために人材要件を設計していく状態を作らなければいけないんだと思いました。

以上、今日は「人材要件をたった15分のミーティングで整理するフレームワーク」についてでした。

それでは、また。



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