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「水」から始まった哲学ー世界水の日へ寄せてー

7億300万人

2024年現在、
自宅近くで清潔な水を利用できない
人数とのこと。

世界では、
約10人に1人が清潔な水を利用できないなか、
生活をしています。

私は大学の時にヨーロッパを旅行したのですが、
オーストリアに着いたとき、
水道水が飲めることに感動した覚えがあります。

日本では当たり前なことですよね。

でも世界には、
もっと汚濁された水で生活している人が
多くいます。

本日3月22日は、国連が定めた
「世界水の日」(World Water Day)です。

世界水の日は、水の大切さ、そしてすべての人が清潔で安全な水を利用できる社会を目指すことへの意識向上を目的としています。

WaterAid

その水の日へ寄せて、
日本に住む私たちにとっては当たり前にある
「水」について考えてみたいと思います。



哲学は「水」から始まりました。

というのは、「哲学の祖」と呼ばれる
古代ギリシャのタレスが、
万物の根源を「」としたのです。

タレス

タレスの名前を知らない方は
多いと思いますが、
実は数学ではお世話になっていたはずです。

下の図のような定理は
タレスにより見つけられ、
「タレスの定理」と呼ばれます。


タレスの定理
:円周上の相異なる2点 A, C を端点とする
線分 AC が円の中心を含むなら
角 ∠ABC は直角である。

数学得意じゃない方、
ここで記事を閉じないで!
これは本筋ではありません。

さて、
タレスは万物の根源が
「水」である
としたと言いました。

「万物の根源」というのは
なかなか聞かない言葉です。

ギリシャ語の
アルケー」という言葉を
こう表すことが多いのです。

「アルケー」とは、
「始まり、根源、原理」といった
意味があります。

なので、
「万物の根源が水である」
と言った場合には、

世界のすべては、水から始まった。
水によって世界を説明できる。

そうした意味合いであると
捉えていただくと良いかと思います。

世界というとスケールが大きくて
イメージしづらいかもしれません。

たとえば、
「人生は愛だ」と言う人がいたとします。

この人は、
「人生は愛に基づいて成り立っている」
「人生のあらゆる出来事は、愛で説明できる」

そういう風に考えます。

このような、
何かの大元にあるもの、
それが「根源」や「原理」です。

タレスは、
この世界の大元にあるものが、
「水」であると考えたのです。


たしかに、
人間の半分以上は水分です。

水分のない砂漠は、
生命が存在できない過酷な環境です。

水の地球における影響力を考えると、
アルケーが水であると考えるのも
納得がいきそうです。

もちろん現代の私たちは、
水はH2Oと言う分子でできていること、
その分子も原子から成り立っていることなど、

必ずしも、
水から世界が成り立っているわけではないことを
科学的知識として知っています。

では、タレスの考えは、
時代遅れでまったく意味がないものなのでしょうか。

私は、
人生の視点を得るうえで未だ重要である
と考えます。

つまり、
「水」と言う視点から、世界を
あるいは人生を説明してみること
です。


中国の老子の言葉に、
「上善は水の如し」があります。

水は、
四角い容れ物に入れば四角く、
丸い容れ物に入れば丸くなります。

時代や環境に合わせられる、
柔軟な人間の在り方

善いとする考え方です。

さらに老子は、水が低いところへ流れていくことに、
人と争わず、人々が嫌がるところに進むという
生き方を見ています。

また、
「雨垂れ石を穿つ」と言う
ことわざもありますね。

水の一滴はとても小さく弱いものですが、
小さな努力を続けることで、
大きな力を発揮すること
を見ています。

このように、
「水」という視点から、
人生の生き方や、人間の在り方を見てみる
のです。


もちろんこれは哲学というより
アナロジー(類推)、要はたとえなのですが
人生においては糧になることでしょう。

「水」と言う視点から、
世界を、人生を見てみること。

今日は身の回りにある水を
よく観察してみてはいかがでしょうか。

そこに、
人生の意味や水を利用できることの
ありがたさが見えてくるかもしれません。

世界では、清潔な水やトイレが利用できないことで、
毎日800人の5歳以下の子どもたちが命を落としている
そうです。

世界中の全ての子どもが、
清潔な水を使える世界を願って。

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