見出し画像

行動を変えるための「じぶん実験」


「やらなくちゃ」と思っているのに、
なかなかできない。

「やめなくちゃ」と思っているのに、
ついやってしまう。

行動をめぐる私たちの悩みは、
大きく分けるとこの2つです。


こうした行動の問題に対して
島宗理さんという行動分析学の研究者が
「じぶん実験」という面白い方法を提案していたので、
ご紹介いたします。

内容は、以下の書籍に依拠します。


「じぶん実験」とは、

「自己理解と自己実現のために、
 自らの行動を対象にして行う自己実験」

とされています。

シンプルに言うと、
自分の行動に対して実験し、

自分への理解を深めたり、
なりたい自分になるための行動を取ったりする
ことです。

実験というと仰々しいですが、
自分が思う方向へ行動するために
いろいろ試してみる

そんなイメージが
近いと思います。


具体的なやり方は以下の通りです。


  1. 解決したい問題や達成したい目標を選ぶ

  2. 標的行動を決める


実は、この本には進め方として
この2つを提示した後、
具体的な話に入っています。

ですが、標的行動を決めただけでは
進められないので、

3.「じぶん実験」を進める

が入った方がいいでしょう。


1.解決したい問題や達成したい目標を選ぶ

では、任意の目標を選びます。

夏に向けて痩せるでもいいですし、
資格試験に合格するでもいいです。


2.標的行動を決める

で、目標を達成するための
行動を決めます。

「やろうと思っているのに
 できない行動」

「やめようと思っているのに
 やめられない行動」

そのどちらかが本では
推奨されています。
冒頭の2種類ですね。


ここは一つミソだなと思います。

私たちが目標を達成する時に、
実は革新的で斬新な行動は
たいして必要じゃないことが多い。

何か新しい行動をとることが
必要な時もありますが、
大概は自分が思いつく行動で
解決できることの方が多い。

「痩せる」ためには、
「運動する」「食事量を減らす」という
とてもシンプルなことでいいわけですよね。

でも、それができないから、
今「標的行動」として
実験の対象にするのです。


ちなみに標的行動は、
動詞ならなんでもいい訳ではありません。

適切な標的行動のための
3つのポイントが提示されています。


①死人テストをパスすること
②具体的であること
③数値化できること



今回は、ある人が
「成績を上げる」という目標のために選んだ
「遅刻をしない」という行動が、
適切な標的行動になるか、考えてみましょう。


①死人テストをパスすること

死人テストとは、
「死人にはできないことのみを
 『行動』とする」
と考え、
それが行動なのかを判断するテストです。

たとえば、
「間食をしない」というのは、
私たちが立てがちな目標ですが、
これは死人にもできます。

なんなら死人は間食どころか
三度の飯も食べません。
かないませんね。

ということは
「間食をしない」というのは
実は「行動」とは言えないのです。

では、
「遅刻をしない」はどうでしょうか。

「遅刻をしない」ということは
「時間通りに来ない」ということ。

死人は時間通りどころか
時間がいつまで経っても
到着はできません。
動けませんから。

だから、
否定系は使わずに、
「時間通り・時間前に到着する」
としてみましょう。


②具体的であること

「時間通り・時間前に到着する」は
具体的でしょうか。

実は、
「時間通り・時間前に到着する」は
結果でしかありません。

・到着のために走る
・駅の改札をスムーズに抜ける
・一本早い電車に乗る
・家の支度を手早く済ます
・朝早く起きる・・・

そうした行動の結果が、
「時間通り・時間前に到着する」
なのであって、
結果だけを意識しても変わりません。

なので、
標的行動、つまり
今変えたい行動にはなりません。

「細かいなぁ」と思いますか?

でも、行動を即座に変えられる人は、
ここまで考えて行動を選んでいます。

会場についてから
急いでも遅いのです。

問題は、そのずっと手前の行動にあります。


③数値化できること

これは、測りようで
いくらでもできる部分でもあります。

ただし、
「駅から速く走る」を設定して
「時速を1kmあげよう」なんて考えても
意味がないことはわかりますね。

時速は自分では測りづらいですし、
測ったところで・・・

数値化の視点としては
・回数
・頻度(週何回など)

が代表的です。

先ほどの遅刻の例であれば、

・1つ早い(15分)電車に乗る
・支度を10分短くする
・朝30分早く起きる

などです。
ここまで具体化できれば、
この標的行動を計測して
変えていけそう
です。


ただし、その前に
「どれが大きな原因か」という
問題もあります。

例えば、1つ早い電車に乗りたいと、
いつも思っているのにできないのだとしたら、
その前に原因がありますね。

支度に時間がかかり過ぎているのかもしれません。
朝起きる時間が遅いのかもしれません。

ここが変われば、結果が変わるという
中核となるポイントのことを
島宗さんは「行動変容の核心点」としています。

ここで何が原因かは、
人によって異なるため、
自分の記録をとる必要があります。

もし行動を変えたいと思っているなら、
毎日の行動を1週間記録にとってみること
それをおすすめします。

まずは、現在
自分が何にどれだけ時間を使っているかを
知ることからです。


ちなみに、この本では
標的行動をやってしまうorできないという
原因の推定に「随伴性ダイアグラム」というものを
使っています。
(下図)

真ん中に標的行動の丸があります。
その左には標的行動の前に起こっていることを、
その右には標的行動の後に起こっていることを
書いていきます。

できるだけたくさん書き出して、
どれが自分の行動に影響を与えているのか
分析するのです。

ちなみにこの枠組みは
「ABC分析」というもので、
こちらの記事でも解説しております。


めんどくさく思いますか?

でも、こうして分析することで、
自分の行動が変わり、
自分の人生をよくすることができる
なら
ほんの少しの労力とも思えます。


いかがでしたか?

「正しい目標設定」は、
多くのコーチングで話されています。

でも、
「適切な行動設定」は、
まだまだ曖昧にされている部分だと思います。

ついつい「死人の方ができること」を
行動に設定していませんか?

実は目標設定よりも
行動のマネジメントの方が重要かもしれません。

それを、自分で実験して変えていくという
「じぶん実験」で掴むことができるかもしれませんよ。


おわりに

最後までお読みいただきありがとうございます!

私は、「人生迷子を1人でも減らす」ために
日々活動をしております。

プログラムでは、
人生の指針となるテツガクを作成したあと
それをどう日常の行動に落とし込むか、
そこまでおこなっています。

ご興味ありましたら、
ぜひ一度、ご体験ください。


「人生迷子」を減らすために
運営している具体的なプログラムが
こちらとなります!

よろしければ、
自己紹介も兼ねたこちらの記事も
ご覧ください。

スキ、コメント、シェアいただけましたら、
とっても嬉しいです!!

よろしければサポートをお願いします!いただいたサポートは活動費に使わせていただきます。