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それはただ、「今は」現実味がないだけで。

カフェをひらく準備と、本屋をひらく準備をしている。

カフェをひらいてみたいというのは、わたしが6年前から考えていたことだ。「コーヒーを提供したい」とかではなく、わたしは「場づくり」をしてみたかった。

同じく夫も6年前から、「カフェをやってみたい」と言っていた。当時は本気でそう言っていたというよりも「いつか、そんな未来があったらなあ」というニュアンスだったと思う。しかも「それで一発当てたい」とかそういう野心の類ではなく、「コーヒーを淹れるのが好きな自分が、それを誰かに届けて、その人が少しでもしあわせな気持ちになってくれたら嬉しい」という、ささやかな願いだった。

場づくりをしてみたいわたしと、具体的な手段を持つ夫。その需要と供給がうまくハマって、いよいよ今年の冬にはカフェをひらく予定。わたしは企画やコンセプトなどの裏方担当なので、実際にカフェを運営するのは夫である。

一方で、本屋づくりも、じつは少しずつ準備している。これも夫の夢のひとつで、わたしは自分にできることでほんの少しお手伝いをしている形。

夫は昔から本が好きで、読書の時間が心の栄養になるタイプ。本屋に入ると平気で何時間も滞在する。すべての棚をくまなく眺め、店内を何周もして、両手いっぱいの本を買って出てくるのなんていつものこと(わたしはすぐにリタイアしてカフェで待っていることが多い)。小説、歴史書、エッセイ、実用書と、読むジャンルも幅広い。毎日自宅の本棚を眺めては、好きな本だけが並んでいる様をみて嬉しそうにしている。

本屋の構想は、昨年の秋頃から本格始動した。夫は実践は得意だけれど、構想はわたしの方が得意なので、いっしょにコンセプトを決め、店名を決め、今後の進め方を二人で考えてきた。カフェづくりもあるので、本屋の方はすぐにひらくというわけではなく、数年かけてじっくり進めることに決めた。

正直なところ、夫がカフェや本屋をひらくことになるなんて、出会った頃は思いもしなかった。わたし達は新卒で入った文房具メーカーの同期だったのだけれど、当時から夫は石橋を叩いてわたる安定志向タイプで、目の前にある仕事をコツコツこなすのが得意。会社員でもうまく生きられたと思う。実際、当時は「一生この会社で働く」的なことも言っていた。

その夫が、である。

いつの間にかフリーランスとして独立し、次はカフェ運営をはじめる予定。会社員という安定から外れ、不確定な生き方を選び、そして今、自分で本屋をひらこうとしている。人生、なにがあるかわからない。

わたしもわたしで、「いつか自分で仕事をつくりたい」とは学生時代から思っていたけれど(当時から意識だけは高かった)、まさかお店やカフェなどを経営することになるとは、まったく思っていなかった。お店を持つことが現実味を帯びてきたのは一年前ぐらいからで、それ以前はまったく「どうすればそんなことができるのだろう」と思っていたのだから、やっぱり人生はわからない。

自分のなかに壮大な夢が浮かんだとき、「現実味がないから」といって、そこでポイっと記憶のゴミ箱に捨ててしまうのはもったいないような気がする。

わたしや夫みたいに、当時は現実的でなかったとしても、心の片隅に置いてざっくりそっちの方向へ進んでいるうちに、「なんかできるかも」と思えるところまで来られたりする。

「できっこない」と思うのは、その時点では方法がわからないだけなのだ。そしてその「どうしたらできるのか」という方法や手段は、アンテナを立てて進むうちにアイディアが集まってくる。今の自分にできないからといって、未来の自分にもできないとは限らない。

そんなこんなで、カフェは今年の冬にOPENを目指して準備中。本屋は数年以内にどこかに場所をつくってひらくことをイメージしつつ、少し前から夫がInstagramを始めた。「まずはできることから始めて、自分が何をやりたいのか伝えていかないとね」と言っていて、夫婦ですっかり似たマインドになったものだと思ったり。

ということで、いつか本屋をひらく夫のInstagram、よかったらのぞいてみてください。

- 本屋 豆電球Instagramアカウント
https://www.instagram.com/honya_mamedenkyu/

おわり


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