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自分のための場所、誰かのための場所

「 "自分のため" だけだったら、もう挫けていたかもしれない」

と、お店づくりの過程で何度も思う。

考えることの多さ、やることの多さ。加えて、見知らぬ土地であること。300平米もある敷地の管理。初めてのことだらけ。

自分が心地よく過ごす場所というだけであれば、もっと小さな場所で良いだろうし、こんなに自然豊かでなくても良いかもしれない。つまりは、この地である必要性も、この建物である必要性もないと思う。

でもここは「わたしだけの場所」ではなくて、自分と向き合う時間を大切にしている人たちに来てもらいたい場所だ。顔の浮かぶ大切な人達や、まだ見ぬ大切なお客さん達が心地よく過ごす場になるはず。

だから、頑張れているのだと思う。

先日、東京から遊びに来てくれた姪っ子が、楽しそうに庭を駆けまわる姿を眺めていた。庭に響く笑い声と、楽しそうな妹家族の姿。この場所にプラスされていく明るい空気。

またある日、神奈川に住む友達が、庭仕事の手伝いに来てくれた。作業後、店内でのんびりコーヒーを飲んでくれている様子を見て、こうして訪れてくれた人達が「お店」に育てていってくれるのだなと思った。

思えばこれまでも、そうだったのだ。

じぶんジカンを始めた時も、ただ自分がノートを作っただけで終わりにならなかったのは、受け取ってくれる人達が居たからだ。ノートを手に取り、自分と向き合う時間を大切にしている人達が居たから、じぶんジカンは「お店」になれたのだ。

わたしはこれまで、基本的に何をするにも「自分のため」からスタートしてきた。今もこのお店づくりだって自分が楽しいから始めたので、そういう意味では根っこは変わらない。

ただ「自分がやりたいから」で始めたお店づくりだけれど、何をするにも「ここは自分のための場所であり、誰かのための場所でもある」という気持ちが常にある点が、これまでと少し違う。

「自分のため」だけだったら諦めたくなるようなことも、ここに来てくれる「誰かのため」を想うと頑張れたりする。「誰かのため」が先に来てしまうと、自己犠牲的になってしまうこともあるけれど、前提に「自分のため」があるので、自分に大きな無理をさせてまで頑張ろうとは思わない。そうではなく健やかな活力を得られるのが、「自分のため」の上に「誰かのため」が乗っかることの、良いところだ。

今日もお店づくりにおいて、考えること、やることが、たくさんある。わからないこともたくさんあるから調べねばだし、やっぱりお金もたくさん必要だ。

けれど、こんな面倒で大変なことをしてでも、わたしはこの場所で、みなさんと「自分と向き合う時間」をいっしょに過ごしたいなと思っているので、いつかみなさんが来てくれる日を楽しみに、今日も頑張ります。


おわり


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運営している「じぶんジカン」では、自分と向きあう時間をつくるノートをお届けしています。もっと心地よく自分を生きるための一歩目に、よかったらどうぞ。




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