【視点】グローバルを知った中国人の「もどかしさ」について
皆さんご存知の通り、中国は独自の情報統制を実行しており、アメリカ資本のGoogleやMeta社などのプラットフォームを遮断して自国企業を優遇して育ててきました。そのおかげで、多種多様な中国出身のユニコーン企業が生まれ、独自の経済圏を生み出すことに成功して来ました。
そこに大きな「もどかしさ」が生まれています。
例えば《黒神話：悟空》の中でも出てきたアメリカのValve Corporation（バルブ・コーポレーション）の「Steam」というゲームプラットフォーム。
2021年に中国版Steamができるまで、中国ゲーマー達は、中国から国際ゲームプラットフォームにアクセスすることができ、世界中のゲーム愛好家と同じようにグローバルルールの表現規制の中で作られたゲームを楽しんでいました。
中国と言えば独自のセンサーシップがあることで有名です。暴力表現や血しぶき、性的表現などについても黒塗りや本編カットなどの対応が必要です。グローバルとは違う「ローカライズ」が必要になり、時にグローバルとは違ったコンテンツになり、時として「面白さが半減してしまっている」というコメントが見られることもあります。
中国には様々な独自ルールが存在していますが、国民は基本的に不自由を感じていませんでした。その理由として挙げられるのが「景気が上向きだったから」「国内サービスで十分だから」という理由です。
Instagramの便利さは、Instagramを使いこなせないと分かりません。しかし中国国内に中国人が使う上でよりローカライズされた別アプリ（今なら間違いなくRED）があれば、Instagramを使えない不便は、海外に住んでいた人でもない限り不便を感じないのです。
なので、YouTube見れないなんて不便じゃない？とよく聞かれるのですが、中国国民に関してはあまりそこに不満は持っていませんでした。勿論我々外国人は不便に感じますし、日本のニュースも追いかけたいので「VPN」を利用して中国国内から海外サイトにアクセスしていました。情報差もビジネスをする上では大切ですし。
ただ、グローバルのSteamを遊んでいたゲーマー達が、突然グローバル版を遊べなくなったら確実に不便に感じますよね。なので2021年に中国版Steamができてからは、VPNを使ってグローバルSteamを遊ぶ中国人も増えています。中国政府はVPNの利用は禁止していますが、基本黙認状態となっています。
ことSteamに関しては、中国版でリリースする際は先述のような”中国のルールに則ってのローカライズ”が必要です。そんな面倒なこと誰がやるんだ？と思いますがそこにはしっかり取り組むべき理由があります。
2022年の記事ですが、ゲームエイジ総研によりますと、Steamにおける年間市場規模は日本では約440億円で、約450億円のカナダとほぼ同等の規模となっていることが書かれています。特筆すべきは2位のアメリカの市場規模が約4,232億円に対し、1位の中国は約1兆3,272億円と、けた外れの市場があることが分かっています。
この大きい市場を獲得するためにも、中国ローカライズは必須だということは分かります。事実、《黒神話：悟空》はこの市場で最大限の売上を獲得し続けています。
しかし一方で、グローバル版に慣れ親しんだ中国の方々に向けて、上はどこまで新しい規制を設けていくのか、これはなかなかに難しい問題です。
そしてこれらは、ゲームだけではなく、様々なビジネスで起こりえる課題です。
先に挙げた理由「景気が上向きだったから」「国内サービスで十分だから」中国の国民は不満を持っていない、という一節がありましたが、この前提が崩れてしまうと、果たしてどうなってしまうのでしょうか。
これは現在進行中の非常に重要なトピックであると思っていまして、私も事の成り行きを見守っております。
本件詳しい方やためになる考察記事などありましたら、コメントで教えていただけると助かります！
本日はここまで。謝謝閲読！
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