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【読書感想】 極楽征夷大将軍

足利尊氏は将軍になった割には、あまり人気のない人物です。

ドラマや小説の主人公になることはあまりありませんし、ゲームの題材にもなりません。
戦前には朝敵とされたことも影響しているかも知れませんが、人物像がわかりづらい、というところが一番の理由ではないかと思います。

織田信長や徳川家康が、天下人になるという目標にまっすぐ向かっているように見えるのに対して、足利尊氏はいまひとつ行動が煮え切らないですし、幕府を開いた後も、内紛を繰り返しています。

そんな足利尊氏を、一気に魅力的な人物に変えてしまうのがこの小説です。

天下を取ろうという野心もなく、能天気な性格で描かれる足利尊氏を実務家の弟の直義と執事の高師直の二人が支える構図で、お互いの信頼関係が心地よい小説です。

ただ、その分彼らが敵対しあうことになる第四章は、言い表せない悲しさがあります。


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