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兄が死んだ時、毒親は

唯一私が好きだった兄が事故で亡くなった。
私は時が止まり、涙は止まらず、
兄のいない人生に絶望した。

葬儀を一通り終えて、兄嫁と母と夜に話をした。
兄のこと。
悲しいね、苦しいねと。
その時に母が言った。

『そんなに悲しいなら、
かわりに自分が死んだら良かったと思わなかったの?』

毒親育ちは
怒るべき時、怒るべき相手に怒れない。
自分の怒りに気づけない場合もあるし、
自分が悪いのではないかと罪悪感を持つように
しつけられているので、
正しいタイミングで、正しい相手に、
自分を守るために怒ることが出来ない。

カウンセリングですっかり克服したと思っていたが
状況が状況だっただけに、
私はなす術がなかった。

兄嫁が母をたしなめた。

数日後、私のカウンセラーが連絡をくれた。
何の気なしにその話をしたら激しく怒ってくれた。
そして私は怒っているのだと気づいた。
傷ついているのだと気づいた。

母に電話をして、
あの時の発言は傷ついので謝って欲しいと伝えた。

母は、終ったことを気にして精神病じゃないのか?
と言った。中々謝らなかった。
そしてこれからもまだ私を傷つける言葉を話してしまうだろうから、会わない方が良いねと言った。

毒親は生涯毒親だ。
変わることはないし変われない。

子どもを亡くした母親が、
もう1人の子どもに死ねと言えるだろうか。
そして母にとっては子どもを、
私にとっては兄を亡くし、悲しみの淵にいる時に、
これからも傷つけると言えるだろうか。

私は母に、
これからは、母と疎遠な理由をどんな人に聞かれても
近所の一人に聞かれても親戚に聞かれても
『兄の代わりに死ねば良かったと思わなかったのかと母に言われて傷ついたところ、これからも私を傷つけることを言うので会わないと母が言うので』と
説明すると言って電話を切った。

兄が生きていたら
こんな目に合ったよと笑い話にして話せたのに。

兄が亡くなって3年。
生きるのは辛い。
間もなく兄の亡くなった年齢になる。
その一年は生きていたい。

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