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父の浮気が発覚した後、私の心は殺された

父の浮気が発覚して
ため息ばかりつき、不機嫌が増した母。

ある日、私は自室で勉強していた。
ドタドタと大きな足音で階段を駆け上がり
母がガラリと大きな音を立てて入ってきた。

『そこに正座しなさい』
母は封筒を私の前に置いた。

『お願いだからこのお金でここを出ていって』
『あんたがいたら家を出られない』
『あんたがいると不幸になる』

泣いてすがった私は
おじいちゃんやおばあちゃんが悲しむから
母さんに家出されては困る、
どうかいて欲しいと懇願した。

勉強机にはペン立てがあって、
数本の鉛筆やカラーペンの他にカッターがあった。

母はそれも私も前に置いた。

『だったらこれで死んでちょうだい』

あの頃のキリキリとした胃の不快感を思い出す。
幼いときから胃酸が出っぱなしだったのだろう、
30歳で食堂裂こうヘルニアになった。

あの日のあの部屋に今の私が飛んでいって
その場で警察に電話して
虐待を受けていますと通報してやりたい。
14歳のガタガタ震える私を強く抱き締めて
大丈夫だよと言ってあげたい。
目の前にいるのは悪魔で
あなたが心を配ったり気にやんだりする対象ではないんだよと言ってあげたい。
全ての母親が愛情を持てるわけではなく
この人は諦めなさいと言ってあげたい。

母親の愛情がなくても
人は幸せでいられるのだと教えてあげたい。

ここが、この家が、
世界の中心ではなく、世界の全てではないんだと。

封印して生きてきた。
人に言う話しではないと思ったし
家族や親族にはもっとも言えないと思っていた。
それよりも、
私がそうさせたのだ、
わたしのせいなのだとすっかり思い込んで
罪悪感を母に植え付けられていたから。

誰にも言えず、祖父母にも曾祖母にも兄にも
言えなかったこの話は、
15年経ってカウンセラーからの課題により
母に突きつけてみたが
『記憶にない』という返事だった。

母の妹も信じてはくれなかった。

時々思い出してしまい、
あの頃の自分に一気に戻ってしまう。
その度に、
大人の私が私を抱き締めるイメージをする。

過去は消えず私の傷は残り続けるが
私は屈しない。
何度でも自分を助ける。 
あの頃の母に屈したりなんかしない 。
大人の自分は、自分で自分を守ることができる。


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