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「僕を救ったTさんのはなし」

<エッセイ>

以前人との出会いの話を書いた

僕は人生で何回かピンチを迎えているが、最大のピンチを迎えたのは関西に転勤の間のこと

この時期に本当に全てが崩壊しかけて、危ない状態を迎えていた

しかし、ここで本当に神様っているのかもとか、どうしようもなくなった時に出会うべき人と出会ってきた話の1つをさせていただきたい


女性との出会いだから鼻についたら申し訳ないけども、でも書きたいので書きます。感謝の気持ちが大きいのと、こんなこともあるんだということで、

私は関西に着任してからめちゃくちゃ仕事もプライベートもおかしくなってしまっていた。
特に体はもうボロボロで、原因不明の不調が山ほど出てしまい、限界を迎えていた。
ほとんどのことを根性で乗り切ろうと当時はしていて、おかしくなればなるほど頑張るという今考えると全く理にかなわない生き方をしていて、どんどん体調がおかしくなっていった。

そこで出会ったのがTさんだ

Tさんとはネットで出会った。
当時は私は大阪、彼女は東京だった。

僕は昔 金融に勤めていて、彼女も金融だったから仕事の面で話が合った。
そして、顔もわからないけどもとても価値観があって、ぽつぽつネットで話すようになっていく
いつしか、週に何回かの彼女との話が楽しみになっていた

だんだんお互いの身の上を話していく中で、色々と共通点があることがわかった

そして、私のプライベートな状況、体調を彼女が知ってから、ここからが驚きだった

まず、私の体調を心配して彼女から食事が届いた
一回じゃない、何度も何度も

最初ダンボールでクール宅急便が届いて、何だろう?と思ったら、冷凍されたジップロックに彼女が作った健康食がたくさん入っていた。

すごく驚いて、恐縮するやらなんやらで、、ただただありがたいと思っていた。
当時は体も全く動かなくて、仕事だけは這うようにいっていたけど、そのほかはもう何もできていなかった。
そんな中で健康的な食事を送ってくれたこと今でも感謝している。

そしてそれが続いていく中で、ある日彼女が関西にきてくれるということになった。

自分も日頃の感謝も込めて、京都を案内しようと思って、その会う日に京都に向かった。

正直この頃 体と精神はボロボロ
突っ立ってるのも厳しいような状態だったんだけど(事実彼女とあった翌日から高熱が続いて数日間倒れてしまう)
京都に向かった。

その日1日はとても楽しかった。
体がキツかったから時々記憶が飛んでいるけども、今時こんな人いるんだと思うくらい彼女はしっかりした人だった。
その時は恋心はなかった。
でも、とにかく信頼が少しずつ芽生えていた。

帰りに彼女をホテルに送り届け、その後自分はタクシーで駅へと向かった時に、タクシーの運転手が言ったことを覚えている

「お客さん、ああいう女性はとてもいいですよ、離しちゃいけないですね」

と言われた。はー、すごいなあそんなふうに見えたんだなあというのを覚えている。そんなこと言うかね?とも思った(よっぽどそう思ったんだなと)

とにかくそこで出会ってから、遠距離で話が続いた。

彼女に対して次第に心底 尊敬にかわっていくことがいくつかあった

・日本のある大学を卒業後、イギリス留学しダブルディグリーを取得していたということ
・独学で英語がペラペラになったこと
・今の会社でもとても成功しており、会社でかなり優秀でないとフランス本社(彼女は外資系の会社だった)への1年間の業務出行は出ないのだけど、彼女がその対象となり実際に1年フランスへ行っていたこと
・そして私の父にも通ずるが、上記を一切鼻にかけず、淡々としていたこと
(実際、私が聞いたので事実を言ったまでで、聞かなければ言わなかったことばかりだった)

だった

そして、とにかく優しく献身的だったということ
私の家に来た時には隅々まで掃除をしてくれて、やらなくていいと行っていたのだけれども、いつもちゃっちゃっと進めてくれていた、ただただ感謝でしかない。

また、彼女から学んだことがいくつかある
それは、どこか権威に凝り固まっていた私に大切な価値感を教えてくれた

・別に成功なんてどうだっていい
・したけりゃすればいいし、しなくてもどうでもいい
・したい場合はそれに見合った努力をすればいい
・健康で、自分らしく生きていければそれでいい
・お金に対する価値観(これは大きかった、彼女は全くと言っていいほどお金を使わなかった、ケチというのではない、事実使う時はドーンと使った、でもそれは人のための時が大きかった、自分に対しては高価な化粧品もブランド物も全くと言っていいほど興味がなかった、むしろ、カッコ悪いとすら言っていた。 彼女に言われたことがある。ジョンさん、ブランド物なんて年老いてから1つ好きなものを身につければそれでいいよ、そんなに若くしてじゃらじゃら持っていたら格好悪いよと)

あとは

・努力、これは大きかった、努力というか彼女にとっては当たり前なんだと思う。
たとえば、彼女は英語とフランス語がペラペラだった。
でも、一緒にいた間ずーっとほぼ毎日、キッチンに立つ時はBBCを聞いていたし、フランス語はオンラインで毎日学んでいた。簡単にいうけど、なかなかできるものじゃない、何しろ彼女は忙しい人だった。でも辛いとかきついとか面倒とか一切聞いたことがなかった、すごいねって言ったら、ん?何がすごいの?っていうから
毎日の努力がすごいって言ったら、ああ、当たり前よー、だって私は話したいんだから って言ってた、格好良すぎだった。
また、自分の価値観からみてダメな人はどんなに社会的立場がすごくてもバッサリと言い切っていたのも格好よかった。権威というものに縛られていた私の頭をスーッとクリーニングするように、彼女との会話はそういったノイズを一掃してくれていった数年間だった。
ご飯を大切にしていた、彼女が作るものは美味しく、そして健康的だった。忙しい中でも毎日作っていた。素晴らしかった。

あと、何より謙虚だった

自分の人生で今まで何人かすごい人に出会っているんだけども、本当にすごい人は例外なく謙虚だった。
なんかフワーッとしているというか自然体というか、たぶん、くだらない無駄なことに時間やエネルギーをかけている暇がないんだと思う
あとこれも共通しているんだけども、言葉で何か主張することにあまり意味を見出していないと言うことを感じた。とにかく行動とそこから生まれてくる結果、これで見せていくという姿勢、それが共通していた。
ただただすごいなあと思って見ていた

とにかく人間として尊敬でいっぱいだったし、この期間で生きる上での大切な価値観というものを学ばせてもらった、本当に感謝でしかないし、このタイミングで彼女と出会ったことは天の配剤としか思えなかった、それくらいびっくりした。
その時の自分にはどう考えても必要な存在だった。

そのほかにも色々あったけども、全てを書くことはできないのでこの辺で。


彼女とは後に別れてしまうのだけれども、一緒にいた間にとんでもなく色々なものを学ばせていただいた。今でも感謝している。

また、自分が生きているこの世界にはすごい人がいるんだということも、希望を持たせてもらったことだった。 ありがとう、ありがとう。



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