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「ストレス脳を読んで」

最初に結論をお伝えすると、今まで読んできたうつやストレスに関する本の中で最上位に近いくらい良い本であった。一読をおすすめします。

著者のアンデシュハンセンは精神科医であり、MBAも取得している。スウェーデン出身の方。

非常に考え方のバランスも良く、本質をついた記述が世界に受け入れられている。

この人のスマホ脳・最強脳・ストレス脳はベストセラーになっている。特にスマホ脳は有名かもしれない。
今度は運動脳という本もこのストレス脳の後に書いている。
内容も私はうつは運動で消えるを読んだので、推察できるが、この人の内容はより説得力があるのかもしれない。読んでみたい。

本書の内容を私なりにまとめてみる。

まず
人間というのは生存することが第1である生物であるということ。
そういった中で、生き残りには、人間のような小さな生物で攻撃力も自身にはそれほどない生物が生き残ってきたのは集団での活動を可能にした頭脳と性質であり、それが現代人の脳みそにも未だ残っているということ。
それがため、人から評価が下がる、否定される、孤独になるということが実態よりも数倍危険で、自身の能力を低下させるということ。
そして、それはある種仕方がないこと。
危険だというアラームを鳴らしてくれている脳機能が正しく動いているものだということを自覚することだと述べています。

そして、そのストレスとうつ的な状態を緩和させるのに有効なのは運動であると述べられています。

原始の人間は食料を確保するために、1日約18000歩程度歩いていたというエビデンスがあります。
そういった状況の中、現在は1日椅子に座り、遥に高いカロリーを取得し、体の中では、胃腸への負担、そして常に肥満や糖尿になりかけるという危機と戦う状況ができてしまっているということ。
そして、不安やうつも、体を動かすことでストレスを身体中に循環させ、体を痛めつける糖の存在も消化し分解するという効果を持ち合わせている素晴らしい対処策であると述べている。

つまりは、孤独と運動不足がストレスを生み出し、人間を苦しめている状況であると述べられています。

もう1つは解釈の問題です。

世界の貧困国ではストレスと感じられないことでも、先進国ではストレスになってしまう。これは何かというと、人間は比較の生き物であり、絶対的価値で自由で安全な状態にあっても、隣の人より安全でない、隣の人より自由でないとなると、ストレスを感じてしまうということです。そしてその範囲は極めて狭いということです。

もし、生まれつき食事もない、自由もない、お金もないという状態で、周囲も同様の生活であった場合、生命を脅かすレベルであれば、そういったストレスは受けますが、もしそうでない場合は、ストレスを大きく感じることは少ないと述べられています。
つまり根源的な問題(睡眠、食事など)が満たされている場合、他に問題になるのは比較であるということです。そして運動不足と孤独。非常に明快です。

本書の最後に10箇条なるものの羅列があります。これはここでは記載しませんが、どのように考えて生きていくべきかの10箇条が書かれています。必見です。
1つだけ書きますと、幸せになる条件として、常に幸せになろうとしないことが掲げられています。
著者は幸せとは、ある程度孤独を防げて、運動をして健康を保ち、苦痛を低減させる生活のことを指しています。常に気持ちよく、良い状態をキープするなど、人間の性質から言って不可能であり、それを目的にした途端にむしろ不幸になるということを述べています。

私も同感です。

なので、人間を根源的に苦しめてしまうもの
・孤独
・運動不足
・解釈
に手をつけること。

そして努力をすることだと思います。
非常に説得力も高く素晴らしい本でした。

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