スパイスの香りを食卓へ
「スパイス」をもっと楽しもう
身近なお店で比較的手に入りやすく、料理に風味や彩りを与えてくれて、健康にも役立つといわれるスパイス。気軽に使うことができると、メニューの幅がぐんと広がり、普段の食卓も新鮮に!
スパイスの最も大きな働きは「香り」
調味料的な存在のスパイス。その定義は明確ではなく、一般的に植物の果実や種子、樹皮などを利用するものをスパイス、葉、茎、花を利用するものをハーブと呼ぶようです。話を伺ったのはスパイス専門店「メランジェ」の店主で薬膳インストラクターの山下玲美さん。“スパイスを使った薬膳(中国伝統医学に基づいた食養生)”をコンセプトに、開発したスパイスカレーキットを販売しています。
スパイスの大きな働きは、香りづけ。色や辛みづけ、防腐・防虫効果を持つものもあります。スパイスは辛いものと思いがちですが、カレーに広く使われる多種のスパイスの中でも、辛みに分類されるのは唐辛子と胡椒だけだそう。また、味をつける働きはなく「例えば作ったカレーの味が薄いからとスパイスをたくさん入れても、香りが強すぎたり苦みが出てしまったりします」と山下さん。
ホールとパウダースパイス
ホール(原形):長期保存ができる。煮込み料理やスープ向き。やわらかく上品に長く香る。
パウダー(粉状):劣化しやすいため早めに使い切りたい。しっかりと香りが立つが、その香りは飛びやすい。調理の途中や仕上げに。
常備におすすめ、黒胡椒とローリエ
スパイスの効能について教えてもらいました。「健胃作用のあるスパイスが多いですね。薬膳的には『気』を香りで回す効果があります。東洋医学で人間の体は、『気血水(き・けつ・すい)』の3本柱で構成されていると考えられています。気は私たちが活動するためのエネルギー源。その気は元気な胃で作られるのです」。ちなみに、気が不足状態の人には、辛いもの好きが多いとか。辛いものは気を発散させるため、食後に眠くなるような人は、控えた方がいいと言います。
常備におすすめなのが、黒胡椒がそのひとつ。黒胡椒はおいしいだけでなく、体を温め、気の高ぶりやイライラを鎮めてくれるそう。もうひとつはローリエ。炎症の緩和や健胃作用などがあり、具体的には香りを出すため葉を折って白湯の中へ。飲むと頭痛など痛みの軽減が期待できるそう。「体を温めてくれる、痛みを和らげてくれると思いながら食べたり飲んだりすると、よりいいですよ」。
《スパイスレシピ》
スパイスってどんな使い方ができるの?ホールスパイスを使用するレシピを聞きました。とっても簡単です!
●ピクルス
カレーの付け合わせに。夏はミニトマトをたくさん漬け込んで、おやつ代わりにも!
(材料)■お好みのスパイス(ホール)数種:ローリエ、唐辛子、カルダモン、マスタードシードなどを適量 ■ピクルス液:酢 200cc、砂糖 大さじ1、塩 大さじ1、水 150cc ■好きな野菜
(作り方)ピクルス液の材料とスパイスを鍋に入れ、一煮立ちさせる。液に野菜を半日ほど漬け込んで完成。
(食べてみた)スパイス3種類と穀物酢を使用。特においしかったのがパプリカ。きゅうりなど液の染み込みが早い野菜は、あまり時間をおかず食卓に出すとお子さまも食べやすいと思います!
●万能!スパイスオイル
スパイスの香りの成分が油に溶け出し、オイルがだんだんまろやかな風味に。バジルを加えてゴーダチーズ(カット)を入れれば、おつまみにも。
(材料)■お好みのスパイス(ホール)数種:ローリエ、カルダモン、クミン、シナモンなどを適量 ■お好みのオイル:量もお好みで
(作り方)スパイスを鍋で乾煎りする(弱火でじっくりと)。いい香りがしてきたら火を止め、オイルの入った容器に移す。常温保存OK。
(食べてみた)黒胡椒を含め3種類のスパイスとオリーブオイルを使用。塩をぱらっとふった野菜サラダにかけて食べると、スパイスの豊かな香り・風味に感動!ソテーした肉や魚に調味料感覚でちょっとかけたり、アヒージョに使ったりも◎。このオイルは、いつもの料理を格上げしてくれます!
取材協力・・・スパイス専門店 メランジェ
薬膳の薬効に注目してスパイスを調合し、家庭で簡単においしくスパイスカレーが作れるキットづくりを手がけます。カレーの種類は、冷えない体をめざす「キーマカレー」や、女性にうれしい効果が期待できる「エビ×ココナッツカレー」など5種。オンラインストア(月に4〜5日ほど開店)、または札幌市内をはじめ道内外にある取扱店にて購入できます。インスタグラムで情報発信中!
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