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金銭的な利益だけが会社の利益ではない。JPTが生み出す目に見えない価値とは?

「会社の存続のためには利益をあげなければならない」
「会社の幸せと社員の働く幸せは両立できるのか」
「イケイケな人でないと社会では受け入れられないのか」

――働き始めてから、普通の人より敏感で悩みやすい性格であることを認識した私は、社会人になってからこんな問いをずっと考えてきました。
数字を追い求めて疲弊したり、わかりやすい成果を求められることが苦手だと感じ、自分に合った環境・仕事を考えて、実際に転職を複数回重ね、自分のキャリアやフィットする環境を模索してきました。

どんな人でもいきいきと働ける環境をつくるにはどうしたらいいのだろう。そんな社会は本当に実現できるのだろうか。
いつしかそんな問いを抱くようになり、"JPT"という多様な人と多様な形で働くことを体現している会社に出会いました。

とはいえ、会社である以上は利益を上げなければならないはず。
特例子会社という立ち位置で、利益を生み出すということに対してどんな風に考えているのだろうか?

そんな率直な疑問を、社長・成川さんに聞いてみました。

利益追求の社会の中で日々頑張る方々、会社の利益と社員の利益について日々考える人事・HRBP担当者や、ダイバーシティ推進担当の方などのヒントになれば良いなと思います。

(執筆:JPTアンバサダー ゆみ)

▼全4回でお送りします
金銭的な利益だけが会社の利益ではない。JPTの生み出すとは?(本記事)
JPTの生み出す”価値”を広めていくには?
自分で自分のキャリアをつくれる会社をつくる。JPTの多様性の本質とは
JPTはどんな人でもウェルカム。社会の変化によっていかようにも変化していく

社会が目に見えないものの価値を見出している

ー私自身、これまで複数の会社で働いてきて、利益を出していく組織をつくったり運営することと、一方で社会で一度挫折した人を受け入れていくというのはすごく難しいなと思っています。
社会には”利益を出せないと存在できない”というパラドックスがあるように思っているのですが、そのあたり、成川さんはどうお考えでしょうか?
(成川)
そうですね…。利益を追い求めてファイター・精鋭たちが集められて、勝負に勝って大きなインセンティブを得ていく社会だったのが、今だんだんとそうじゃない世界―「それじゃだめだよね」という流れが出てきている時だと思うんですよね。

例えば、SDGsー”社会にいいことしましょう”、”地球にいいことしましょう”という流れや、「持続可能でなければ意味がないよね」と、一部の優れた人たちだけが集まって勝つ組織ではだめだよ、と引き戻すような力学が働いてきていると思っています。

利益を出せないと存在できないといったパラドックスがある中で、僕たち真逆の人たちーつまり、いわゆる”つよつよ”な人たちが、僕たち真逆の人たちに寄ってきているような作用が働いている。SDGsや持続可能な社会という後押しでこちら側に寄ってきている。

社会がこちらに寄っていくことを後押しして、お金を出してくれたり、お金ではないものの価値を見出してくれたりするようになっていたり。

だからこそ、JPTが成り立っていると思っています。

JPTの生み出す”間接的な価値”

(成川)
JPTの価値というのは、「経済的利益」と「非経済的利益」があると思っています。
会社を設立するときに、それを「直接的な価値」と「間接的な価値」と定義したんですが、その間接的な価値を認めてくれる人たちが大きく増えてきているからこそ、相対的には価値が上がってきていると思っています。

直接的なサービスによってもたらされるメリットと比べて、やっていることは同じでも間接的な価値のほうが大きくなっている。
直接的なサービスによってもたらされるメリット・デメリットに加えて、今は間接的な価値のほうが大きくなってきているんじゃないかなと思っています。

▼成川さん執筆のnoteはこちら

直接的な価値:サービスによってもたらされる金銭的なベネフィット

例1:業務効率化、省力化、自動化によって削減される人件費および経費
例2:これまで出来なかったことを実現することで得られる新たな情報

出典:「障害者雇用を目的とする会社が提供する価値を考えた」

間接的な価値:調和が取れた状態で事業運営することでもたらされる社会的、精神的なベネフィット

例3:障害者雇用率を達成し、他社よりも障害者の活用を高度化することで得られる社会的地位
例4:グループ内に多様性、包括性のある企業を持つことによって得られる、グループ従業員自身の精神的満足感

出典:「障害者雇用を目的とする会社が提供する価値を考えた」

日揮グループだから”梃子”が効く。そして、間接的な価値が大きくなる。

(成川)
その間接的な価値というのは、「どこでやるのか?」というのが非常に大事なんじゃないかなと思っています。
“梃子”みたいなもので、日揮のようなそれなりに規模が大きな会社で、石油・天然ガス・CO2を出していて、地球や社会に対して良いことをしているように見えない会社が、JPTのような取り組みーつまり、間接的な価値を生み出せるような取り組みをすることは、すごく”梃子”が効いていると思うんです。

一方で、規模の小さいところや元々クリーンな会社がやったら「ああ、それぐらいやって当たり前だよね」となる。
ヤンキーがちょっとまじめなことするともてはやされる、みたいな感じだと思うんですね。

ー確かに、期待値が違うのかもしれないですね。大きい会社がやるからこそインパクトがある、そのイメージがないからこそ、意味があるというか。

(成川)
そうなんです。イメージのところだけではなくて、ITという事業内容自体も梃子がきく分野を選びました。日揮がITが弱くて、専門家気質な人がそんなに多くない会社だからこそ、職人気質で「僕はこれがやりたい」、「マネジメントやりたくない」「僕はエンジニアでずっと居たい」という特化した人が刺さる。つまり、”梃子”が効くと思うんです。

ーなるほど。確かに日揮さんは、体育会系というか、そんなイメージがあります。

(成川)
日揮はプロジェクトマネジメントの会社なんですよね。部活のキャプテンで何十人をまとめてましたとか、バイトのリーダーでした、という人が多くて。

いろんな人たちをまとめて、1つの方向にベクトルを合わせて大きな成果を出すということに喜びを感じたり、そこで自分の能力を発揮する人が集まっている会社なので、1つのことに職人的にやるという人がそもそも少ない。

だから、組織の中の逆張りなんですよね。
ここが足りていないよね、という事業を選んで、人を採用して、事業を展開している。この”梃子”がないと価値が小さくなるから、難しい。福祉でやっているのね、となる。

でも、僕は福祉の会社をつくっているつもりはないんです。
だからこそ、サービスの提供は日揮のグループ内に限定している。外に出たらいくらでも競合・プレイヤーがいるから。
出るとしたら違う”梃子”を探さないと、競合と差別化できないので。

なので、障害者雇用をやるにしても、「どういうところでやれば、直接的な価値も間接的な価値も大きくなるかな」と考えて今の事業を展開しています。


JPTの生み出す価値というものーー。

まずひとつは、"つよつよ"の生き方ではない人たちが活躍できるフィールドをつくり、社会に対して「こういう形もあるよ」とあり方を示していること。
社会が目に見えない価値を見出す流れの中で、特例子会社の新しい形をJPTは体現している。

そしてもう一つは、特例子会社という立ち位置でありながらも、福祉の会社としてではなく、日揮グループの事業戦略のひとつとして、JPTは存在しているということ。
IT化が進んでいないという日揮ホールディングスの課題に対して、その弱みを補う形で価値を発揮していく。
その"梃子"が効いているから貢献でき、双方がJPTの価値を感じられる。

金銭的な利益、お金を稼ぐこと、それだけが会社の利益ではないのだということを成川さんのお話を伺って、改めて認識しました。

会社にとって、利益とは一体何なのか?何に価値を置くのか?
社会に対し、どんな価値を発揮するのか?
会社は誰のために価値を提供するのか?

日揮グループを担うビジネスパーソンの1人として、JPTの社長として、これらのことを成川さんは考え抜き、JPTが活きるフィールドを選んでその環境づくりを信念を持ってやってきたーーそんな強い想いを感じたお話でした。


ただ、JPTが大事にする間接的な価値というのは目に見えないものでもあり、伝わりづらいものに思います。
どうしたら社会に認識されたり、理解されるのだろう?
次回は、その難しさや成川さんのお考えをお伺いしていきます。

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