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「ゲーミフィケーショントラック」で頂いた質問への回答!

11/15(金)eラーニングアワード2019フォーラム(会場:御茶ノ水ソラシティ)「ゲーミフィケーショントラック」で、参加者より頂いた質問に登壇者4名が回答します。会場で回答済みのものも含みます。

【質問01】授業で多くの時間を占める、先生のお話自体が面白く感じてもらえなければいけないと思うのですが、その工夫にゲーミフィケーション的なアプローチはあるのでしょうか
⇒回答(岸本)私が授業でいつも心掛けているのは、インタラクティブにやることです。「能動的な参加」を促すように、時々問いかける。回答者に「称賛の演出」「即時フィードバック」を与える。「独自性の尊重」を促すように、あえて答えが定まらない質問を投げるとかもします。

【質問02】原さんへ 目的とゲーム要素のバランスが大事とおっしゃいましたが、詳しくお聞かせください。
⇒回答(原) ユーザによって、ゲーム要素をどのように取り入れるかを考える必要があるということです。
例えば既にスキルもモチベーションが高く、効率的に学ぶことを最も重視するユーザにはあまりゲーム要素を入れすぎると嫌がられるケースもあります。一方でモチベーションが低くスキルも低いユーザには違う目的を提供するなどのアプローチでゲーム要素を多く取り入れた方が良いということもあります。

【質問03】公演中は話を聞きたいので、質問を書き切れません!直接質問させてください!
⇒回答(岸本)ご希望通り、直接質問の時間もとりました。

【質問04】目的を持った人はゲーミフィケーション効かないと仰いましたが、その場合はどういった工夫がありますか?
⇒回答(中尾) 目的を持った人に対してどのような課題を感じているのか?によって回答が変わると思います。

【質問05】科目によってゲーミフィケーションの向き不向きがあるのでは?
⇒回答(坂井)KAPP et al. は,ゲーミフィケーションの要素を「構造的ゲーミフィケーション」と「内容的ゲーミフィケーション」に分類し,目的によって使い分けることを述べています。ですので,たとえば,数学は構造的なゲーミフィケーション(point・badge,等),社会科は内容的なゲーミフィケーション(narrative, 等)というように科目や教科によって用いるゲーム要素を使い分けることをお勧めします。


【質問06】ゲーミフィケーションの要素をどのくらい入れると良いのか、何らかの目安はありますか? ピンポンだけでもゲーミフィケーションという話でしたが、ある程度の要素を揃える必要があるとか、一定時間ごとに要素を入れた方がいい、とか(デジタルコンテンツをイメージして質問しています)
⇒回答(岸本)お話ししたようにゲーミフィケーション6要素を元にデザインしてください。楽しいは手段で、自主的に学ぶようになることが目的。「チョコレートで包んだブロッコリー」にならないようにご注意を。

【質問07】岸本先生が触れていた、モチベーションの高い生徒に効果的なゲーミフィケーションについて、詳しくお話を伺いたいです。
⇒回答(岸本)私が提案するのは、モチベーションの高い学生を仕掛ける側に回らせて、モチベーションの低い生徒に効果的なゲーミフィケーションを考えさせることです。

【質問08】能動的に参加させるために必要な要素は何ですか
⇒回答(岸本)楽しそうと思わせる。やらされてると思わせない、共に授業を作っていく意識を与えることです。

【質問09】禁煙や禁酒など習慣化してることを辞めさせるためのゲーミフィケーション的アプローチはありますか?
⇒回答(坂井)生活行動習慣の改善のためのゲーミフィケーションの活用方法については現在,世界中で注目されています。実際,私も現在,ゲーム要素を用いた生活行動習慣の改善に関するプロジェクトに参画しています。アダム・オルターの著書「僕らはそれに抵抗できない 「依存症ビジネス」のつくられかた」にゲーミフィケーションを用いて生活行動習慣を改善するアイデアが記されています。ご参考になれば幸いです。

【質問10】デジタルリテラシーがそれほど高くない50代前後の主婦の方々を対象に、記録系アプリを定期的にご利用いただきたいです。
具体的にどのようなゲーミフィケーションの要素をどう取り入れると高い効果を得られるでしょうか?
⇒回答(岸本)「どうぶつの森」みたいなのはどうでしょうか?定期的にログインし学習することでポイントが溜まる。ポイントで女性が喜びそうなアイテムを購入。部屋に飾るとか。


【質問11】ゲーミフィケーションについて研究をしているものです。ゲームデザイン6要素の中に他者とのコミュニケーションに関係するようなゲームデザイン要素がないのはなぜですか?
⇒回答(岸本)ソーシャルな仕掛けもとても大事ですね。7要素目になるかもしれません。

【質問12】(講演途中からで既出でしたら申し訳ございません)
ゲーミフィケーションを取り込んだカリキュラムの方が、一般的な集合授業などより効果が高いというような科学的エビデンスや、そういったことの記載が豊富な書籍などオススメありますでしょうか?
⇒回答(坂井)ゲーミフィケーションを取り込んだ事例を知りたい場合は「日本教育工学会SIG-05ゲーム学習・オープンエデュケーション」が発行する報告書をお勧めします。報告書には国内外の研究事例レビューや調査報告が掲載されています。また,「授業づくりネットワークNo.26―ゲーミフィケーションでつくる! 「主体的・対話的で深い学び」 (編著 藤川 大祐 2017)には授業の実践報告が掲載されています。参考になれば幸いです。

【質問13】ゲーミフィケーションのテクノロジーを入れすぎるとあざとくなり一部のグループはネガティブな反応を示すと思うが、どの様に対処すべきか?
⇒回答(岸本)デジタルの場合はゲーミフィケーション度合いをいくつか選択できるようにするとか、授業なら別の課題を与えるとか。

【質問14】長期的にゲーミフィケーションの依存性かないか、ゲーム要素なくなるとやる気がなくなる可能性とは?
⇒回答(岸本)ゲーミフィケーションは、内的モチベーションのスイッチを入れるための仕掛けです。楽しいだけではなく、内的モチベーションを高める仕掛けが入っている必要があります。

【質問15】坂井先生のお話で、ゲーミフィケーションが上位者には有効でなかったというお話がありました。その理由についても興味深いお話でした。
そこで、上位者(進学希望者)にはゲーミフィケーションを活用しない方がよいのか、それとも別の手法のゲーミフィケーションが考えられるのか、考えられる場合はどのような変更点を加えるべきだとお考えか、お聞かせ頂けるとうれしいです。
⇒回答(坂井)※成績上位者のように誤解を与えて申し訳ありません。進学希望=成績上位ではなく,目的意識の高い群と捉えて考察しています。こちらを踏まえて以下にご質問の回答を記します。
目的意識の高い学習者に,ゲーミフィケーション要素を付与するとしたら,現実から遠く離れた世界観や物語性を与えることはお勧めしません。既に本人がゲームに没頭している状態であると捉え,本人のゲームの世界(現実)に即した挑戦課題を提示することをお勧めします。また,課題をクリアすることによって得られる期待効果,クリアに必要な条件などを具体的に提示すると良いでしょう。目的意識の高い学習者には,意味のある学習内容(目標達成に役立つ知識付与や技能訓練)を意識してゲーミフィケーション要素(Achievement, Mission, Rule,等)を用いるようにしてください。"


【質問16】漢字計算ドリルなどの繰り返しの習熟学習が、ゲーム化の効果が高いと思います
⇒回答(岸本)そう思います。スマホの「算数忍者」面白いです。https://fantamstick.com/psg/ninja_plusminus

【質問17】海外ではゲーミフィケーション流行ってますか?
⇒回答(岸本)ゲーミフィケーション海外では広く活用されています。なぜか流行ってないのは日本だけです。

【質問18】学校現場では、ゲーム化について先生の抵抗感もあるのでしょうか
⇒回答(岸本)はい、あると思います。が、だんだん変わっていくと思います。

【質問19】モチベーションが高い人と低い人が混在する状況では、人をグループ分けする以外でどのようなアプローチがあるかお聞きしたいです
⇒回答(岸本)高い人が低い人をサポートするような仕掛けが良いと思います。全員出来たらクリアとかです。

【質問20】講義にゲーミフィケーションを取り入れた実践を行っていますが、評価方法で行き詰まっております。どんな評価方法が有効でしょうか。
⇒回答(坂井)学習ツールとしてのゲーミフィケーションの可能性(杉谷 2018)の一読をお勧めします。PDF ⇨file:///Users/sunaonahito/Downloads/%E6%9D%89%E8%B0%B7%E4%BF%AE%E4%B8%80%E5%85%88%E7%94%9F.pdf



【質問21】モチベーションの差が大きいと考えられる公教育の場で、ゲーミフィケーションが生かされている事例や取り組みがあれば教えてください。 坂井
⇒回答(坂井)ゲーム学習の新たな展開(藤本 2015)をお勧めします。PDF ⇨ https://www.nhk.or.jp/bunken/book/media/pdf/2015_34.pdf
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【質問22】学習塾の経営をしています。もっと教育に関するゲーミフィケーションを深く学びたい場合、オススメのセミナーやワークショップ、書籍などを教えてください。
⇒回答(岸本)東京大学 藤本先生のオンライン講座「教育のゲーミフィケーション」が再開するらしいの受講すると良いと思います。岸本は修了済みです。また、日本ゲーミフィケーション協会のイベントにもご参加ください。

回答者は下記の4名です。
岸本 好弘(日本ゲーミフィケーション協会 代表理事 賢者Lv98)
原 正幸(株式会社プロキッズ 代表取締役)
中尾 瑛佑(合同会社ザワッグル 代表)
坂井 裕紀(武蔵野学院大学 EdTech研究所 所長)


#jgamifa #gamification #ゲーミフィケーション
執筆:岸本 好弘(日本ゲーミフィケーション協会 賢者Lv98)
https://jgamifa.jp/

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