勉強会報告「女性にささるゲーミフィケーションとは?」
こんにちは。毎日を「神ゲー」にしたくて日本ゲーミフィケーション協会で学んでいます、こいふみです。
6月30日(金)に、日本ゲーミフィケーション協会の女性メンバーによる、「女性限定ディスカッション『女性にささるゲーミフィケーションとは?』」が開催され、討論者の1人として参加しました。
その内容をお届けします。
■参加者
討論者:
・タケ(建設業界)
・こいふみ(ゲーム業界)
・つぶあん(医療業界)
司会進行:
・きっしー(今回の議題提起)
■議論の背景・目的
なぜこのテーマが選ばれたのか?きっしーより次の仮説が説明されました。
日本ゲーミフィケーション協会の会員50名ほどいるがほぼ男性。女性が極端に少ない。
昨年ゲーミフィケーションカオスマップを作った。編集委員会はメンバーが数名いたが、全員が男性。
ゲーミフィケーションの元であるそもそものゲーム(ビデオゲーム)をスペースインベーダーを起点として考えると、弾を撃って敵を倒すのは男性の狩猟の本能をゲーム化したもの。
以上の事実から、次の仮説が立てられる
ゲーミフィケーションは男性が興味を持つもので、 女性は興味がないものなのか。
最近は女性が好むゲームも増えてきたが、ゲームとは基本的に男性のために男性が作ったものであるという定義が出来るのではないか。
とはいえ世の中の半分は女性で、ターゲットにも女性は入るはず。
よって、女性同士で「ゲーミフィケーション」について議論をしたかった。
■議論の項目
以上の背景を踏まえ、次の4つの項目でディスカッションを進めました。
Q1:ゲーミフィケーション(ゲーム)は男性のためのものなのか?
Q2:女性にささるゲーミフィケーションが必要なシチュエーションとは?
Q3:そこで活用できる女性にささるゲーミフィケーションとは?
Q4:今はまだ少ない女性にささるゲーミフィケーション・サービスを考えよう。
■各項目の議論の内容
Q1:ゲーミフィケーション(ゲーム)は男性のためのものなのか?
3人とも共通の意見として、ゲームもゲーミフィケーションも男性のためのものではなく女性にもささるが、世代や好みに男女の違いはあり、それは文化や社会環境の変遷の影響が大きいのではとなりました。
多く出た意見は次の通りです。
昔のゲーム開発者は、学歴の高い男性が中心。女性は進学率自体が低く、作り手も少なく、結果的に男性向けが多かった。
今は作り手に女性も増え、女性もゲームをするようになり、たまごっちや乙女ゲームなどのヒット事例も出てきた。
若い世代の方が男女差なくゲームを遊んでいて、時間的な余裕もあると思うので、若い女性の方がささると思う。
女性にとってゲーミフィケーションは、知っているか・知らないか。知る機会が少ないことが課題。
タケ:
・ゲーミフィケーションはロジックの組み立ての話が多く、それは男性にささりやすい。女性にはロジック思考がささる人自体が少ない。
こいふみ:
・ゲーミフィケーション協会などの場での女性の少なさや社会進出については、今の時代でも女性には結婚、出産などの壁がある。
多様性を本当に実現したいと思う人がどれだけ居るのか。結果、女性が少ないだけ。
つぶあん:
・戦後の復興世代は遊びどころの話ではない人が多かった。ゲームというものに男女でも全然ついてこない。
・おばあちゃん達は、クロスワードやナンプレなどのクイズ系を遊ぶ事はある。シンプルでやりやすく短時間で辞めやすいので遊べる。
・自分がゲーミフィケーションを知ったのは看護学生の教育にそれを活かそうとした女性の先生から。
Q2:女性にささるゲーミフィケーションが必要なシチュエーションとは?
Q3:そこで活用できる女性にささるゲーミフィケーションとは?
Q2の項目はQ3とも話が繋がってきたため、両方合わせて議論が進みました。
こちらもゲーミフィケーションは、男女差というよりは分野により相性の良いものがあると思うが共通の意見で、次のような分野は良さそうとなりました。
健康は大半が意識している。教育・学習も親和性が高い。
タケ:
・「女性」で限定すると、女性はカスタマイズして自分の物みたいなものを皆に共有したいという意識はある。
・流行に乗って、流行っている事をやっている自分!というのがある。
例えばクリスマス限定のコスメとかすごく売れる。みんな知らないコスメは売れない。人気があるからこそ欲しくなる。
・そういう意味では、ゲーミフィケーションでいう「承認欲求」を満たしてくれるものはささるものがあると思う。
こいふみ:
・家庭に入ると褒められることが少ないと思うので、褒められる、認めてくれるものはささるかもしれない。
つぶあん:
・子供番組の歯磨きの歌とか「歯磨き楽しいんだよ!」と思えるゲーミフィケーションの1つだと思う。
子供が嫌がるもの、積極的になれないものにゲーミフィケーションがあると助かるのでは。
・片付け下手なので、うまく片付けを継続できる方法があると良いと思っている。
Q4:今はまだ少ない女性にささるゲーミフィケーション・サービスを考えよう。
「女性にささるゲーミフィケーション要素について」
タケ:
・(日本ゲーミフィケーション協会の定義する)6つの要素(能動的な参加、称賛を演出、即時のフィードバック設計、独自性の歓迎、成長の可視化、達成可能な目標設定)のうち、女性にささるものと男性がささるものは違うのではないかと思っている。
6要素について、好みの濃淡は男女で違うかもしれない。
・女性はたぶん称賛が欲しくて、男性は可視化の方がささるのでは。
こいふみ:
・女性はデータよりも感情にささるような称賛の方が嬉しいかもしれない。
つぶあん:
・称賛でキャラが大袈裟に褒めてくれる、誕生日にキャラがイケメンボイスで「おめでとう」と行ってくれるのは嬉しいかも。
「ポイントが貯まる」ものについて
称賛からの続きで、「具体的な物が欲しい!」という話題から「ポイントが貯まる」についての話が白熱しました。
つぶあん:
・ポイントカード貯まると何かもらえる、1ポイント1円に還元など、知らない間に溜まってて嬉しい。
これは絶対に出した方がいいと思って続けられる。リアルな物に還元されるのはありがたい。
・実際は買い物のたびにカードを出すのは面倒だけど、それでも出そうかなと思わせること(仕掛け)は必要かも。
ポイ活や懸賞の話題があがり、それは女性の方が好きそうという話や、ポイントのあるお店に買い物に行くのは「能動的な参加」と言える、ポイント5倍の日などの仕掛けについて話が盛り上がりました。
「女性にささりやすいゲーミフィケーションとは」
続いて、女性にささりやすいものの特徴についての話題が広がりました。
多かった意見としては次のようなものがありました。
女性の方がまとまった時間が取りにくい。何にしても時間が細切れになる。始めやすく、中断しやすいものが良い。
女性の方が現実的で、現実的な物が欲しい。現実的にできる事がわかるならやろうと思うだろう
分かりやすくシンプルなものが女性には好まれそう。男性の方は複雑な方がささるかもしれない。
つぶあん
・健康の「歩くと何か貰える」も女性はとっつきやすい。歩くだけは楽。
タケ:
・女性の方が、時間軸が短い方が嬉しいのでは。
ポイントにしても、5回行ったらサービスくれるならやろう!と思うけど、30回だとやらないと思う。
・称賛までのスピードバックは女性の方が早く欲しいかも。
再びナンプレやクロスワードの話があり、今あるスマートフォン向けのカジュアルなゲームなど隙間時間でできるというウリがあるが、それすらも1プレイの時間は長く、ナンプレの中断と再開のしやすさには敵わないという話が、ゲームを作っている側の個人としては印象的でした。
「自分たちも使ってみたい、こういうものがあれば世の中の女性たちが喜ぶのでは?というサービスを考えてみる」
共通の意見として、「健康」に関するものが真っ先にあがりました。
タケ
・体調管理。生理のアプリや、食事記録、歩いたりは入れていると思う。そこをもっと上手く活用する余地はあるかも。
それプラスで、リアルとの連動があるといいかも
こいふみ
・女性本人に向けたサービスより、夫が家事をしてくれる、子供が自発的に勉強してくれるなど、周囲の人間が自発的に動いてくれて自分が楽になるというのが実は刺さるのでは!?
自分ではなく周囲の人が動くことで自分に良い結果が返ってくるのはどうかという話題から、それが一番ささるかもしれないと話が盛り上がり、次のようなアイディアが出てきました。
タケ
・今あるところで例えばスケジュール管理アプリで、家族のスケジュールを連動して管理できたり。そういうのが出来るといいのかな。
・コクヨの勉強の鉛筆アプリ(しゅくだいやる気ペン)は、子供がやった結果が親のアプリに来て、親がまた称賛する。2重の称賛。
それと同じように、ターゲットを女性1人に絞らないで家族だけでなく友達とやれるとか、そういうゲーミフィケーションがいいかもしれない。
・アプリでなくてもいい。何か見える化できるもの。成長の可視化みたいなのもをみんなで共有できると良い。女性は承認されたいから。
つぶあん
・旦那さんに家事を何か1つしてもらうとポイントが貯まって、10点たまると自分に何かご褒美がくる
・特に家事などついつい自分が動いた方が早いからと思って動いてしまう。人に何かしてもらうのは難しい。そこを解決するもの。
続いて、昔の世代のパパさんは家事や育児にはあまり動かなかった人が多かったが、今の若い世代は積極的に良く動くという話が紹介されました。
今はママ友のパパ版のパパ友がいるのが普通だそうです。
タケ
・パパ友コミュニティのような間で、育児・家事に関するサービスが流行ると良いのでは。男性の方が負けず嫌いだから真面目にやりそう。
この話から、女性に限定せずに家族と使うサービスの話が広がりました。
こいふみ
・家族の貢献や頑張りがポイントなどで見える化するのは良いかも。
みんなそれぞれ頑張ってる。言葉で言えなくても、それを見てみんなの思いやりがわかるとか。
つぶあん
・外での行動はそれぞれ測れないけど、家の中でどれくらい家族のために自分が動いたか?だとコミュニケーションツールにもなる。
・家族でトータルでここまで頑張ったらご飯食べに行こうね!一番頑張った人の食べたいものを食べに行こうなどもありかな。
以上のような内容で1時間にわたるディスカッションは終了となりました。
■ディスカッションに参加して、印象に残ったこと、学んだこと
最後に、今日の振り返りをそれぞれ簡潔に述べました。
タケ
・女性の時間がないよね、細切れだよね、家事あるよねは女性の感覚としてそう。
求められるものが違うのだなというのが印象に残った。
こいふみ
・いろんなアイディアや話が聞けたのが面白かった。
言われてみればそうだなと思う事や、サービスを考える上でのポイントが見えてきた。
つぶあん
・令和になってもまだ女性の方がまとまった時間がとりにくいのだな。
だから細切れでも、ながらでも出来るようなものが必要なのかなと思った。
きっしー
・女性は称賛を喜んで、男性は可視化を喜ぶ話が面白かった。
・旦那が家事をやってくれるゲーミフィケーションがいい。
女性が自分が動くのではなく、男性たちを動かすのが面白かった。
・今日の話は男性が聞いたらそうなんだ!というのもあると思うし、女性が聞いたら共感することもあると思う
■議論のまとめ
以上で女性限定ディスカッション「女性にささるゲーミフィケーションとは?」は終了となりました。
多かった意見や話をまとめると、「女性にささるゲーミフィケーション」については、次のポイントがあるかと思われます。
ゲーム、ゲーミフィケーションがささる・ささらないについては、性別の差よりも文化・環境の変遷により世代による差がありそう。若い世代の方がゲームもゲーミフィケーションも女性にはささりやすそう。
(特に家族と仕事を持つと)女性はまとまった時間を取りにくい場合があるため、始めやすく中断しやすい、シンプルで終わりの時間が見えやすい物が好まれそう。
女性の方が現実的で、リアルな物に還元される、かつ還元されるまでの時間が短いものが好まれそう。
男性は可視化、女性は称賛の方を好みそう。ゲーミフィケーション6要素の中でも男女により好むものの違いはありそう。
健康、学習とゲーミフィケーションは相性が良い。それは女性にもささる。特に健康は関心が高そう。
ゲーミフィケーションを自分(女性)が使うより、周りが使って自分の課題や環境が良くなるものがあると良さそう。
これが女性の意見の全てでは無いですが、女性向けのゲーミフィケーションに関心がある方の参考になれば幸いです。
■おわりに
最後に、きっしーより次の話がありました。
「これまでのゲーミフィケーションは、男性が考えてきたものが多い。
女性からみたディスカッションが出来れば、多視点からゲーミフィケーションが見られるようになる。
女性メンバーを増やしてまたディスカッションの機会を持ちたい」
おなじく女性で「ゲーミフィケーション」を活用した「女性向けサービス」について関心ある方、ぜひとも今後このようなディスカッションの機会を持てれば嬉しいです。
ご興味ある方は、日本ゲーミフィケーション協会のサイトよりぜひお問い合わせ下さい。
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執筆:日本ゲーミフィケーション協会 会員 こいふみ