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2019舞台納め「思い出を売る男」

タイトルがもう今更感半端ないですね!!!

久々にnoteを開き、下書きがあったような...と見たらこのnoteがあったので、続きを書くべくキーボードを叩いています。ちなみに初めてのnote。

2019の舞台納めで浅利演出事務所&劇団四季「思い出を売る男」を観劇してきましたので、その感想を残しておきたいなと思いまして。今更ですが(2回目)

ストーリーの直接的なネタバレは極力避けますが、絶対にネタバレは見たくない!という方は要注意です〜

ほぼ予習なしで行きました

浅利先生の追悼公演のラストを飾る「思い出を売る男」。浅利演出事務所としての作品は「李香蘭」「アンドロマック」は見たことがあるのですが、「思い出を売る男」は初めて。あらすじを見る限り、絶対私が好きなになるタイプの作品だ!!と思っていたので、チケットを取ってからワクワクしっぱなしでした。

戦後日本の空気、ドラマやドキュメンタリーでしか知らないけど好きなんですよね。もう苦しい戦争は終わって、日本はどんどん発展していくのに、それについていけない人たちがいる。みんな前を向いていけいけどんどん、でもふとした瞬間に失ったものを思い出してしまう。私は平成生まれの人間なので、戦争についてあれこれ語るのはやめておきますが、そんなイメージです。

昔を懐かしみ、幸せだったあの頃に戻りたいと思い、今が受け入れられなくて昔の思い出に逃げてしまう人々、そんな人たちが出てくるんじゃないかと勝手に予想して、仕事を早退していそいそと自由劇場に向かったわけです。

開演まで

特にキャストは気にせずに行ったのですが、キャスボみてびっくり。

佐久間仁さんと山本紗衣さんがいらっしゃるじゃないの!!!!

佐久間さんは(ノートルダムの鐘の)フィーバス、山本さんは(オペラ座の怪人の)クリスティーヌで出会ったお二人。

紗衣さんの、か弱くて不安定で守ってあげたくなるクリスティーヌにそれはもうときめいて、歌声もとっても素敵で一瞬で大好きになってしまったので、突然の再会(一方的)に座席に着く前からテンションマックスです。

しっかり開演前にパンフを購入し、熟読。昔はパンフは帰ってから読む派だったけど、最近は事前に読むほうが何倍も楽しめるので好きです。世界観に入れるし。

開演。

一瞬で裏街の世界に引き込まれ、サックスの穏やかで優しくて、でもどこか切ない音色に魅了されっぱなしの1時間15分でした。

そして閉幕

はーー、もう何から書けばいいんだろうってぐらいよかったんですよ。

作風が作風なこともあり、見終わった後はしっとり想いを馳せながら、夜の街をあてもなく散歩したい衝動に駆られました。

想像の10倍、心がじんわりする舞台でした。もっと切なさいっぱいで胸がぎゅーっとなるかと思ったんですが、私は切なさより優しさに包まれる心地よさが勝った。戦争によって多くを失った人は確かに出てきましたが、思っていたより全体のトーンとしては明るかったです。広告屋のシーンは笑いましたし。

音楽はもちろん、裏街の空気感とか、照明とか、色合いとか、シルエットとか、よかったんですが、何より好きだったのは「思い出を売る男」の声色です。

タイトルロールを演じたのは近藤真行さん。私が見た中だと李香蘭の杉本のイメージが強い方なんですが、「思い出を売る男」が初めてセリフを発したときに「え、こんなに優しい声色の方だったっけ!?」って驚きました。杉本も優しい系の男性ですが、もっともっと穏やかで心の芯にまで寄り添ってくれそうな声。実際そういう役ですしね。役者さんすごいです。

思い出を売る男がサックスを吹くシーンは、心が洗われるようでした。「街の女」に向けて吹く「巴里の屋根の下」。サックスの音ももちろん素敵ですが、照明と背景のシルエットが良いですね〜。街の女の思い出にじんわり触れられるような演出です。街の女は目を瞑ってサックスを聞いているのですが、終わった瞬間に、はっと目を開けて、一気に現実に引き戻されている表情がすごく印象的でした。

ところでこの作品、しっかりストーリーというか、登場人物同士の繋がりがしっかりあって驚きました。

花売り娘と街の女、そして黒マスクのジョオ。黒マスクのジョオと思い出の男のシーンで3人の繋がりに気づき、「早く教えてあげて!!」とヤキモキして焦るわけですが、そこであのラストシーン。

あの現実か夢か願望か、はたまたパラレルワールドなのか、観客の想像に委ねるラスト(ですよね!?)、わ〜〜〜そうきたか〜〜〜いいですね〜〜〜〜!作品に出てくる街灯のようにぼんやりしていて、暖かくて。個人的には自分の中でも解釈を決めたくないラストです。全ての可能性を残しておきたい。

さっきも書きましたが、優しさに包まれる心地よさに酔っていたい舞台でした。冬の夜に最高。

まだ舞台を見たことは私の中では「この間」の出来事カウントなのですが、いつかこの舞台を見たことも「思い出」になって、ふと思い出しては、私を救ってくれる日が来るのでしょう。

カンパニーの皆様、素敵な舞台をありがとうございました。

そして浅利先生、ありがとうございました。私が初めて見たミュージカルは「サウンド・オブ・ミュージック」で、私をミュージカル好きにさせたのは確実に劇団四季です。

夏公演の「夢から醒めた夢」も絶対見に行くぞ!と思っていたのですが、残念ながら新型コロナウイルスの影響で延期に。でも、「延期」なので!楽しみに待つことにします。

ちょっと追記

キャスボで見つけて超テンション上がった紗衣さんですが、やっぱりというか、当然のごとくとっっても可愛らしくて素敵で最高でした...オペラ座の怪人、出演されるでしょうか、楽しみすぎます...。

ですがそれより、G・I の青年役、佐久間さんのスタイルの良さにとにかくビビりました。足めちゃくちゃ長い。アメリカ人役に違和感なさすぎです。開演中は「役者さんの演じてる〇〇」ではなくて、キャラクターとして見ていますけど、G・I の青年が登場した瞬間だけは「佐久間さんのスタイル!!!!」ってなりました。

ああ、いい舞台納めでした。ミュージカル見たいなあ。


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