B010 すべての知識をカード化していく

実は、カードを書くについて、「書き始めると続けることが嫌になる」恐ろしい関門があることをお知らせせねばなりません。それは梅棹先生も指摘されていますが、「自分の知識のあまりの少なさに驚愕する」という事実です。

人は、様々なことに、漠然と分かったような気になっていて、正面から問われると正確には分かっていないことが多いのです。それらは、気が付いたときにきちんとした知識として固定しておかないと、いざという時に使えません。そう、そこで挫折したら、このゲームは終わりです。自信を持てる知識が少ないからこそ、カードを書くのです。すでに分かっていると思えるようなことにいちいちカードを書くのは誠に無駄なように思えますが、それが溜まり、物理的に目に見える形になって残ることで自信になってきます。一旦カードにしたら、その知識は「自分のもの」としてカードの形で残っています。もうそのことはすっかり忘れて構いません。カードは、「忘れるために」書くものですから。そうでないと容量の少ない自分の頭脳を、ほかのことに使えません。

こう書くとすぐに、「それじゃお前は出来ているか」と問われそうです。はっきり言って無理です。出来ていません。と言うか、知識の総量は無限であり、ほんの自分の足元の、本当に自分に必要な最低限の知識でさえ、かなりな量です。しかし、だからこそ、その部分の知識を、可能な限り正確にしておくこと、少しでも、着実に実行することに意味がある。本を読んでいた感銘を受けた言葉など、傍線をつけるのもいいですが、もう少し手間をかけて、カードに手で書き写すと、より強く印象に残ります。そしていつか、話題に使ったり、何かの原稿を書く時に引用することが出来る「本当の知識」になります。

人は結構色々なものをコレクションするのが好きですが、例えば骨とう品であれ、お金であれ、それらを集めようとする前に、先ずはそれに関する知識、情報を集めなければならない。そしてその目的が真剣なものであればあるほど、知識、情報は正確なものでなければならない。すべては、先ず知識、情報を集める所から始まります。


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