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003 知的生産の技術

1969年、今から50年も前のことですが、「知的生産の技術」という本が出版されました。著者は当時京都大学の民俗学の教授であられた、故・梅棹忠夫先生。この中で紹介されたのが、「京大カード」または「B6カード」と言われているカードです。アイデアや思い付きをそのままにせず、さまざまな角度から検討し、いくつものアイデアを組み合わせ、社会的に役に立つ「知的生産物」にまで高め世に問う、という考え方は斬新で、衝撃的なものでした。当時この本は一大ブームを巻き起こし、我々(当時の)若者はこぞって皆、それにチャレンジしたものでした。

しかし、言うは易く行うは難し。単なるブームに乗って、というレベルではそう長くは続かず、いつの間にか尻切れトンボになってしまった・・・人が多かったのではないでしょうか。そして数年後には世にマイコン、そしてパソコンなるものが現れ、若者の興味は一気にそちらに向かっていきました。また、同時に「バイブルサイズ手帳」なども出現、勿論これは、使い方、考え方も違ったものですが、ブームというものはそんなことはお構いなし。「B6カード」はほとんど話題の上ることはなくなってしまいました。

私は、それでもかなり継続的に「B6カード」を使っていた方だと思います。しかし問題は、利用者が減ったことにより、ローカルの文房具店ではB6カードの取り扱いを止める所が増え、カードの入手が困難になってきたことです。今でこそネットのおかげでほとんど需要のないようなものでも比較的容易に入手できますが、それがなかった当時は大きな文房具店まで買いに行かねばならず、徐々に困難が増していきました。梅棹先生は御著書の中で、「自分でカードを何万枚か発注して作るのがよい」と仰ってますが、研究者でもない身にあっては、流石にそこまでは踏み切れませんでした。




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