020 可能な限り持続する

きわめて地味ですが、このようなシステム製品にとって死活的に重要なこと、それは「持続」です。もし使い始めて10年後、ようやくなじんで便利に活用できるようになった時、突然カードが手に入らなくなったらどれほど困ることでしょう。実はこれ、実際に私がB6カードを使っていて起こったこと。だから、自分がカードの供給側に回れば、少なくとも自分に対しては、供給を保証できる。逆に言えば、自分が使っている限り、ほかの人への供給も、可能だ。つまり、作り手が使い手である限り、それは保証できるということです。

実は、このカードシステム開発中にある大手文具メーカーから似たようなコンセプトの商品が発売されました。が、一年と持たずに消滅してしまいました。それはそうでしょう。予想される需要家の数が圧倒的に少ないうえに、新商品が知られ、それなりに商品として受け入れられるまでには相当な時間がかかる。大手企業が扱うには需要が小さすぎ、採算に乗らないのです。

これは最初から予想していました。これを採算に乗せるのはほとんど無理。しかし、自分で使うために作るのだったら、そもそも採算など考える必要はない。多分世の中には、このシステムが好きで、もし商品として存在すれば使ってみたいと思う人が、いるかもしれない。それがどんな人だか、会ってみたい。商品として出し続ければ会えるのじゃないか。そう考えました。ただし、そのためには極めて小規模な、赤字の出にくい生産システムを構築する必要があります。

B-TAOについて先ずご理解いただきたいことは、「カードを途切れなく供給し続ける」ことが、システムの一部である、ということです。需要があるものは増え、なくなると市場から消える、それが資本主義のありようですが、B-TAOはたとえユーザーが一人になったとしても、会社が存続する限り、供給を続けます。

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