見出し画像

ストリートファイター6に期待していたことと感想

『ストリートファイター6』をプレイした筆者が、格闘ゲームの初心者へのアプローチとその課題について深く掘り下げています。格闘ゲームが初心者にとって難しいという一般的な課題に対し、『ストリートファイター6』はどのように取り組んでいるのか、UIの刷新や初心者向けチュートリアル、ソロモードの改善など具体的な例を挙げて評価しています。
しかし、全てが薔薇色ではなく、チュートリアルの一部や対戦における問題点については改善が必要とも指摘。格闘ゲームの新たな可能性とその課題、『ストリートファイター6』の評価とは?一緒に考えてみませんか?

ChatGPTによるこの記事の要約

ストリートファイター6』を少しプレイしたので、自分が格闘ゲームや対戦ゲーム全般について考えていたことや、『ストリートファイター6』の感想を書きます。

プレイのきっかけ

もともと自分はアクションゲームが苦手ということもあり、格闘ゲームもほぼプレイしてきませんでした。以前は馴染みのないジャンルを敬遠する傾向にあったのですが、開発側の立場を経験してから「初心者の体験」に着目するようになり、「初心者」をやらせてくれるジャンルは積極的にプレイするようにしています。自分が専門のジャンルは、新規タイトルでも勘所が分かってしまうため、初心者の立場には二度となることができません。

また、プレイヤーの視点ではプレイヤーの離脱(挫折)はプレイヤーの責任に見えますが、開発者は長くプレイを続けて欲しいと思っているはずなので、プレイヤーの離脱は開発者の責任でもあります。
格闘ゲームは真剣に取り組まないといけないジャンルというイメージがあったのですが、今作はCAPCOMが初心者対策に力を入れていることもあり、「俺が上手くプレイできないのはCAPCOMの責任」というマインドが許されると考えたので、プレイしてみることにしました。

正直Diablo 4をやりたい気持ちもあったのですが、自分を追い込むために方々で「スト6やるわ」と言って回っていた上、デモが公開された時点で製品版も購入しておいたので、プレイしないという選択肢はありませんでした。

ストリートファイター6の何に注目すべきか

そんなわけで「初心者の立場」を体験するためにプレイを始めたのですが、特に注目していた点が2つあります。

課題1:初心者対策・UIの刷新

これはさんざん言われてることですが、格闘ゲーム…というより対戦ゲームは普及してからの期間が長くなると初心者が楽しむためのハードルが上がっていく傾向にあります。

格闘ゲームは操作技術を要求するタイプのジャンルで、しかも同じ操作技術を要求するMOBAやFPSに喩えると「ULTが使えない」「相手の弾を胴に一発貰ったら死ぬのに、こっちの弾を頭に当てても死なない」みたいなアンフェア感のある不利になり方をするため、より初心者が楽しみにくいと言えます。(RTSで「APMが低い」状態も、似たようなアンフェア感があります)

さらに格闘ゲームは、従来はゲームセンターの筐体でプレイするのが一般的で、レバー + ボタンの操作に最適化されています(HitBoxなどのレバーレスコントローラーが「有利すぎる」ことも、レバーを前提とした設計がされているためです)。PCでプレイする際に、専用コントローラーの購入を強要するのは現実的ではないため、パッドによる操作(できればキーボードによる操作)に最適化する必要があります。

操作技術やコントローラーの話は、以下の記事でも書いています(ちなみにRising Thunder方式はいまは検討されていないようです)。

課題2:ソロモードの体験向上

初心者対策を考えたとき、操作方法だけでなくチュートリアルも重要です。チュートリアルは単に丁寧に教えればいいだけでなく(「丁寧に教える」こともかなり大変な課題ですが)、プレイヤーの興味を引かなければなりません。上手くないときの対戦ゲームは楽しくないため、何らかの方法で継続的に動機づける必要があります。

この課題に多くの対戦ゲームは失敗してきました。正直言って大半の対戦ゲームのソロモードは面白くありませんし、プレイヤーの上達も大してサポートできていません。『ストリートファイターII』など黎明期の格闘ゲームはソロモードがメインだったようですが、現在は人を待っている間の暇つぶしになってしまっています。ゲームセンターに代わってインカムを確保する必要のないコンシューマでのプレイが主流になりトレーニングモードが充実したことも、ソロモードの役割の再考を促しています。

ちなみに、あまり売れていない運営型の対戦ゲームが、ソロモード(ストーリーモード)をあとから実装することがありますが、この施策で息を吹き返したタイトルを筆者は見たことがありません。そこそこコストがかかる割にしょっちゅう失敗するソロモードは、必要性は多くの人が認めるが、どう実現すればいいのかは誰も分からない、対戦ゲーム全体に共通する重要な課題です。

課題3:仮想空間の活用

これらの課題にアプローチする際、「空間」は大きな役割を果たします。ゲームセンターで同じ空間を共有できれば、自然と人と人とのつながりが生じ、初心者に対するティーチングも期待できます。また、「ゲームをプレイしている」を越えて「コミュニティに所属」している状態になれば、友人も増え、ゲームに対する熱意も増し、ゲームに人を呼び込んでくれる可能性も生じます。

多くの人は、人が集まっている「場」に魅力を感じるため、コミュニティの形成はゲームの運営にとって非常に重要で、空間の共有はコミュニティの形成に大きな効果を持っています。「eスポーツ」がブームになる前から大きなコミュニティを形成していた対戦ゲームの格闘ゲーム・TCGは、どちらもゲームセンター・TCGショップという空間を持っていました。

そのため、ゲームセンターから自宅でのプレイに移行した現状に危機感を覚えるのは当然と言えます(デジタルTCGはリアルイベントを好みますが、ここにもコミュニティ形成機能が失われることへの警戒があります)。

さらに仮想空間内のコンテンツによってプレイヤーの興味を引き、プレイヤーの行動をコントロールすれば、適切なオンボーディングも可能になります。『スーパーマリオブラザーズ』や『ロックマンX』などのタイトルはプレイヤーに課す操作を段階的に複雑にすることで、プレイヤーの操作技術を向上させ、プレイヤーに有能感を与えています。

したがってインターネットゲームが仮想空間を実装しようとするのは自然な発想です。MMORPGはもともと仮想空間のサービスですから、仮想空間が本来は必要のない対戦ゲームがどのように仮想空間を活用するかは興味深いテーマです。

ストーリーモードと同じく、仮想空間の活用は簡単ではありません。仮想空間も普通に作ると面白くないのです。『スーパーマリオブラザーズ』の楽しさはオブジェクトの配置の巧妙さによって生まれており、『スーパーマリオブラザーズ』の空間は専門家によって面白くデザインされていることには誰も異論はないでしょう。
ところがこれが「オープンワールド」とか「メタバース」とか言い始めると忘れられてしまい、とりあえずそれっぽく建物を設置してあるだけの空間が生まれてしまうケースが散見されます。プレイヤーは単に移動できるだけでは「自由」を感じません。「精神と時の部屋」はどこにいくのも自由ですが、実質的には牢獄です。

さらに、空間に「人が集まると楽しい」ことを裏返すと「人が居ないとつまらない」ことになるため、面白くない空間には誰も人が来ずますます面白くなくなり過疎ってしまうという問題もあります(これをコールドスタート問題と言います)。

「仮想空間」も昨今のブームもあってか、多くの人が「必要だ」と感じる一方、成功が難しい要素です。

課題への挑戦全部乗せのストリートファイター6

こうして見ると、『ストリートファイター6』はUI刷新・オンボーディング(初心者対策)・コミュニティ形成という対戦ゲーム全般が抱える課題に対して真っ向から挑んでいます。

操作タイプ「モダン」は、格闘ゲームにおけるUI見直しの流れを踏襲していますが、オンボーディング・コミュニティ形成に対しては「ワールドツアー」「バトルハブ」を用意しており、これらはソロモード・仮想空間という誰もが思いつくも失敗が積み重ねられている要素です。

実はバンダイナムコもTCGで似たようなアプローチをしているのですが、あんまり話題になっていません。

対戦ゲームの開発者の多くは、『ストリートファイター6』を見て「まあそうだよなあ…」という感想を抱いたのではないでしょうか。自分も思いましたし、自分が話しただけでも自分と近いことを思っている開発者は1人や2人ではありませんでした。

『ストリートファイター6』には対戦ゲームの抱える課題や、それに対する解決方法が全部乗せされており、成功するにせよ、失敗するにせよ今後数年の対戦ゲームのベンチマークとなり得る注目タイトルです。

プレイ内容と感想

と、いうわけでこうした点に着目してプレイしていたので、プレイの概要と感想を書いていきます。

ワールドツアー

メインミッションクリアまでプレイ。18時間ほど。アクションRPGのバトル部分が格闘ゲームになった感じのゲーム。CPUに勝たないと進行できないが、バトル中にアイテムやコンティニューを使用できるので「詰む」ことはないし、特に苦労したという記憶もない。

ストーリーの概要はこんな感じ。

警備会社に務める格闘教官の「ルーク」に弟子入りした主人公。しかし同門の「ボシュ」が失踪してしまう。ボシュを探すうち、主人公は様々な事件に巻き込まれ、世界を旅することになる。ボシュの行方は?そして強さとは何か?

ミッション(クエスト)はメイン・サブともに「おつかい」としか形用しようのないもので、指摘の場所に行き、戦闘し、移動するを繰りかえすことになる。レベルデザインに成功してるとは言い難く、マップの移動・探索は退屈。特に後半は、「このくらいの敵と戦闘させたい」「このマップには行かせたい」などの想定・ノルマがあったのか、怒涛のおつかいラッシュで、正直苦痛だった。
これは個人の感想だが、ストーリーも特に魅力的ではなかった。ストーリーが盛り上がるポイントでおつかいラッシュが来るのも悪影響を与えているかもしれない。

良い点は、リュウや春麗など、本編でのプレイアブルキャラクターが登場し、人となりが分かること。また、メインマップのメトロシティは移動は退屈だがストリートファイター感は強く、これらのナラティブ要素はSNSでも好評の様子。

悪い点としては、ただ単に退屈な(面白みがない)だけでなく、細かなチューン不足が目立ち、プレイヤーにストレスを与える部分が多い。例えば、チュートリアルミッションという、バトル時に役立つ操作を学習するためのミッションがあり、所定の行動をすれば成功となるが(このミッション自体は良いミッション)、反復練習や試行錯誤をさせるためのミッションなのに、失敗時に一々NPCとの会話や操作を挟んでくるなど。連続挑戦はほかのミニゲームで導入できているのに、なぜここにも採用しないのか?

こういう点は些細かもしれないが、この種の粗削りな部分が目立つと感じた。航空チケットって存在する意味ある?そもそも海外なんてわざわざ移動させずに、メニュー選択から暗転させて即会話でよくない?など。

バトルのCPUも正直微妙だと感じていて、後半になってもそこまでCPUの(知能)レベルが上がるわけではないので、嵌るパターンを察してしまうとあとはそれを繰りかえすだけで勝ててしまい、これが自分の上達(オンボーディング)にどれだけ効果的なのか疑問に感じる面はあった。とは言え、上達のためには難しいことをやらせる必要があり、難しいことさせすぎると離脱してしまうので、ここは難しいところ。

ファイティンググラウンド

ワールドツアーで自分がどれだけ上達できたのか(オンボーディングが十分なのか)は、対人モードをやらないと分からないため、評価を保留して対人モードへ移行。

チュートリアル → キャラクター別のチュートリアル → アーケード(CPU戦)のNormal → Hard → カジュアル → ランクマッチとプレイ。使用キャラクターはルーク。ルークは今作でもっともアピールされてるので、ルークが初心者向けの強キャラであろうとCAPCOMを信じて選択。

チュートリアル・キャラクター別のチュートリアルは非常に充実していると感じ、ここまで丁寧に教えてくれるのかと思ったが、コンボ練習の下りになるとキャンセルが絡むコンボの入力がまったく成功せず、何が間違っているか分からないまま10分経過するなど、不快な気持ちになった。

コンボ練習は不快になったので、CPU戦・対人戦へ。きわめて初歩的な読み合い(さっき最初に飛び道具撃ったら飛ばれて殴られたから様子を見てライジングアッパーしよう)や、ガードしたから殴り返す、ガードしてそうだから投げるなど、試合の真似事程度のプレイは可能だった。

楽しいか楽しくないかで言えば楽しいが、確定で攻撃できる状況で明らかに自分だけ弱い行動をしてたり、相手の特定の動きに対して何をすればいいか分からずひたすら損するなど、「知らない」せいでアンフェアな試合になってると感じる(「感じる」のであって、アンフェアであるという意味ではない)。
そのため次のステップとしては、使用状況が多く出しやすいコンボや基本技を習得したり、よく分かってない敵の技の対処法を調べる必要がある。その中で「これだけやってれば低ランク帯は勝てる」ような軸となる強立ち回りを知り、身に着けることでその後の上達の糸口がつかめるかもしれない(プレイここまで)。

バトルハブ

初日に少しログイン。端っこのゲームセンターにある『バルガス』が1面すらクリアできなかった。

総評

CAPCOMの試みは、「UIの刷新」は成功している、あるいは成功への道を歩んでいると感じた。モダンの使用感は良い。コンボもロクに出せず不快になっているのに、コマンド入力まで要求されるのは厳しい。
もしかしたら将来不自由に感じるかもしれないが、そのときはクラシック移行のハードルが離脱要因になるかもしれない。CAPCOMはモダンでもクラシックでもプレイ可能であると主張しており、モダンからクラシックへ移行するための支援機能はあまりなさそうなので、本当にモダンで押し通せるのかは今後も注目する必要がある。(初心者が誘導されるルークが、もっともモダンと相性のいいキャラクターなのは、妥当な設定だろう)

そのほかの課題に関してはあまり成功していないと感じた。ワールドツアーはごくごく基本的な操作を反復練習させることと、キャラクターの人となりやストリートファイターの世界観を伝えることはできているが、対戦を楽しむのに十分なレベルまでのオンボーディングはできていない。また、単純に面白くなさすぎる。

開発者のインタビュー記事で「ゲーム1本分のボリュームがあるくらい」「対戦はエンドコンテンツ」などの記述があったが、ワールドツアーのみのゲームがフルプライスのゲームとしてCAPCOMからリリースされていたら、批難が殺到するだろう。

ワールドツアーはSNSでは好意的な意見が多いので、単に自分が偏っている・何らかの感受性が欠如しているだけかもしれない。ただ、対人がメインのゲームのソロモードをつまらないと感じた人は、すぐ対人モードに移行するケースが大半で、ソロモードに対する不満をわざわざ口にしない傾向がある。したがって、ソロモードの感想はソロモードを好んでやっている人が書いていることが多い。

これは思い込みではなく、SNSでは絶賛されているが運営がプレイ率・クリア率を見ると驚くほど低かったという事例は多い。モバイルRPGのシナリオも同じだが、「やらなくてもいい」コンテンツに文句を言う人はあまりいない。

Steamの実績取得率を見ると、リリースから約2週間の時点でワールドツアーのほぼ開始時に獲得できる実績が69.7%、最序盤に獲得できる実績が51.5%、メインミッションクリアで取得できる実績が7.7%だった。これが『ELDEN RING』『Grand Theft Auto』『龍が如く』などと比べて優秀なのかは分からないが、この数値は期間が経ったあと再び確認したい。

ファイティンググラウンドに注目すると、プレイヤーに対するフィードバックがないのが気になった。コンボ練習中のキャンセルに失敗してるとして、どの入力が何F遅い・早いなどの情報は技術的には表示できるはずで、なぜ成功しないのかが分からない状況での試行錯誤は苦痛だと思う。

コンボ練習支援の弱さは、ワールドツアーで担保すべき部分と、モダン・アシストコンボで必要性をなくすべき部分の分担が成功しておらず、谷間になっている部分があるのかもしれない。
ワールドツアーのチュートリアルミッションの中でも一定数以上のコンボを要求されるものは、初心者にとってはコンボレシピを知っているか知らないかの問題だが、知ることへの支援がほぼないため、どう手を付けるべきか分かりづらかった。(春麗の必殺技を使えというヒントは出るが、逆にそのコンボだけ使えるようになるメリットがあるかも疑問で、もしかしたらクリア困難であることが開発終盤に分かり、ヒントが後付けされたのかもしれない。)

フィードバックの欠如はバトルも同様で、明らかにミスしている・損している場面は多々あるはずだが、具体的に何をどう直せばいいか分からないため、頑張って調べるコストが発生している。自分はまだ対戦ゲーム自体には慣れているため、こういうことを調べた方がよさそうだな(めんどくさいな)というところまでは行くが、対戦ゲームに慣れていないと単に負け続ける人もいるかもしれない。
同じゲームを何年もやっているのに大して上手くならない人はよくいて、負けまくっているのに何年も続ける人は少数派であることを考えると、実際はどうやって上手くなればいいかのフィードバックが欠如しているために辞めた人は多いのではないだろうか。

FPS(バトルロイヤル含む)は、敵をクリックするのが遅かったから死んだ・敵を発見できなかったから死んだなど、負けた要因が格闘ゲームと比べれば分かりやすい。格闘ゲームはUIが複雑なため、操作の結果のレイヤーではなく操作のレイヤーでフィードバックを与える必要があるのかもしれない。操作技術のハードルが、実際には操作の複雑さだけでなくフィードバックの欠如にもあるという仮説の認識が明確になったことで、個人的には購入した価値はあった(まだ続ける予定)。

また、格闘ゲームに慣れている人は、他人のプレイを見て「このコンボが繋がるのか」や「こういう立ち回りをすればいいのか」などが瞬時に理解でき、すぐ練習に移れるが、自分の場合はコマンドリストでどの技を組み合わせてるのか確認し技を覚えておくコストがかかるため、練習を開始するためのコストが重い。もっとコストが重い人もいるだろう(何が起こっているのか認識できていないため、一々リプレイを確認してどこで損したのか探す必要があるなど)。
このようなコストもリプレイ・観戦機能の改修で下げれる可能性があるため、「練習がだるくて辞めた」をすべてプレイヤーの責任にするのは、解像度が低く、もったいないと考えている。

ウメハラ氏の発言に「ゲームに飽きたんじゃない。成長しないことに飽きた」「問題なのは成長してない自分」というものがあるが、開発者の視点で見れば、プレイヤーの成長を助けたり成長の実感を与えたりすることは、開発者の責任であり、どのジャンルもまだやれることは残されていると感じた。

ちなみに、諸説あるキャラクターデザイン(ビジュアル)については「キャミィ」はキャミィ史上一番可愛いと思いました。

提案:ミス検出システム

最後に、こういうシステムがあったら良いだろうなあと思いついたものをメモしておきます。筆者は格闘ゲーム初心者なので、的外れな部分もあると思います。有識者コメントや感想など歓迎です。

プレイヤーの操作ログを解析し、フィードバックを与える。プレイヤーのミスを以下の3つに分類し、検出する。

・入力ミス:意図しているであろう入力に失敗している
・知識の欠如:より優れた選択があるのに異なる行動をしている
・判断の失敗:悪い結果となった判断。読み負けなど

「入力ミス」に対してはトレーニングモードを改良する。特にコンボ練習モードの際、課題として示されているコマンドとログを対称し、失敗している点を明示する。何F早い・遅い、立ち位置が悪いなど。
試合中のログも同様に解析し、失敗率の高いコマンドがあれば試合後に示し、練習を提案する。
また、指定した期間、特定のコマンドに対する成功率を記録し表示することができれば、試合に負けても上達の実感を得られるかもしれない。成功率が高い水準になったり、成功率が低かったものを連続で成功させたときは、NPCから称賛されるべきだ。格闘ゲームをタイピングゲームや音ゲーに変えてしまう(プレイヤーがそのように解釈することを可能にする)ことが、この機能のゴールになる。

「知識の欠如」は、ある状況に対する望ましい行動を設定しておき、それよりも劣った行動を繰り返している場合、優れた行動と練習を提案する。「望ましい行動」は事前にゲームデザイナーが設定しておいてもよいし、サービス中に上位ランクの試合から学習することも可能かもしれない。

これらの2つは、優先順位を設定し、1つずつ提示することが必要になる。現状のチュートリアルは優先順位が設定されていないため「できないことが沢山あった」「覚えられなかった」で終わってしまう。勝率に寄与しやすいものから提示したり、成功率が一定以上になるなど「クリア」の定義を設けてスキルツリーのようなものを進めていく見せ方ができるかもしれない。逆に言えば「優れた行動」は重要な「スキル」のみを示せればよく、すべての状況を網羅する必要はない。
一度獲得したスキルも復習することが望ましいが、復習させるタイミングは語学などの学習理論が参考になるだろう。全プレイヤーの成功率の推移を追跡すれば、アクションゲームの学習理論全般に対するデータが収集できるかもしれない。

「判断の失敗」は、上の2つと違って必ずしも正解・不正解があるわけではないため難しいが、行動のクセや読み負けの傾向を指摘することができれば上級者にとっても有益な機能になると思われる。

また、「入力ミス」と「知識の欠如」は、過去に出来なかったから敬遠して試みていないなど、境界が難しい例も多いだろう。特に、反応速度の問題で「妥協」している人は上級者にも多いかもしれない。
勝率やランク帯によって「試みる行動」や成功率が違うことが分かれば、ある上級プレイヤーが練習すべき内容を示すことにも繋がる。操作ログを集積して上達支援システムを構築することは、Street Fighter 「7」以降の課題になるかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?