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M:tGのローテーション期間が3年になった件の解説と感想

『Magic: The Gathering』のスタンダードのローテーション期間が2年から3年に変更されるそうです。

ローテーション期間の変更は過去に何回か行われたことがありますが、カードセットが使える期間は1年半から2年程度で、スタンダードの範囲が2年を越えたのは28年の歴史で初めてです。
多くのTCGが『Magic: The Gathering』のスタンダードを参考にしたローテーション制度を採用しており、今回の変更はTCG全体で見ても大規模な変更となるため、背景の解説と感想をざっくり書いておきたいと思います。


ローテーション制度について

そもそもローテって何で必要なの?

ローテーションが必要な理由は、環境から古いカードを排除して、環境を変化させるためです。新しいカードセットをリリースするとゲーム環境が変化しますが、カードセットが増えていくと変化量が逓減します。

例えば、カードセットが2つあるときに1つ追加するとカードプールは50%増えますが、カードセットが20個あると5%しか増えません。こうなると環境が変化せずプレイヤーが飽きやすくなりますし、新カードセットの売り上げにも悪影響が出ます。

TCGが、変化によってプレイヤーの熱意を維持し、カードを売り続けるジャンルであることから、古いカードを排除する仕組みは必要です。また、環境に古いカードが堆積すると学習しなければならない内容が増えたり、古いカードを入手する必要が生じるなど、新規プレイヤーの参入障壁も高くなります。

「古いカードを排除する仕組み」にはローテーション以外に、「カードパワーインフレ」があります。

古いカードセットより強いカードセットを意図的にリリースすることで、強力なデッキを求めるプレイヤーは新しいカードを購入し、古いカードと入れ替えます。新しいプレイヤーが不自由することもありません。
ローテーションとインフレのどちらが望ましいかはゲームによって異なるため、ゲームルール・コンセプト・ターゲットプレイヤーなどに応じて選択する必要があります。

ローテーションとインフレ

『Magic: The Gathering』と『デュエル・マスターズ』を比較してみましょう。極端な例として、『Magic: The Gathering』のカードパワーをインフレさせ、カードに書かれているパラメータがすべて100倍になったとしたら1ターン目に「怒り狂うゴブリン」で殴るだけで勝てるゲームになってしまいます。
これはカードパワーをインフレさせても初期ライフ(20)は変化せず、カードとプレイヤーの力関係が変化してしまうためです。

しかし『デュエル・マスターズ』ではこの問題を回避できます。なぜなら、カード間の強弱を設定するためのパラメータと勝利条件(シールドをすべて破壊したあと攻撃する)が分離しているためです。「凶戦士ブレイズ・クロー」のパワーが1000億になったとしても、全カードのパラメータが1億倍されていれば、1億倍インフレが発生する前のカードが事実上排除されるだけです。これはローテーションと同じことをやっています。

上記の例は倍率が極端ですが、パワー4が5になる程度の変化でも決着ターンが1ターン早くなるなどの影響が出る可能性があります。端的に言うと、カード間の強弱を決めるパラメータと勝利条件が分離されていれば、ゲームスピードに影響を与えないインフレを起こすことが可能ですが、パラメータと勝利条件が統合されていると不可能です。

そのため『Magic: The Gathering』や『Hearthstone』などパラメータが統合されているタイトルはローテーションを採用する傾向にあり、『デュエル・マスターズ』『バトルスピリッツ』などの分離タイトルはローテーションを採用しないものが多数です。
ちなみに『ポケモンカードゲーム』は分離型かつローテーション採用の代表例で、『遊☆戯☆王オフィシャルカードゲーム』は統合型かつローテーション不採用の代表例です。後者が1ターンキルの多発するゲームになっている理由の一端がここにあります。

以上のことから、ローテーションとインフレの特徴も導き出されます。ローテーション制度を導入すると、新しいカードを古いカードより強くする必要がないため、新しいカードと古いカードを混ぜて遊ぶフォーマットの需要が高まります。『Magic: The Gathering』がモダン・レガシーなどの様々なフォーマットをサポートできるのは、『Magic: The Gathering』がローテーション制度の下、極端なインフレを防いだからです。

一方、ローテーションはあくまでインフレを不必要にする制度であって、インフレを防止する制度ではないことには注意が必要です。裏を返すと、インフレを採用しているタイトルは、インフレに耐性があるルールを備えているため、意図していないインフレ(つまりバランス調整の失敗)への耐性が高くなります(もちろん、簡単に無限ループが発生するなど、勝利条件につながるインフレの場合、その限りではありません)。

ローテーションの長所と短所

上記に追加して、ローテーションとインフレはどちらもカードを入れ替える機能を持ちますが、前者は入れ替えを強制するのに対し、後者は入れ替えの強制はしない点も重要です。

弱いカードを使うのは自由ですから、インフレが発生してもインフレ前のカードを使うことは可能です。これは競技志向の弱い人や、経済力のない若いプレイヤーにとって重要です。また、単純に自分の持っているカードやデッキ、特に愛着のあるものが使えなくなるのは不快です。

また、インフレによるカードの入れ替えは網羅的ではないため、昔のカードも部分的に環境に残りますし、パラメータによるインフレが不可能なタイプのカードもあります。これらのカードを入手する方法を確保しなければ、新規プレイヤーにとっての参入障壁になるでしょう。

以上のことを踏まえつつ、ローテーションをインフレと比較したときの長所短所を列挙してみましょう。

・長所
どんなルールでも採用できる
採用カードを確実かつ完全に変化させることができる
幅広いフォーマットに需要が生まれる
新規プレイヤーの敷居が低い

・短所
バランス調整がシビア
カードの強制入れ替えが離脱要因になる

今回の変更について

前提知識をインストールしたところで、改めて今回の変更の理由を見ていきましょう。

変更の理由

 スタンダードは長きにわたり、皆さんのお近くのゲーム店の発展に欠かせないものであり続けてきました。豊富なプレイ機会に活発な競技シーン、店舗ごとに異なるメタゲーム、そして熱が入りながらも気軽に楽しめる競技性。それらは非常に多くのゲーム店に浸透しており、それゆえに、スタンダードが苦戦している時期は店舗の皆さんからも注目を集めています。

 ここ数年にわたりマジックは飛躍的に成長していますが、テーブルトップのスタンダードはその速度についていけていません。統率者戦は大きな成長を遂げ、パイオニアやモダンの人口も増え続けています。MTGアリーナにおいては、スタンダードが1日のプレイ回数の一番多いフォーマットになっています。

https://mtg-jp.com/reading/publicity/0036904/

デジタル版の『MTG Arena』とテーブルトップ(アナログ)の『Magic: The Gathering』のうち、アナログ側でスタンダードの人口が減っていることが、今回の変更の要因のようです。

スタンダードのローテーションを3年ごとに拡大することで、テーブルトップのスタンダードを楽しみやすくするための大きなポイントを2つクリアでき、さらにもう1つ利点があると私たちは信じています。

https://mtg-jp.com/reading/publicity/0036904/

現行スタンダードのカードをより長く使えること。プレイヤーの皆さんがお気に入りのカードで長く楽しみたいと思っていることは、私たちも繰り返し聞いてきました。スタンダードは唯一のローテーションするフォーマットであり、もちろん常に新鮮さをご提供することは大切なのですが、より良い落としどころがあるのではないかと感じる部分もあります。

https://mtg-jp.com/reading/publicity/0036904/

スタンダードがカードの入れ替えを強制することによる離脱や不快感を緩和するという趣旨が述べられています。「店舗」が強調されているため、店舗側の要望が強かったことが伺えます。

店舗としては、変化の少ないフォーマットばかりがプレイされ、カードの入れ替わりが激しいスタンダードがプレイされなくなると、長期的なカードの売れ行きが不安になるのかもしれません。また、カードの入れ替えが頻繁すぎると仕入れた商品が無駄になりやすいという面もあるのかもしれません。

カードセットの構成とアーキタイプ

時間をかけて、メカニズムやアーキタイプをより効果的に構築できること。セットのブロック制から離れた私たちは、高い柔軟性を得ることができました。しかしそれは同時に、セット内のメカニズムやテーマの構築力を失うことにもなりました。ローテーションの間隔を広げることで、私たちがアーキタイプを築いたり活力を与えたりする機会をより多く見出せるようになります。それは多様性の向上やアーキタイプが長持ちすることにつながり、プレイヤーの皆さんを飽きさせないような競技シーンの変化をもたらすのです。

https://mtg-jp.com/reading/publicity/0036904/

この部分は、ローテーション制度だけでなく、カードセットの構成にも関係しています。

『Magic: The Gathering』の拡張カードセットは1995年から、大型セットと小型セットの組み合わせで設計されており、この組み合わせは「ブロック」と呼ばれていました。例えば「ウルザズ・サーガ(大型)」「ウルザズ・レガシー(小型)」「ウルザズ・デスティニー(小型)」が「ウルザ・ブロック」です。

ブロック制はいまでは廃止されています。まず、「大・小・小」の3セットを1年かけてリリースしていたのが、「大・小」の2セットを半年でリリースするようになり、今では大のみを数か月おきにリリースしています。

同じブロックでは原則的に、同じ世界を舞台にしたストーリーが展開され、カードに採用されるメカニズムも世界観やストーリーと関連します。
ブロック制の廃止は、ブロックの数(≒ 大型セットの数)が多いほど、多くの世界やストーリーを速く展開できることが主な理由です。

そのためブロック制が廃止された現在は、1つの世界に費やすカードセットの数が、以前より少ないということになります。これは、その世界に紐づいているメカニズムに割り当てられるカードの枚数が少なくなることも意味します。
スタンダードのローテーション期間を長くすると、カードプールに含まれるカードの総枚数が増え、この問題を緩和できるということでしょう。

「色やメカニズム」に注目したデッキ(「セレズニア毒性」や「アゾリウス兵士」のようなデッキ)が多く、ミッドレンジが少ない環境を作るための強力なツールを得られること。カード・プールが広がることで、スタンダード環境は新しいデッキの種が一度に植えられるような大きな変化にも対応できるようになるでしょう。

https://mtg-jp.com/reading/publicity/0036904/

これも、先ほどの段落とほぼ同じことを言っています。例で挙げられている「毒性」のような特定のメカニズムへの依存が強いアーキタイプは、1つのメカニズムへの割り当て枚数が少ない環境では活躍しづらくなります。
汎用性の高いカードを詰め込んだミッドレンジデッキの割合を減らすには、1つのメカニズムへの割り当てられるカードの枚数を増やす必要があります。

感想

最後に今回の発表を見て感じたことを挙げていきます(1、2年後に答え合わせがしたい)。

環境の変化

SNSでは「強いカードが長く環境に居座りかねないのが不安」「カードを長く使えるのは嬉しい」などの意見が目につきました。

前述のように、カードの入れ替えの強制にはメリットとデメリットがあり、ローテーションによる変化と、ローテーションによって発生しかねない離脱はトレードオフの関係にあります。このトレードオフもWizards of the Coastは明確に認識していることが声明から伺えます。

トレードオフの適切なバランスは、やってみるしかないように思えます。
以前、ローテーション期間が1年半になったとき、短すぎるという声が多く、すぐ2年に戻されたことがありました。そのため、適切な期間が2年未満であることは考えにくいと思います。もし期間を変更するとしたら伸ばす方向以外にはないでしょう。ここに関しては結果を見るしかないので大して気にしてません。

強すぎるカードをリリースしてしまったときの影響を緩和するために、カードの禁止措置を柔軟に行うべきという意見もありますが、カードの禁止措置はローテーションと同様にカードの入れ替えを強制する施策ですので、禁止措置の頻度を上げることはローテーションの期間を長くする施策とは逆の方向性を持ちます。この辺は禁止ラインの設定という問題も絡んでくるので後述します。

フォーマットの整理

カードパワーがインフレするとゲームスピードが変わると先ほど述べました。カードの枚数が増えると当然デッキパワーは上がるため、ゲームスピードが変化する可能性があります。

(念のため補足しておくと、「神河物語」のようなセット内で相互作用が閉じたセットや、1つのセットに閉じたメカニズムを作り続けるとカードの枚数を増やしてもデッキパワーは変化しません。しかしこの場合、今回の変更の目的が達成されないことになります。ちなみに、セットを意図的に閉じているタイトルの例が『ヴァイスシュバルツ』です。)

モダン・レガシー・エクステンデッドなど、スタンダードよりカードプールの広いフォーマットはゲームが速く終わる傾向にあり、カードプールの狭いブロック構築はゲームが長引く印象があります。
簡単に言えば、スタンダードはローテーションしゲームスピードの遅いフォーマットで、モダンやレガシーなどはローテーションせずゲームスピードの速いフォーマットです。

スタンダードのゲームスピードが変化して、ゲームスピードの観点で差別化できなくなることは懸念材料かもしれません。また、プレイヤーの好みとしてローテーションの有無とゲームスピードは独立しているはずなので、ローテーションせずゲームスピードの遅いフォーマットなどは必要ないのかなという点も気になります。

ところで、近年モダンホライゾンなどの特殊セットの影響でモダンの環境が大きく動くことがありますが、環境の変化を激しくしすぎると「ローテーションがない」という利点が薄れ、単なるゲームスピードの速いフォーマットになってしまう点も気もなっています。ざっくり言ってしまえば、各フォーマットの存在意義が明確に定義されているか、怪しい気がしています。

今回のことをきっかけに、各フォーマットにどのような需要があり、どのような需要が既存のフォーマットで満たされていないのかなどの議論が進むとよいのではないかと思いました。

ミッドレンジは本当に減らした方がいいのか?

ミッドレンジ以外のデッキを増やすことが、今回の変更の効果の1つとして期待されていますが、そもそもミッドレンジ以外のデッキを増やし、ミッドレンジを減らすべきかは明確ではないと思います。

確かに、様々な戦略が許容される環境は一見望ましいように思えます。多くの人は戦略の多様化に表面上は同意するでしょう。しかし、自分がデッキを組むときは多様な戦略を検討したいものの、自分が多様なデッキに負けることはどのくらい許容できるでしょうか。

筆者は、TCGのデジタル化によってプレイヤーがニッチな戦略を許容しにくくなったと考えています。詳しくはリンク記事に書いていますが、一部を抜粋します。

TCGのデジタル化は「試合回数の増加」と「環境解析速度の向上」を意味し、ゲームの重心をデッキ研究・選択からプレイへと移動させました。デッキ研究・選択の価値が下がった結果、デッキ選択によって勝敗が決することを不快に思うプレイヤーの割合が増え、デッキ相性をマイルドにする圧力がかかっています。

https://note.com/jey_p/n/n204775fbeec8

様々なデッキが活躍する環境になった結果、『Hearthstone』でクエストローグが嫌われたのと同じ現象が発生すれば、恐らくWizards of the Coastはゲームデザイン方針を修正してミッドレンジデッキを増やすため、今回の変更の効果も減ることになります。

デジタルとアナログの違い

ここまでに登場した論点の、「変化と離脱のトレードオフ」「戦略の多様化」は、どちらも適切なバランスがデジタルとアナログで異なることに注意が必要です。

DCGは短時間に多くの試合をこなすことができるため、デッキ構築の最適解が見つかりやすくなり、試合自体が快適かどうかに注目が集まりやすくなります。そのため、環境が不快ならすぐに変更を行って、快適な環境にすることを望むプレイヤーが多くなります。
一方、アナログプレイヤーはカードを集めるコストがデジタルより遥かに高いため、カードが使えなくなることを嫌います。また、対面して遊ぶこと自体に面白さがあるため、不快な(多様な)試合への耐性も高くなりやすいです。

したがって、デジタルのプレイヤーは頻繁に環境が変化することや、禁止措置を歓迎しやすく、アナログのプレイヤーは悪い(と一般的に言われやすい)ゲームバランスを許容しやすい傾向があります。
Wizards of the Coastは「約束された終末、エムラクール」「密輸人の回転翼機」「反射魔道士」の禁止から、スタンダードの禁止措置のラインを引き下げているように見え、それ以前のスタンダードよりも簡単にカードが禁止されるようになっています。筆者の考えでは、これは『Hearthstone』および、その後にリリースされた『MTG Arena』の影響によるものです。

また、「多様な」戦略への耐性も前述のとおりデジタルとアナログで違いがあります。

今回の告知記事でも、『MTG Arena』のスタンダードのプレイヤー数には問題がないとのことなので、デジタル版『Magic: The Gathering』のプレイヤーは現状のスタンダードの変化のスピードに大きな問題を感じていない可能性が高いと思われます。

よって今回の変更は、TCGのデジタル化という大きな流れへの適応がひと段落し、その副作用としてアナログ側で変化の少ないモダン・レガシー・統率者戦などへの移行が進んだことへの対応と見ることができるでしょう。
こうして見ると、変化が速いことが売りのフォーマットであるスタンダードは、アナログよりデジタルに向いたフォーマットのため、そもそも対応する必要があるのか(デジタルとアナログで棲み分ければいいのでは?)という疑問が生じます。

とは言えこれはプレイヤー視点の話であって、変化の激しいフォーマットが流行らないとカードは売れず、遊び場を提供してくれる店舗が困りますし、絵違いカード商法にも限界がある(絵違いカードを増やすほどプレイヤーの嬉しさが逓減する)という要因が大きそうです。

「フォーマットの整理」の観点からは、スタンダードよりも変化の激しいフォーマットとして誕生した「アルケミー」が、大してスタンダードと差別化できなかった結果、ただ人が少ない(そのため、つまらない)フォーマットになってしまったことも問題で、今回の変更により少なくともスタンダードとの差別化はできるようになったため、今後立て直すチャンスもあるかもしれません。

個人的には、せっかく『MTG Arena』民向けにアルケミーをつくったのだから、スタンダード側は禁止措置の頻度を減らした方がいい気がします。デジタル向け「超スタンダード」をつくるという発想は悪くないはずですが、いまのカード変更は全然イケてないので、このチャンスになんとか頑張って欲しいものです。

多色化の容易化

話は変わりますが、『Magic: The Gathering』には多色土地の強いカードセットと弱いカードセットがあり、スタンダードにも多色化しやすい環境としにくい環境がありました。
このとき、多色土地の強いカードセットがスタンダードに残存する期間が長くなれば、多色化しやすい環境の割合が増え、多色化しにくい環境がなくなる可能性があります。

色の少ないデッキを志向させるには、多色土地を弱くするより、トリプル・クワドラシンボルなどで単色を志向させる方が望ましいように思えるため多色化しやすい環境が続くのは個人的には悪い事ではないと思います(色事故や土地事故で負けるのは不快であり、事故は極力起きにくくするべきだと考えているためです)。

ただ、多色が常に容易になると、緑の長所の1つが失われてしまうことは気がかりです。まあ緑には良い点はほかにもあるので、多色推しはリミテッドだけにして構築ではどうでもよくなっても別に構わないっちゃ構わないですが、『Magic: The Gathering』で一番好きなカードが「極楽鳥」だということもあり、違和感はあります。

フレーバーとメカニズム

最後の論点として、今回改善が期待されている(ブロック制の廃止によって)メカニズムを掘り下げにくくなった問題は、そもそもメカニズムをカードセットの世界観・ストーリーと紐づけなかればならないことに起因している点も指摘しておきます。

フレーバー無視で使いたいメカニズムを差し込めば、メカニズム掘り下げ問題はすぐに緩和できます。もちろん、フレーバーとメカニズムの紐づけはメリットが大きいですし、無秩序にメカニズムを入れまくると覚えることも増えすぎ、リミテッドは崩壊し、ローテーションによってゴミになるカードが生まれるリスクがあるなど全然ダメなのですが、しかしもう少し紐づけを緩和してみてもいい気がします。

これを思ったのは、同じ問題が「プレインズウォーカー」でも発生したからです。

ストーリーで、プレインズウォーカーの「灯」をなくした動機の1つに、有名なキャラクターをクリーチャーカードにしたかったというものがありましたが、この問題もストーリーの「プレインズウォーカー」と、メカニズムの「プレインズウォーカー」が紐づいていたために発生しています。

これを何か別のカードタイプ名で実装していれば…フレーバーとメカニズムの紐づけは良いことだらけに見えますが、意外とデメリットもあります。どういう紐づけ方が安全で、どういう紐づけ方が危険みたいな話もふんわりと考えているのですが、まだあんまりまとまっていないため気が向いたときに記事にしたいと思います。

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