2021年に出た本ベスト5 + おすすめ本

今年は読書の年にしようと思い立ち例年より多くの本を読んだので、2021年に出た本の中から個人的ベスト5を紹介します。

個人的ベスト5

予測する心

人間の「知覚」と「行為」を、1つの目的のメカニズムとする「予測誤差最小化理論」の入門書。
脳は外界のモデル(仮説)を能動的に構築するシステムで、感覚入力によってモデルを検証・改訂したり、行為によって外界に介入し、モデルと外界の誤差を最小化しようとする…とのこと。

知覚・意識・情動・行動など、あらゆる人間の心理や活動を統合する理論。1回読んだだけでは意味が十分に理解できなかったが、重大なことが書いてあることは分かった。頑張って再読したくなる本。

中国軍人が観る「人に優しい」新たな戦争 知能化戦争

鉄器や火薬など革新的な技術によって進化してきた戦争形態のライフサイクルを解説し、最新の「主導的技術」である知能化(AI)技術時代の戦争や軍隊の形を論じた本。

この本の特徴は、社会全体に大きな変化を与える技術のサイクルを捉えている点で、戦争形態のライフサイクル・知能化時代におこる変化・変革期の組織内部の動きなどは、企業活動やエンタメにも当てはまる点が多く、非常に面白い。
「情報技術」によって得られる利益が減少し、「知能化技術」の時代になりつつあるという指摘は、カメラが豪華になるだけのiPhoneなどを見ても頷ける。

アメリカン・ベースボール革命: データ・テクノロジーが野球の常識を変える

データやテクノロジーの活用によって進歩・変化した、野球選手の最新のトレーニング手法を紹介する本。
野球とデータと言えば、映画にもなった「マネーボール」が有名で、同じテーマの本では「ビッグデータベースボール」も名著だが、この本も面白かった。

3冊を順番に読むと、時代が進むにつれ取得されるデータが増え、活用対象が【編成】 → 【戦術】 → 【トレーニング】とチーム・マクロのレイヤーから個人・ミクロのレイヤーに移行していることが分かる。デジタルトランスフォーメーション(DX)の事例としても面白く、野球ファン以外にもおすすめ。

監視資本主義: 人類の未来を賭けた闘い

インターネットや機械学習の発達によって、人の行動や思考が監視・修正可能になり、人間の自律性や自己決定権が脅かされている、という本。
この問題意識はFacebookのスキャンダルを事前に知っていると分かりやすいかもしれない。(Facebookのスキャンダルについてはマインドハッキングがおすすめ)

個人的に今年のベスト本。SNS・オンラインゲーム・メタバースなどインターネットにまつわる多くの話題において重要なテーマで、アメリカのSNS規制論なども、この本で論じられている巨大プラットフォームによる支配が意識されている。関連記事も書いたので、興味のある方は是非どうぞ。

はじめてのUXリサーチ ユーザーとともに価値あるサービスを作り続けるために

UXリサーチのハウツー本。

メルカリのUXリサーチャーが書いただけあって、国内の、それも大きな組織内でUXリサーチを始めることに主眼が置かれている。具体的なケーススタディも多数紹介。非常に実践的な本で、いくつか読んだUXリサーチの本で個人的に一番よかった。

読書の年の感想

・本を大量に積んでおくと読書が捗りやすい
大量に積むことによって、そのときの気分に合わせた本を選べるようになり、読書が捗りやすくなる。ストックしてる本が少ないと、手元にある本の読む気が起こらないときに、読書自体進まなくなってしまう。読みたくない本も、日常的に視界に入れることによって関心が高まり読みやすくなると思い、とりあえず積んでいます。

・本棚を買うと読書が捗りやすい
インベントリのスロットを増やしておくと、何となく埋めておきたくなるので本を積みやすくなり、捗りやすい。

・テキストを公開すると読書が捗りやすい
人に見せる文章を書こうとすると、さすがに多少は調べないとまずいと思い、読書が捗りやすい。今年が読書の年になったのはnoteがきっかけでした。

・本を読むと知らないことが増える
大抵のことは本を何冊か読む程度では分からないので、本を読むと「世の中にはこういうことを考えてる人がいるんだなあ」と未知の領域を認識するので、結果として知らないことが増える。Amazonだと、視界に入る本が自分の関心のあるジャンルに偏るので、リアルの大型書店がおすすめです。

今年はインプットの時間が長かったので、来年はアウトプットにかける時間を増やしたいと思います。ゲームデザインの理論やノウハウが体系的にまとめられていないという問題意識を感じているので、自分の専門領域については書籍レベルのまとまったテキストを残したい。(どのような形で公開するか模索中です)

ほかのおすすめ本

ベスト5に挙げた本以外のよかった本も、せっかくなので貼っておきます。(2021年に出た本のみ)

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