ジュエリー文学(フレデリック・ブウテ『橋の下』はホープダイヤモンドの謎に迫るミステリー作品?)
ラジオpodcast「ジュエリー法務のインクルージョン」では、毎週水曜日、
ジュエリーをモチーフにした文学作品(著作権が切れたもの、青空文庫に掲載されたもの)を朗読しています。
今回は過去の放送から、
第37回 フレデリック・ブウテ『橋の下』をご紹介します。
朗読
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今聴くとめっちゃ朗読下手くそですね(今もよくかみますが)。
朗読原文は、青空文庫から読めます。
ホープダイヤモンドの謎
世界でもっとも有名なブルーダイヤモンドといえば、現在アメリカのスミソニアン自然史博物館に所蔵されている、「ホープダイヤモンド」でしょう。
「持ち主は必ず不幸な死を遂げる」などとさまざまな逸話があるダイヤモンドですが、
最近になって、フランス革命時にフランス王家から盗み出されたブルーダイヤモンド(タベルニエ・ブルー)とホープダイヤモンドは再カットはされているが同一の石であるという研究が発表されたというニュースについて放送の中で紹介しました。
AFP 盗まれた太陽王のダイヤは米国に?研究発表
2008年11月19日 17:58 発信地:パリ/フランス [ ヨーロッパ フランス ]
調査を主導した鉱物学者フランソワ・ファルジ(Francois Farges)氏は、「ホープダイヤモンド」と「フランスの青」が同一のものであることは「99%間違いない」と語る。
ただ、この記事をよくよく読むと、これって単にフランスの一人の研究者が、
「フランス革命前の資料とかから推測すると、いまのホープがすっぽり入るくらいの大きさだったと思うよ」
と言っているにすぎないようにも読めます。
そもそもルイ14世の頃のタベルニエ・ブルーの三次元形状がどこまで正確に復元可能なのか?がポイントになりそうです。
(そういえば以前二度目のレコールで外苑前でエキシビションがあったとき、タベルニエ・ブルーのCZレプリカも展示されていましたね。)
アメリカからの返還問題と絡んで政治的な意図があるのかもしれません。
おすすめの映画『黄金のアデーレ』
ちなみに余談ですが、美術品の返還を巡る争いの中でも有名なのは、
クリムトの「アデーレの肖像」をめぐる国際的な訴訟争いですね。
映画『黄金のアデーレ』という作品にもなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=_VLc1B9V8mc
法律家を目指す学生さんとお話をするときなどによくおすすめする映画です。
法という装置(ナチスの全権委任法による独裁とユダヤ人虐殺は、当時もっとも進んでいたとされるワイマール憲法の下で国民の大多数の賛成によって正当化されていました)によって人権を奪われた主人公が、
やはり法という装置(現代の訴訟制度)によってアデーレを取り戻す、
というこの壮大な「法」を巡るストーリー。
法(司法)は決して万全なものではない、使い方をまちがうと大変な人権侵害もしてしまう恐ろしい装置だけれど、
使い方によっては、多数決では決してできなかったようなこと(一人のおばあさんの権利を取り戻すこと)もできる可能性を秘めている、
ということを学びました。
大好きな映画なので、こちらもおすすめです。
<引用文献等>
・中央宝石研究所「青いダイヤモンドの呪い」
http://www.cgl.co.jp/knowledge/episode/05.html
※ヘッダー画像の出典はスミソニアン財団(https://www.si.edu/object/hope-diamond:nmnhmineralsciences_1001299)より。
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