「ジュエリーと知財~知財で勝ち、知財で負けないように~」感想

JGS(日本宝石協会)オンラインセミナー「知的財産権の国際化」(辻本希世士 弁護士、大阪弁護士会)を受講しました。

ふだん他の法律家の方がどのように説明されるのかは聞く機会がないので、とても貴重な勉強の機会でした。

<講義メモ>

○自らが開発したデザイン・ブランドを模倣から守るには?(他社から訴えられないようにするのは?)

○モノマネは原則自由か?⇒原則自由 知財はその例外

Q 社会にとてはどちらが望ましい?原則を押し通すとどうなるか?

○大阪地裁平成23年9月15日判決 意匠権侵害差止等請求事件

爪やすりについて意匠権侵害を認めた例(辻本弁護士担当事案)

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=81627

○類似を広げるテクニック・・・部分意匠、関連意匠

○公開前に出願を

○不正競争・・・意匠登録できない(してない)ときは事前の策として検討

○「知らなかったとの弁解」・・・意匠権だとそれは通用しない、不正競争だと言い得る


<学び>

ふだん自分もよくお話するテーマだったので、他の先生(特に弁理士資格もお持ちの法律家)がどのような説明の仕方をされるのかは非常に興味がありました。やはり大阪で有名な知財の先生だけあって、「ご自身が担当された訴訟」というのはとてもリアリティ(や裏話)があって面白いですね。

私は知財の専門というわけではないので、おなじ説明をしているところは安心しましたし、ちがう部分はふだん自分では気づかない部分を考えるきっかけになりました。

たとえば私は知財については専門というわけではありませんがジュエリーの事例については比較的知っているので、普通の弁護士が「スナックシャネル事件」を上げる文脈で「ノーパン喫茶ニナリッチ事件」をあげていますし、立体商標の具体例もバーキンではなくBALANCEをあげています。そのほうがジュエリー業界の方には身近に感じられるような気がします。

また、個人レベルのデザイナーが新作発表前に意匠登録などのステップをとるかどうかの判断をするかどうか?はとても難しいリスクマネジメントだなと毎回思いますし、まさにそこをデザイナーの皆さんは知りたいのかなあとも思います。
私見では、①そもそも意匠権とれる要件があるか、②登録費用を上回る売上が見込めるか、③模倣されそうかどうか、などを考えることになるのかなと思います(それを予測するのがまさに大変なのですが)。

また、さいごにルネッサンスジェムの山崎さんが「国際化」について強調されていて、取引先が海外の会社も多いので、やはり関心があるのだなあと思いました。常に海外の情報にもアンテナを張っておこうと思います。

(そういえば昨年末に中国でヴァンクリーフのアルハンブラの立体商標が訴訟で取り消されたというニュースがありました。日本でもバランスにつづいて立体商標が取得される事例がでてくるか気になるところです。)



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