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(最新情報)宝飾・時計業の「損害保険」について考える


もともと私は損害保険の案件を多く扱っていたこともあり,

宝飾や時計の販売・修理業の方から,起きてしまったトラブルのことだけではなく,いざというときのために損害保険のご相談もいただくことがありました。

一般的な損害保険商品では,約款上,「貴重品」といわれる宝飾品や貴金属は対象外になっていることが多い,というのがそもそものスタートです。

高額品について特約で保険をつけると当然ながら事故発生時の支払金額も大きくなるため,保険料が高くなってしまうため当然といえば当然ですね。

これまでは以下の1(ジュエリー関連団体が扱っている団体保険)の方法くらいしか知らなかったのですが,最近2や3の方法もありえることを知りました(理屈としてはあるのは知っていましたが,実際にそこそこリーズナブルに加入し得るとわかった)ので,共有いたします。

特に中小規模のジュエリー関連業を営む方にとっては,工夫次第でいろんな選択があり得ると思います。

※保険商品はそれぞれに細かな加入条件や会社ごとの見積などあるので,詳しくはご自身で保険代理店および引受保険会社におたずねください。著者は保険代理業者ではありませんので,保険の細かな条件や付保範囲の正確性については保証できません。

1 ジュエリー関連団体が行う保険に加入する方法

① 「JJA動産総合保険」(動産総合保険)

http://www.jhs-ins.co.jp/business.html 

(条件)ジュエリー産業福祉共済会の会員であること

引受保険会社:あいおいニッセイ同和損保㈱(幹事会社)・東京海上日動火災保険㈱

○ジュエリー商品を「盗難」「火災」「爆発」「破損」等からお守りします
◎JJAのスケールメリットを活かした団体保険料
○保険料分割払割増なしでお引受け
○「保管中」はもちろん「委託・受託中」「展示中」「携行中」「輸送中」も補償
○営業時間外・金庫外保管中の「盗難」も一定限度まで補償


② リ・ジュエリー協議会の受託者賠償保険

○ジュエリーのリモデル(リフォーム)や修理(リペア)にともなう受注において、特定の保管施設内に保管している間、および加工過程において、滅失・損傷・汚損したり盗取された場合

○保険金額:1事故あたり100万円
(期間中支払限度額100万円)

 ○免責金額:5千円(1事故あたり)

 ○縮小てん補割合:80%(1事故あたり)

 ○一時払保険料:①修理加工危険あり50,000円 ②修理加工危険な
し45,000円

上の①②の方法は,もともと団体に入っている企業にとってはメリットはあると思いますが,それぞれカバーの範囲がきまっており,たとえば①は商品については対象だが修理加工危険は対象外だとか,②はジュエリーは対象だが時計は対象外だとか,いろいろなちがいがあります。

また,中小規模や個人事業主の方などにとってはそもそもコスト面などで日本ジュエリー協会(JJA)やリジュエリー協議会などの団体加入のハードルが高いという問題も聞いておりました。

最近,たまたま「宝飾時計店なので,ジュエリーリフォームだけでなく時計修理のリスクも対応できる保険を探している」という相談があり,

時計関連団体などに問い合わせましたが,あいにく時計関連の業界団体では団体保険などの情報が得られませんでした(何かご存知の方がいたら教えて下さい)。

そこで,保険代理店の方に相談したところ,以下のような方法が考えられることが分かりました。

2 受託物賠償責任保険にピンポイントで宝飾・時計の特約(オプション)をつける方法

ピンポイントで宝飾時計の修理時のリスクをカバーしたいという場合は,受託者賠償責任保険の特約として「宝飾品」と「時計」(コードはそれぞれ別々だそうです)をつけるという方法があります。

これは,その他の店舗の保険がほぼ網羅されているとか,既に1のジュエリー業界団体の保険に入っているなど,ピンポイントで補完したいという場合にはよいかもしれません。

たとえば,

損保ジャパン 受託者賠償責任保険

http://www.kinoshita-hoken.co.jp/jyutakubai.pdf

などがあります。会社の売上規模などなどの諸要素により,宝飾と時計の両方を特約でつける方法があります。

条件によっては比較的安くつけられる可能性がありますので,お近くの保険代理店などで相談されてみてください(これまでの事故歴や会社規模によってはそもそも宝飾時計は断られることもあるようです)。


3 店舗のトータルリスク保険(宝飾時計対応のプラン)に入る方法

あとは,そもそも店舗に賠償責任保険はほとんどづけていない,と言う場合は,いっそのこと受託物だけではなく,「トータルリスク型」といわれる保険にはいるほうが安心ではあります。

たとえば,

あいおいニッセイ同和損保 タフビズ賠償総合保険

このなかの「ワイドプラン」だと,受託物損壊賠償も上限1000万円でつくようです。

しかも,修理預かり時のリスク(受託物賠償)以外にもいろいろな店舗の賠償リスクも広くカバーされています。

画像1

(画像は上のリンク先から)

たとえば,

・2階の自社店舗が漏水して1階の他社の商品を水浸しにしてダメにしてしまった,来店したお客様が転んで怪我をした(施設賠償)とか,

・従業員が所有する自動車で営業に行く途中事故をしたが,従業員の任意保険が切れていたため使用者責任で会社が請求を受けている(従業員所有自動車危険補償)とか,

・チラシにネットから拾ってきたイラストを載せたら著者から著作権侵害で訴えられた(広告宣伝活動による権利侵害)とか

いろいろなトラブルがカバーできそうなので,これまであまり店舗運営にまつわる保険ははいっていなかった,というような場合はよいかもしれません。


4 中小規模の事業者が保険料を安く抑える方法(組合などの利用)

もちろん,付保範囲が広くなればなるほど一般的には保険料は高くなるのがふつうなのですが,

中小企業向けの組合などに入ることで,保険料の割引きを受けることができる可能性があります。

たとえば,

全国情報技術協同組合

では,加入の際に出資金として1口1万円が必要(退会時に返還されます)ではありますが,

組合員になると上のタフビズ賠償総合保険の保険料なども最大7割引で入れるそうです。

売上規模などにより見積額は変わるそうなので,逆にいえば売上げ額がまだ比較的少ない中小規模の店舗はメリットがあるかもしれません。


5 宝飾・時計店の保険選びのポイント(まとめ)

① 自社が行うサービスに伴うリスクを見極める!

宝飾時計の小売なのかリフォームなのか,ジュエリーだけなのか時計や眼鏡なども扱うのか,店舗があるのか,従業員は雇っているのか,などによりどんなリスクがでてくるのかがかわるので,それにあった保険を選びましょう。

② かしこく比較検討する!

「ジュエリー業界団体に入るのはまだハードルが高いしな」とあきらめず,自社でいざというときのための予算を組むのがいいのか,それとも保険加入がいいのかを比較検討しましょう。

今回紹介した組合の割引制度を利用するなど,まだまだ知らないだけでほかにも案外使えるものもありそうです。

さいごに

どれだけ対策をしていても,想いがけない事故やトラブルは起きます。

そのときに使える保険に何もはいっていないと賠償金の支払いや訴訟費用などもすべて自己負担しなければなりません。そのために経営が傾いたりサービスが低下するのは本末転倒です。その意味では従業員やお客様に安心してお店を利用していただくためにも,適切な保険の付保・見直しが必要なのかもしれません。

ジュエリー業を営む方からの損害賠償や保険,顧客トラブルなどのご相談は,下記お問い合わせフォームからおねがいします。


※保険商品はそれぞれに細かな加入条件や会社ごとの見積などあるので,詳しくはご自身で保険代理店および引受保険会社におたずねください。著者は保険代理業者ではありませんので,保険の細かな条件や付保範囲の正確性については保証できません。

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人形町のジュエリー弁護士⚖️ ジュエリーコーディネーター(JJA-JC2/GIA-AJP)💍 ウオッチコーディネーター(CWC) パールエキスパート(SA) 法律サービスの面から宝飾文化の発展に貢献する💎 https://jewelryandlaw.com

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