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誕生石に想う 【誕生石編1】

「久しぶりにフランス料理でも一緒に食べに行くか…」
当時、子供は二人とも成人し家を離れて、半年が経っていた。
来月は妻の誕生日。子供を一生懸命育ててくれた少しもの感謝に、少し奮発してとあるホテルの最上階にあるフランス料理屋に予約しようと、電話するところだった。
「なんか色々コースあるみたいだけど、何がいい?」
妻は手に持っていたチラシを見て、 「フランス料理もいいけど、最近近所においしい居酒屋ができたみたい。そこいってみようよ!」

昔から変わらず、高級なところは嫌がり、普段はあまり身なりを気にせず、薄化粧な妻である。
しかし、せっかくの妻の誕生日なので、プレゼントを渡すことにした。

翌日、近所のデパートのアクセサリー売り場を歩いてると、言葉では表せれない綺麗な緑色の石が目に留まった。
「お客様、こちらはエメラルドという石でございます。」 
確かに、エメラルドグリーンの輝きとはまさにこの色かと思ったが、こんなに綺麗な石をこんな近くでみることなんてなかった。
「エメラルドは5月の誕生石でございます。宝石言葉は夫婦愛・幸福なんですよ。」
妻の誕生日は5月、宝石言葉に惹かれ、即決した。

 それから3年、妻は毎日そのエメラルドネックレスをつけている。
長年の子育てや家事で少し疲れてた妻の顔は、すっきりした面持ちで、気品にあふれていた。

 一般によく知られている誕生石はユダヤ教の『ヨハネの黙示録』、『出エジプト記』に由来するといわれています。『ヨハネの黙示録』に記されている聖地エルサレムの土台石、そして『出エジプト記』の司祭の胸当てにはめ込まれた宝石は、いずれも12の宝石です。それはユダヤの12氏族から来ているともいわれます。が、実はその源流は12星座に関係していると紀元前一世紀、「ユダヤ古代史」の中に解かれています。誕生石の12の宝石選びは、夜空に輝く星の輝きでした。秋分を起点とした横道を12分割した天文学上の12星座による、3500年前の星座石が基になっていました。

 そして宝石言葉は2000年前の時代の言葉ですが、現代にまで伝承されてきたということは、星と同じように宝石言葉には時を経ても輝きを失わない真実が言い表されているからではないでしょうか。
(ジュエリー文化人類学より)

一般社団法人ジュエリー学協会
タイ支部長 門馬哲史

参考文献/資料
ジュエリー文化人類学より
ジュエリーに心が宿る瞬間…(畠 健一著作)
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