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私のミッション:「エンパシー(empahty)は学べるか?経験せずに他者をどこまで理解できるか?」

このnoteを書き始めたのは、これまで自分の中に閉じて書いてきた5年日記が終わるタイミングでした。

2年前に乳がんの告知を突然受けたとき、当時4歳の息子を残して自分が死ぬことを本気で覚悟しました。これまでの自分の人生を振り返って「本当に大切なものを見失ってきたのではないか」と自分の人生を問い直したことは重要なターニングポイントとなりました。

自分の人生を振り返って気づいたことは、これまでの経験を通して、正しいとされてきたことが実はそうではなかったことが多いということでした。自分が信じてきた価値観が変わることもある、ということを、色々な経験をしたからこそ、わかってきました。

そう、「色々な経験をした」から、なんです。

海外生活、帰国、不況下での就職活動、転職、結婚、離婚、再婚、不妊、産休・育休、高齢出産、産後うつ、ママ友の壁、ワンオペ育児、フルタイム勤務のワーキングマザー、幼児を抱えての乳がん告知、手術、ホルモン治療、副作用による適応障害、メンタル不調の中で働くということ、息子の小学校1年の壁、子どもの発達に関する不安、子どもにまつわるトラブル・・・

特に育児と病気のことは、色々と人から聞くことはあっても、実際に経験しなくては理解できないことだらけでした。

自分が経験したことを、誰かの役に立てたい。そして、息子に自分がどういう想いで今までの人生を過ごしてきたのか、将来彼が大人になった時に伝えたい(たとえ自分がこの世にいなくても)と思ってこのnoteを始めました。

これまでは、乳がんのホルモン治療による副作用のことを中心に書いていましたが、今後は私がこれまで経験したことで人の役に立てそうなこと、息子に知っておいてもらいたいこと---例えば、乳がん告知された当時、4歳だった息子に私の病気のことをどう伝えたか、入院・手術のときに病院は子どもへのケアに対してどう対応してくださったか、などや、共働きで夫婦別姓ではないことがどれだけ不便か、なども含めて記していきたいと思っています。

しかし、経験したことを伝えることは非常に大切なことだけれども、一方で最近感じるのは、経験を伝えるだけでは、実際に経験したことない人の理解を得ることは難しい、ということ。

いくら伝えようと言葉を尽くしても、「百聞は一見に如かず」「実際に経験しないと本当のところは分からない」のではないか。経験者とならなければ、私自身、理解できないことだらけだったのです。

エンパシー(empathy)という言葉があります。私はこの言葉を、ブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』という本を読んでいて知りました。エンパシーは「他人の感情や経験などを理解する能力」と言われています。

いま社会の分断が深刻になっているのは、他人の価値観や感情を理解できない人が増えているからではないかと言われます。エンパシーを個人が持つことは分断を埋めることにもつながると思うのです。

多様性が叫ばれる社会において、他人の感情や経験を理解することは重要なことだけど、結局は自分が経験しないと理解できないのでは?となってしまう。全ての人が全てのことを経験しなくてはならない、となると「それは無理だよね」となってしまいます。

だから、最近私がとても重要だと思うのが、個人が経験しなくてもエンパシーを持つ力を育むことができるような学びを提供すること。つまり、このnoteのタイトルにいれた「エンパシーは学べるか?経験せずに他者、相手をどこまで理解できるか?」ということです。

今後、自分が経験しなくても、異なる意見や価値観を持つ相手を理解する「エンパシーを学ぶ」ためにどういったプログラムが必要なのかを考えたい。そうした学びは、子どもだけでなく、大人にも必要になる時代。

私のミッションとして、ライフワークとして、このことに取り組みたい、とここに宣言します。

※画像は、アーティストの長坂真護さんの作品。長坂さんはガーナを拠点に電子機器の廃棄物をアート作品にして活動しています。ガーナでは、先進国から廃棄される電子機器が集められ、ゴミの山から資源を取り出そうと燃やして集めている現地の人々がいます。現地の人々は煙を吸い込んで病気になる方も多いという過酷な環境で暮らしていますが、生活の糧を得るためにはそれ以外に方法はないといいます。その状況をアートで解決すべく、長坂さんは活動しています。私はガーナに行ったことがないので、その点、現場を目の当たりにしたらきっと壮絶な経験としてインパクトを受けるのかと思います。昨年10月に日本橋三越で行われていた彼の展覧会に行ったのですが、彼のアート作品から、彼自身が現地で受けたインパクト、経験が伝わってきたのです。エンパシーを学ぶためのヒントがここにある気がしました。

長坂真護さんのサイト

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