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プロジェクトK

私はホラー系が好きということもあってか、例えば市松人形やこけしといったものに全く抵抗が無い。

先日とある市松人形の販売会へ足を運び、実際に人形を作っている工程を見せて頂き、自身の足りない語彙力では表現出来ないほどの感動と衝撃を受けた。

本当に素晴らしく、後世に残していくべき伝統工芸だと思った。あまりに感動し、いつかこの市松人形を買いたいとすら思ったほどだ。

ルンルン気分でパンフレットも頂き、来たるその日のためにせっせと軍資金を貯めなくてはと心に決めた。

しかしだ。私はあることを思い出した。

そういえば我が家には、2体のこけしがあるということを。

去年くらいにダイソーでこけしが売られているのを見つけ、そのビジュアルが某アニメのワンシーンを彷彿とさせると思い、ネタ的に購入したものだ。今となっては押入れのどこかに眠っている。

彷彿とさせた某アニメ

何とか引っ張り出して久しぶりに本体を見たものの、何とボンドのような接着剤で付いていた頭のリボンの部分と手前についている傘の部分が、長い間押し入れにしまっておいたせいで熱や湿気によって溶けていたようで、ポロンと一瞬で取れてしまったのである。

しかも本体の周りには、ボンドの乳白色の塊がくっついてしまっている。これは大変だ。
せっかく購入したのに何てもったいない!

……ということで、私はこの2体のこけしのリメイクをすることに決めた。

名付けて「プロジェクトK(こけし)」である。

まずは少し熱めのお湯にこけしを浸け、こびりついているボンドの部分を全て剥がした。
この時点では、こけし自体に大きなダメージはないと思っていたのだが、タオルで拭いて乾かした後、黒いこけしを見てあることに気がつくのである。

お湯に浸けてボンドを取った後

お湯に浸け過ぎたのか、黒髪の部分が少し白くなってしまっていたのである。
写真では分かりづらいが、肉眼でははっきりとその色の違いがわかる。

うっすらと白く変色している頭

考えに考え、今度はセリアでアクリル絵の具と筆を買い、黒い方のこけしの頭全体を塗り直すことにした。

アクリル絵の具初挑戦

塗った直後は筆先がまるで線のように入り、髪の毛のような感じになってしまい、元々は光沢のある頭だったのが、一気にマット感のある頭へと変化した。

職人さんみたいだけど……

所詮は素人。素人が何の計画もなしに突然今までやったことのないようなことをやると、こうなってしまうのだ(笑)

せっかくなので、次に白い方のこけしも頭頂部や随所に見られる経年劣化と思わしき剥がれがあったので、どこか犯罪臭が漂う感じもするが顔にマスキングテープを貼り、同じくアクリル絵の具で着色をした。

何故か犯罪臭が漂っている

しかし、こちらは何度塗り直しても乾いた段階で木の質感までは隠すことができず、最終的に昔購入したコピックのオペーク(要は漫画家さんで言うところのホワイト)を爪楊枝につけながら塗ることで、悪目立ちすることなくきれいに仕上がってくれた。

コピックオペーク!
剥き出しの頭頂部が上手くカバー出来た

さらにお腹の部分に変色が見られるのだが、これは逆にアクリル絵の具でもコピックオペークでも悪目立ちしてしまうので、塗ること自体を断念せざるを得なかった。

お腹周りに黄色い変色が目立つ

如何せん素人が思いつきでやったことなので、下手くそさは大いにあるが、最初のみすぼらしさからは少し遠ざかったように思う。

ある程度キレイになったこけしたち

しかし私のこけしリメイク大作戦「 プロジェクトK」というミッションはこれで終わりではない!
改めてセリアでマスキングテープや装飾パーツを買い漁った。

100均って凄いよね

その中で最初に行ったことは、柄の異なる2種類のマスキングテープを、こけしの胴体辺りに巻くようにして貼り付けること。

白いこけしには全体的にピンクで牡丹や桜などの花があしらわれた可愛らしいものを選び、黒いこけしには鶴が施された大人っぽいデザインのものを選んだ。

牡丹や桜などの花柄デザイン
鶴や梅などのシックなデザイン

テープの粘着性だけが心配だが、途中で出来てしまったシワをハサミの柄で伸ばしながら安定させたので、少しは大丈夫だろうと信じたい。

こんな感じで貼ってみました

次の工程は、先ほどこけしの真裏に巻きつけた マスキングテープの上から、接着剤でリボンを付けていく。
ほぼ行き当たりばったりでやっているので、不器用さが全開に出ている。何ともお恥ずかしい限り。

だがこれで帯の完成である。
少しは帯っぽく見えているであろうか?
見えていれば良いのだが。

次の工程がいよいよラストの工程となる。
花の装飾パーツを用いて、髪飾りとしてこけしの頭へ付けていく。
実はここが一番難しいのだ。

マスキングテープは、仮にずれても何度でも貼り直しが利くし、リボンは裏側が平らになっているため接着剤もつけやすかった。

しかし、この「つまみ花」という装飾パーツは裏側が平らになっていないため、上手く接着させられないのだ。

しかも2体のこけしに付ける位置がずれてもいけない。とても慎重になる……

はずなかった。だって私だもん。

不器用な人間があれこれ緻密に計算したところで、こういった工作の類は特に上手くいくはずが無いのだ。

出来上がりー!

横に並べてみるとわかるが、両者しっかりずれている(笑) だがそれで良い。

問題は購入してから1年以上もの間、押し入れの中に放置しておいたせいで熱や湿気がこもり、いろんなところが溶けかけていたこけしを、反省の意味も込めて自らの手で改造・再生させたということが大事なのである。

そうこうとこんな記事を書いている間に、昔使っていたスマホから買った当初のこけしの写真が残っていた。恐らくSNSにアップするつもりだったのだろう。それすらも忘れていた。

購入当初のこけしたち(2022年5月)

比較してしまっては元も子も無いが、元はこうだったのである。
どうだろうか? だいぶ変わってしまってはいるが、これはこれで多少は可愛くなったと思いたい。

皆さんも買ったまま使わず、長年どこかに放置してあるようなものはないだろうか?
こういうことにならないためにも、今一度押し入れの中や物置の中を確認されることを是非お勧めしたい。思わぬ発見があるかも知れない。

話は変わるが、今回プロジェクトKで見事再生させたこのこけしたちを、今後何かしらの形で活動させていきたいと思っている。

具体的なことはまだ何も決めていないが、こけしや市松人形といった、どことなくホラー要素がある素材ゆえに意外と方向性もすんなりと決まってくれることであろう。

また活動について進展ないし報告があれば、こちらで是非させて頂きたいと思う。
今回はこの辺で。


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