大人としての気づき

レコルト（https://recolte-jp.com/products/raclette-fondue-maker-grand-melt/）

フラットと網目の両面使える鉄板と、チョコレートフォンデュやチーズフォンデュができるコンパクトな可愛らしいココットが２つ、ラクレットチーズを溶かすミニフライパン４つがついた「ラクレット＆フォンデュメーカー　グランメルト」という商品を去年手に入れてからは何かと重宝している。

３人の子どもたちがそれぞれ結婚し夫婦ふたりだけになった50代の私たち。食欲もそれなりに緩やかに衰えて、若い頃はあんなに食べられたのにね、と言いつつコンパクトになった暮らしや食生活も悪くないと思っている。

今日は私が休み、夫は仕事だが明るい内に帰宅した。せっかくの爽やかな５月の夕暮れ。地域でも有名な花火大会も見られる自慢の眺めの良い四畳半大のベランダで、美しく変化してゆく壮大な夕陽と雲の流れを堪能しつつグラスを傾け、最近頻繁にしている「ふたり焼肉」を風を感じながら楽しもうと思ったのだが。

なぜかラクレット～は元気がない。鉄板に肉を委ねても、あの食欲をそそる「じゅうっ‼︎」と言う音がしてこない。

電源はちゃんとささっている。火力のツマミも最大にしてある。もしや、外で風もあるからなのか？と思い早めに決断し、生焼けの肉ののったラクレット～を大切に私から夫へバトンタッチしリビングへ移動した。

ほどなく、ラクレット～は普段通り食欲をそそる音と匂いで私たちの心と胃袋を満たしてくれた。

20代であったら「せっかく気持ちの良い外で食べたかったのに」という残念な気持ちでいっぱいになったかも知れない。年齢を重ねて大人になってよかったと思うのは、こんなふうに思惑通りに行かなかった時。

「アウトドア用につくられた製品ではないから、外で風がある条件ではうまく機能しないんだろうね。実はこの子はインドア派なんだね」
などという会話をして笑い、仕切り直して楽しむことができる。

初夏の爽やかな季節はあっという間に終わってしまう。梅雨と夏の暑さを経て、また違う爽やかな秋の風の中で、再びいそいそと小さなテーブルをベランダへ運び、次は何をつくって楽しもうか。

日曜なら、夫のリクエストに応えてりんごのコンポートとくるみを焼き込んだタルトにカスタードクリームと生のフルーツをふんだんに盛り、ホイップした生クリームでふんわりとお化粧したかまくらタルトで大人のおやつタイムにしようか。

ふたり焼肉をベランダで始めた時、夫が言った

「好きな人と、こうしてご飯を食べられることの幸せ」

という言葉を

「え？好きな人⁉︎どこどこ？」

と言ってはぐらかす私。はたちで結婚してから、40代の時本気で離婚したいと思い３年半ほど家を出ていた。結局離婚はできずに、今は一緒にいる。

大人としての気づきは、まだまだたくさんあるのでしょう。一生をかけて。

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